06-14 ギルドホームにお邪魔しました
ジンとヒメノの初デート……そしてヒイロとレン、ハヤテとアイネの問題に決着が付き、晴れて三組のカップルが勢揃いした夜のこと。
【七色の橋】のギルドホームで、三組のカップルがやんややんやと会話に花を咲かせている。
――いいなぁ。
そんな感想を抱いてしまうのは、唯一の大人であるシオンだ。
少年少女達の恋を応援していた、その気持ちに嘘は無い。しかしながら幸せそうな様子を目の当たりにすると、羨ましさが心に湧き上がる。
そもそも、付き人なんてしていたら出会いは無いよなぁと思うのだが……恋の付き人を辞める気は無いので、八方塞がりな気分がして来た。
そんな中、メッセージの受信を報せるシステム音が耳に響く。
「おっ? 誰からだろう」
「……あ、ケインさん達からだ!」
メッセージの差出人は、同盟関係を結んでいるギルド【桃園の誓い】。そのギルドマスターである、ケインからだ。
メッセージの内容は、新メンバー二人が加入したという報告。そして二人を紹介したいから、ギルドホームに遊びに来ないかというものだった。
尚、新メンバーはゼクスの恋人……そして、その実の兄らしい。
「へぇ……ゼクスさんの彼女さんと、そのお兄さんかぁ」
「ゼクスさんは、やり辛いんじゃないッスかねぇ」
「実際に彼女のお兄さんが同じギルドに居る、ジンさんはどうですか?」
「全然やり辛い事なんて無いよ?」
何だか自分の周りにはカップルばかりだと、シオンは内心苦笑する。
夏休みに入れば、更に一組のカップルを加えた状態で旅行の引率をしなければならない。そう、ジン達が初音家の別荘に行くという計画が、本決まりになったのだ。メンバーは【七色の橋】に千夜・優……そして千夜の彼氏を加えたメンバーだ。
初音家は恋の姉を筆頭に受け入れを快諾、他の面々の親もシオンが付き添うならと了承したのである。
――お嬢様を始めとする皆様が、聞き分けの良い子達である事が救いですね。
JC組はお嬢様学校に通うだけあり、規則正しい生活習慣を送り、礼儀正しい。ジンとヒイロ、ハヤテも真面目で素直な優等生であり、その点に関しては不安は一切無い。
尚、千夜の恋人も今回は同行するのだが……身辺調査を行った所、さしたる問題は無い……ある一点を除いては。
しかしながら、それを自分がジン達に明かすわけにはいかない。身辺調査をしている事は、恋にも知られていないのである。
――ケイン様とイリス様も、くっつくのは時間の問題ですし。
もしかしたら、もうくっついているかもしれない。だとしたら、子供達よりも羨望の対象に成り得る。
そもそも、この【七色の橋】は自分を除いて少年少女で構成されたギルドだ。二十五歳の自分と、最低でも十歳差なのである。それを恋愛対象にするのは流石に憚られるし、シオンはショタコンでは無い。
故にギルドとして行動している内は、出会いには恵まれないだろう。
……
そんなこんなで、ジン達【七色の橋】は南側の第二エリアに程近い場所までやって来た。
「おー、海でゴザル!」
「うん、海だ! そしてモンスター……」
ジン達は海辺のフィールドと知っていたので、海水浴場の様な場所をイメージしていた。しかし、残念。ここはMMO・RPGであり、フィールドにはモンスターが出没する。水着に着替えて、海辺でキャッキャ出来るはずもない。
「貴重な水着回のチャンスだったのに……残念ッスね」
「ハヤテ君は、何の話をしているの……?」
そうして歩く事十数分、【七色の橋】のメンバーは一軒の建物を発見した。
「水上コテージ……!」
「これは中々にオシャレですね!」
それを建てたであろう、生産大好きおじさんの顔が浮かぶ。恐らく、ノリノリで建設に勤しんだのであろう。
すると、コテージのバルコニーに居た女性がジン達に気付いた。
「いらっしゃい! 待ってたよー!」
