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一週間

 ティア達が来てから一週間が経った。

 たまにぐちぐち言う事もあるが基本的には真面目に修業に取り組んでいる。一番ぐちぐち言ってたのは魔術師の人だったが体力などが付いたおかげで攻撃魔術の威力が増した事を実感してからは特に言わずに鬼ごっこをしている。

 それから爺さんとの実戦練習のおかげか、連携の方も熊と対峙した時に比べれば少しずつ上達していた。やっぱ強敵と戦うのが一番の修業になるのはどこも変わらない様だ。

 それからマークさんの話だと聖女は聖騎士団と言う教会の騎士団に入団したらしい。正直教会の騎士の強さは以前殺した連中の事しか知らないから強さについて聞くとティアより強い者が数名居るらしい、それを聞いて取り合えずそいつらを基準にして修業の出来具合を確認するとしよう。


 周囲の変化で言うとそろそろアオイからグウィバーさんへ女王の受け継ぐ式典がもうすぐという事だ。その影響でアオイは龍皇国と家を行ったり来たりする事になっているせいで忙しそうだ。俺も式典の方に集中して良いと言ったのだが『眷族ですのでそう言う訳にもいきません』と言われてしまった。

 確かに発展途上という事で仕事がなくなる事はないがそれでも少しぐらいと思ったのが正直のところだ。

 そして俺もグウィバーさんに何か送りたいと考えているが何が良いのか悩んでいた。


 そしてドルフ達もこちらに来ることになっている。

 精霊王や龍皇を交え、相談したところ許可が出た。精霊王的にはそろそろ採取してもらう事で森の中の植物を少し減らしたかったそうだ、あまり増えすぎても良くないと言うのは少し贅沢な悩みの様な気もする。

 という事でこちらから提供できるものを書き、渡したところ是非と返事が返ってきた。今回提供する草は薬草だったからというのもあるだろうが随分と食いつきが良かった。

 なのでドルフ達が来る準備も進めていた。


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 今日は事務仕事をしているので家の中で書類に目を通している。エルフ達が育てている野菜や花の報告書だ、今の所は何の影響もなく順調に育っているとか。今の所は虫による被害もないらしいがいずれ現れるであろうから注意するとの事、そしてエレンの報告書は既に芽が出ているとか。エレンのはどちらかと言うと感想に近い気もするがその喜びと順調に花が育っている事はよく分かった。

 それにしてもグウィバーさんへの贈り物はどうしよう。アオイは自分で用意できるものなら何でもいいと言うがだからと言って適当に狩った肉とかじゃダメだろうからな……せめて好物じゃないと。

 それにドルフ達の事もあるから早めに決めておきたいしな……


「あ~なんだかんだで色々やる事があるな……」

「それが王の務めです、リュウ様お次はこの書類に目を通してください」

「は~いっていうかアオイ、式典の方は良いのか?そっちの方も準備とか色々あんだろ」

「主にグウィバーがちゃんとしていれば済みますので私はそこまで準備する事などはないのですよ。実際オウカは何もしていないでしょう」

「そういや確かに。でさぁアオイ、グウィバーさんへの贈り物何が良いかな?ほんとに思い付かないんだけど」

「そう難しく考える事はありませんよ。グウィバーもこちらの状況は分かっていますのでそれほど高価なものを期待しているとは思いません」

「でもな~それでも用意するべきではあるだろ、こうなったらドワルからなんか買うかな。実用性無視の宝石をあしらった剣とか」

 ぱっと思いつくのはそんなもんだ。ドルフが来るのももうすぐだしついでに持ってきてもらおうかな……金に関してはまたギルドに素材売りに行けば良いと思うし、そう言えばマークさんに頼んでいた素材の売買ってどうなってたっけな?


「アオイ、マークさんに頼んでた素材の買取ってどうなった?それなりに売ったと思うんだけど」

「それでしたらこちらの資料をご覧ください」

 そう言って渡された資料にはどの魔物の素材がいくらで売れたのかが詳細に書かれた。売っていたのは食べ残しの皮や骨が主だがかなりの金額となっている。


「……どうやら大森林の素材が貴重って話はほんとみたいだな、俺が前に売った毒蜘蛛なんて倍近い値段になってる。それともこれはマークさんの手腕か?」

「マークの手腕があるのは間違いありませんが魔物の素材に値が上がっているのは事実の様です。森は人間から見ると自由に魔物の素材が獲れる唯一の場所だったのでしょう」

「自由って何だよ、そんな気軽に来れる場所じゃないだろ」

「他の魔物達が住む場は魔王の領地となっている場所がほとんどです。もし魔王の領地に無断で侵入し、領民を殺したとなれば魔王からの報復が来るかもしれません。ですので魔王が居ない豊富な資源と魔物が居る森は人間にとっても重要な場所だったのでしょう」

「あぁ…………納得」

 確かにこの大森林には強者は居ても大森林全体を纏めるような存在は居なかった、だからこそ大森林の魔物を殺し、素材や薬草などを勝手に持ち出す事が出来た。

 しかしそこで大森林に正体不明の危険、つまり俺が現れた事によって気軽に採取しに来る事が出来なくなってしまったという事だ。

 そのために資材が手に入らず魔物の素材や大森林に生えている資源が手に入らなくなってしまったので値段が高騰しているんだろう。


「思ってた以上に大森林に依存してたみたいだな人間あっちは。ま、俺も大森林に住んでるから同じか」

「現在は勝手に人間が森に入らない様にしていますがいかがしますか?噂が落ち着けば以前の様に人間が森に踏み入ってくるようになりますが」

「俺の一存じゃ決められねぇだろ、その辺は龍皇や精霊王と要相談だな。流石に直ぐって事は無いだろうし、早くて夏ぐらいじゃないか?その前には相談しておきたい」

「承知しました。それからこれを、ダハーカが結界の実験を申請しています。重要なものですので先に目を通していただけますか」

「はーい」

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