サイレントワールド(前編)
音を出したらダメな世界。人間の作る映画は本当に神にも予想できないものだわ。という発想から、今回の星が生まれた。
ドタバタ騒動に再度巻き込まれるカンパネ。
「もし、音を発してしまったら、消滅してしまう世界なんてのがあったら、どう思うかしら?」
人間の姿を得てから、「疲れ」という感情を覚えた僕は、正直女神様の発言一つ一つに疲れを最近感じてきた。
しかし、答えなければ僕は消されるため、見た目は真面目で内心どうでも良い感情で返答する。
「また何かの影響ですか?」
「人間の作った映画の作品で、音を出したら怪物に襲われるという作品を見つけたの。そこで、もし本当に音を出したら世界そのものが無くなったらどうなるのかしらと思ってね」
人間の作る映画はなかなか興味深い。僕もそれは同感であるが、女神様はそれを実践しようとする。それに関しては興味では無く、ただ疲れるだけである。
「というわけで、早速行ってきて頂戴」
というわけで……と、女神様の言葉を借りるつもりは無いのだが、早速転移することになった。
.サイレントワールド
「無事にとうちゃ
.☆
『あのね、カンパネ」
「はい」
「音を出したら世界が消滅するのよ?」
「はい」
「星を複製するのも、大変なのよ?」
「本当に、申し訳ございません」
慣れというのは恐ろしいものである。
そして、慣れるとどうしてか独り言が多くなった気がする。
そして今回はその独り言で世界が一つ、消滅させてしまった。
「嫌な予感がしたから引っ張り出したけど、正解だったわね」
人間の世界で死ぬと、僕は本当の意味で死んでしまう。このカミノセカイにおいて死は転生であり、記憶が無くなると言うことは無い。忘れる事はあるけど。
「というわけで、もう一度ね」
「今度は気をつけます」
というわけで、テイクツー。
.サイレントワールド
到着した僕がまず行ったことは、消音と認識阻害。これでうっかり独り言を発したり、足音を立てても音は出ない。
周りを見てみると、いつものベースの星と一緒でビルが建っている。
(音を立てずにビルを建設したのだろうか)
驚くほどに、音が一切無い。しかし建設物は建ち並び、人間の気配もする。
それにしても凄いのは、その辺に居る人間がいつも通り歩いているのに、音を立てていない。
(靴に音のでない素材が使われているのかな)
そんなことを思いながら
.☆
気がつけば、カミノセカイに戻っていた。
「……え、今何もしていませんよね」
周りの人間の歩く音に関心をして、心の中で感想を述べていたところだが。
「想定外というのはつきものよ。まさかいつも通りカンパネに話しかけたら消滅するのだもの」
「いや、それ女神さまのミスじゃ無いですか!」
「ごめんごめん! 次は大丈夫だから!」
先が思いやられる。
.サイレントワールド(三回目!)
到着後認識阻害と防音を施す。
周囲確認良し!
女神様からの会話もとりあえず自粛したのか、音沙汰も無い。
さて、それでは人間の世界を観察しなければ。
そう思い、目の前を見ると、サラリーマンが、何やら苦しい顔をしている。
(えっと、どうしたのだろうか)
そして、男性は、全てを悟ったのか、息を大きく吸って、放った。
大きなくしゃみを。
.☆
失礼しました。サブタイトルを間違えました。