そう言って手を振るのは、白いチャイナドレス姿の美女。【桃園の誓い】の魔法職の一人、イリスである。
「こんにちはー!」
「お招きありがとうございます!」
ジンとヒメノが手を振るのを見て、イリスは笑みを浮かべる。二人が既に交際を始めているのは、【桃園の誓い】には報告済みだ。
しかし、その後ろ……新たな二組のカップルについては知らない。付き合いたてホヤホヤ、鮮度抜群な旬の新カップルなのである。
距離感の近い二組に、イリスの目がキラリと輝いたのは気のせいではあるまい。バルコニーから慌ただしく中に戻って行き、次いで彼女の威勢の良い声が聞こえて来た。
「ほら! ゲストが来たわよ! お出迎えの準備なさい!」
「ちょ、いきなり何だよ!?」
反論したのは、彼女の従姉弟であるゼクスだろう。イリス相手では、分が悪いのは火を見るより明らかだ。
「あっ、何か落ちた」
「何かって言うか、誰かッス」
「というか、どっからどう見てもゼクスさん……」
コテージから叩き落とされたのは、カンフー衣装の男性だった。十中八九、ゼクスだろう。
「というか、落ちたらモンスターが居るのでは……?」
首を傾げるシオンに、背後から声が掛けられた。
「プレイヤーホームやギルドホームの敷地内なら、モンスターは入れないんだよ」
ジン達が振り返ると、そこに立っていたのはダイスだった。
「よっ、いらっしゃい」
「ダイスさん、こんにちは」
「お邪魔します!」
和やかに会話するダイスと、ジン達。何度か顔を合わせており、すっかり馴染んでいる。
「こんな所で立ち話もなんだな。さぁ、中に入ろうぜ」
先導するダイスに促され、ジン達は水上コテージ風のギルドホームに歩を進める。
……
水上コテージの中は、実に見事な作りになっていた。マイルーム以外を見学させて貰うと、【七色の橋】のギルドホームに勝るとも劣らない快適空間。最も製作者が同じなのだから、それは当然か。
更にジン達の心を擽ったのは、ギルドホーム敷地として見倣される範囲内ならば海水浴も楽しめる……という所だった。
「うん、やっぱり大事ッスよね、水着回。むしろ遅かったくらいッス」
「ハヤテ君は、一体何を批評しているの……?」
そして、今回の主目的……新メンバーの二人との対面なのだが。
「まさか、ゲイルさんが新メンバーだったなんて!」
紹介される新メンバー、その内の一人は盾職のゲイルだった。
「いや、俺も驚いたんだよ……まさか、【桃園の誓い】のゼクスがとう……いや、妹の彼氏とはなぁ……」
ゼクスの本名を、うっかり口にしかけたゲイル。どうやら、ゼクスとは現実でも面識がある様だ。そしてその仲は悪くない模様。
ちなみにゲーム内では活動しているサーバーが違った為、これまで互いに気付けなかったらしい。
そして、そんなゼクスの恋人。その女性は長い銀色の髪を、後ろで三つ編みにした美女だ。始めたばかりらしく、その出で立ちはまだ中華風ではなく店売り装備だ。彼女もいずれ、チャイナ化するのだろうか。
「初めまして、私は【チナリ】って言う名前なの。仲良くして下さいね」
ふわりとした穏やかな笑顔を浮かべており、柔らかい口調がそんな印象を補強する。彼女の周りの空気だけが、他と比べてゆったり流れている様な感覚さえ覚える。
ともあれジン達は初対面のチナリと自己紹介を交わし、そのままフレンド登録を済ませる。
「そう言えば、君達は昨日の公式動画は見たかい?」
一通りの自己紹介が済むと、ケインが話を切り出す。しかし昨夜は、全員がそれぞれに事情を抱えていたので動画を見る余裕など無かった。
「いえ、僕達は見ていなかったんです。というか、動画ってどんなのですか?」
動画と言われてもピンと来ないジンが、首を傾げる。そんな様子を見て、フレイヤとゲイルが苦笑する。
「あー、ジン君は初心者だったのよね」
「初心者でトップランカーというのも、凄いんだけど……まぁ今更か」
