戦争間近
オウカとの戦いの後、皆とも戦って分かった事は俺の魔力によってかなり強さが引き上げられている事だ。
皆俺から貰った魔力で自身の事を魔改造している感じがする。それぞれ自分の特徴を伸ばすように成長した皆は本当にあれで本気なのか少し疑った。
だってカリンは炎の威力が滅茶苦茶上がって魔王と同じ技、あの大空から急降下しながらする攻撃を平然とやってのけたし、リルは以前よりスピードが速くなったのと爪、牙の鋭さがさらに増していた。アオイとダハーカはさらに固く、攻撃力も増していた。
ダハーカの場合は放出系魔術を禁止していたのでそこの所は分からないがきっとさらに威力が増していると考えておいた方が良い。
ついでにリルが元気なかった理由はこの魔改造並みの強化を俺に知られたくなかったかららしい。何でも強くなり過ぎて守ってもらえるなくなると思ったからだとか、どんだけ強くなっても護るつもりなんだけどな。
それとコクガから連絡が入り、ライトライトの騎士達が今夜にはラエルに到着すると言う連絡が入った。この連絡を受けた俺は翌日ラエルの監視に行く事にする。今回は国に入る事はせず、視力の強化と魔術による同時使用で遠くから監視するだけにした。
今回は聖女が魔王討伐に向かう所を確認したいし、それにライトライトの騎士と枢機卿以外は殺す予定だから意味ないし。
枢機卿の確認についてはコクガに任せた。それと別動隊が現れる事も予想しといて自分で監視しておきたかった、てのもある。
で、現在。俺とダハーカは森の木の上でラエルを監視していた。
「まさか昨日の内に到着するとは思ってなかったな」
「おそらく聖女辺りが急がせたのではないか。一日でも早く勇者達と合流したかったのだろう」
「それも考えられるか。それにしても聖女様も大変だね、あっちに行ったりこっちに行ったりと人気者は大変だ」
「それはあまりにも皮肉過ぎではないか」
「俺は人間だからいいんだよ。お、出て来た」
ラエルの門から大量の騎士が出てくる。こうしてみると本当にかき集めたなと感じる。
教会の陰謀があるとはいえ、これだけの騎士や冒険者を集めた所を見ると、大森林を脅威として見ているのは確実だ。
まるで蟻が巣から出てくるようだと感じながら見ていると一部雰囲気の違う一団が見えた。
戦闘向きではない真っ白なローブを着た集団が馬に乗って現れる。
その集団の中心に金の刺繍が入った中年のおっさんが居る。
「あれだな。どう見ても」
「ふむ、今の教会の枢機卿は随分と派手だな。私の知っている教会の枢機卿はもっと地味だったぞ」
「大方、権力やら政治やら混じっていく内にああなったんだろうさ」
じっと見ている内に枢機卿に近付いてきたのは聖女だ。流石に何を話しているかは分からないが少し話した後、聖女が一団とは違う方向に馬を走らせた。
おそらく魔王討伐に向かったんだろう。
そこまで見ると俺達は木から飛び降りた。
「聖女の移動を確認。後は楽勝だな」
「では残り数日待つとしよう。その時に攻撃をするのだろ」
「まぁね。でももう待つのも疲れたし思い切って攻めてみるか?」
「良いのか?聖女が離れる時間が欲しいと言っていたではないか」
「三日もあれば十分離れる。魔王討伐の方が大事だろうから帰って来ないだろうし」
一応念話で他の皆にも確認を取るが問題ない様だ。
後は各長老達を説き伏せれば問題なしだ。
それじゃ、戦争を始めよう。