「運営が今後のアップデート内容や、追加要素の情報なんかを生放送で話すんだよ」
ゲイルの説明に、ジンが成程! という表情をする。
それは所謂ミーティング生放送というやつであり、運営からの生の声を聞く事の出来る数少ない機会。動画へのコメント等が読み上げられる事もあり、各コンテンツにおいて重要度の高い放送なのである。
AWOの場合は、運営メンバーがアバターで出演。数名で放送を進める形式となっている。
「実は、次のイベントについての話があったんだ」
第一回イベントが開催されて、まだ一ヶ月程度しか経っていない。にも関わらず、次のイベントについての言及があったらしい。
「プレイヤー側からの要望を聞いた上で、運営側が今後の展望を語る……って感じだったんだがな。最後の方でイベントについて話していたんだ」
「その内容が、他には無い感じでねぇ……」
ゼクスとイリスの言葉に、ジン達は首を傾げる。
「他には無い……というのは?」
ゼクスとイリスの言葉を、ケインが引き継いだ。
「そうだね……まず、今回のイベントはPvP……プレイヤー・バーサス・プレイヤー。要するに決闘だ」
「決闘……プレイヤー同士での戦い……ですか」
VR・MMO・RPGにおいて、どのゲームでも実装している決闘システム。そのシステム性は、ゲーム毎に異なる。一対一しか無い決闘システムもあれば、多人数対多人数の決闘システムもあるのだ。
決着方法も初撃が当たれば決着になったり、HPが設定された値になれば決着になったり、相手のHPがゼロになれば決着になったりと様々だ。
ともあれ、PvPのイベントになるのは間違い無い。AWOの前身となるDKCにも、そういったイベントはあったそうだ。しかし、ケイン達の表情は複雑そうである。
「そのイベントなんだが、ちょいと今までにない形式の決闘なんだよ……パーティから数名ずつ出しての、チーム形式の決闘だ」
今までにないというのは、数名ずつ出して……という点だ。一対一限定でも無ければ、パーティ対パーティ限定でもない。
「参加登録出来るのは、十人まで。決勝はトーナメント制で、三試合二本先取でチームの勝利だ。内訳は三人組の先鋒戦、二人組の中堅戦、単独の大将戦っていう試合形式になる」
「つまりは最低でも六人は必要になるのか……」
AWOにおいては決闘の人数上限はパーティ単位で、つまるところギルドメンバー限定で組んだ上限と同じ十人。ちなみに今回のイベント期間中に限り、ギルメン以外と組んでも最大十人でのチームを組む事が出来るらしい。
「ちなみに回復アイテムなんかは、補充出来ない。時間経過でのHP、MP回復も無し。手持ちのアイテムで回復をしなければならない訳だね」
「回復役や調合師が居るなら、その心配は軽減されるのだけれどね」
調合師は居ないが、【七色の橋】には回復役PACのヒナがいる。回復についての懸念は、それで払拭されるだろう。
ちなみに【桃園の誓い】には回復役が不在だが、それについてはアテがあるらしい。
「そして決勝トーナメントに進出できるのは、八チームね」
「予選があって、篩に掛けられるって感じだな」
フレイヤとゲイルの説明に、またも気になる所があった。
「篩……というのは?」
ヒイロの問い掛けに、ケインが頷いて答える。
「予選はボスモンスターの討伐。その成績で上位八チームを決める形式になる」
詳細に言うと、イベント専用ボスモンスターの討伐によって測られる成績……それを基準とする、上位チームが本選に進出できるという仕様だ。
成績の内訳としては討伐時間、被ダメージが主となるだろう事は想像に難くない。討伐スピードが早ければ早い程、被ダメージが少なければ少ない程、高い成績となる訳である。
報酬はまたもやチケットらしい。決勝トーナメント進出でゴールドとシルバー。準決勝進出でプラチナが追加。決勝に進出すれば、更にもう一枚プラチナ。そして優勝すると、これまで登場しなかった≪オリハルコンチケット≫が貰えるという。
「成程……」
「予選では、どこまでやるかも考えないといけねぇな。全力を出し過ぎると決勝で対策されちまう……でも、手を抜き過ぎたら上位八チームに入れねぇ可能性もある」
その辺りは、匙加減が難しい部分だ。ステータス特化型のプレイヤーが揃う【七色の橋】は、特に重要な部分である。
「更に問題がいくつかあるな……一つは他の大ギルドだ」
「【聖光の騎士団】に、【森羅万象】……この辺りは、複数のチームで決勝トーナメント進出を狙うだろうな。下手をしたら、この二大ギルドでトーナメントの枠が埋まりかねない」
ダイスとゲイルの言葉に、ジン達は息を呑む。
人数も多く、そして実力派揃いのギルドとして名高い両ギルド。彼等と相対する事を考えると、これまでの様にはいかないだろう。
そして、ケインが表情を変えた。苦笑い気味の表情だ。
「もう一つは、君達だ。ぶつかった場合、相当苦戦しそうだ」
そう、【桃園の誓い】にとって最大の懸念事項。それは【七色の橋】と戦う事になった場合だった。
そんなケインの言葉に、他の面々も頷く。まだ出会って間もないチナリまで、だ。どうやら、件のイベント動画を視聴済みらしい。それだけ、彼等は【七色の橋】の実力を評価している。
「まぁ正式な発表は、今日か明日にでもメッセージで来るらしいわよ」
「時期はまだ未確定だし、仕事が忙しい時期じゃないと嬉しいんだけどね」
「俺ァ試験と被らない事を祈るぜ」
重々しい空気は霧散し、軽い口調でそれぞれが展望を口にする。特にダイスは切実だ。試験とイベントが被ると、試験勉強を取るかレベル上げを取るかの究極の選択を迫られる。
「僕達も、イベントに向けて備えないといけないかな?」
「夏休みの課題は、さっさと終わらせるのが吉だね」
「旅行もあるし、それが良いッスねー」
ジンとヒイロ、ハヤテの言葉に、JC組も頷く。とはいえ、【七色の橋】の学生さん達は全員優等生なのだが。
……
話し合いが終わると、【七色の橋】のメンバーは水上コテージの周囲に広がる海を満喫していた。
「本当に、水の再現度が高いな。現実の海と変わらない気がするッス!」
ハヤテがそう言うと、隣に立つアイネが嬉しそうに頷く。
「そうだね。それに透き通っていて、とても綺麗」
ハヤテはブーツを脱いで、ズボンも濡れない様に膝まで捲っている。アイネもまた、ブーツを脱いだ状態で海に足を付けている。和やかに会話しながら水面を散歩する様子は、実に良い雰囲気だ。
そんな二人の散歩を、水上コテージのバルコニーで眺めているのはゼクスとチナリだ。
「あの二人も付き合うとはなー。前から、良い雰囲気だったのは間違いねぇが」
「そうなんだ? イベント動画にハヤテ君とアイネちゃんは全然映っていなかったから、その辺りは解らないのよね」
恋人同士特有の距離の近さも、実に自然で違和感を感じさせない。それは当然だろう、二人は交際して長いのだから。
「ま、そうだよな。あっちの二人も、動画だけじゃ付き合うとは思わなかったんじゃないか?」
ゼクスがそう言って振り返ると、その視線の先にはヒイロとレン、シオンの姿。その対面に座るのはケインとイリス、そしてゲイルだ。何をしているのかと言うと、互いの攻略情報を共有しているのである。
ゲイルは【桃園の誓い】と合流する前に、西側のエリアでレベリングをしていたらしい。その為、西側の情報はこの面々の中では随一という訳だ。
「そうね、でも実際に会って見ると解るわ。凄く良いカップルね、皆」
「ケインとイリスも、はよくっ付けばなぁ……そうすりゃあ、イリスも丸くなるだろうしよ」
そんな風にぼやくゼクスは、その言葉を口にした直後に謎の悪寒に襲われた。
――十也、後で覚えてなさいよ。
そんなイリスの、声なき声が聞こえた気がした。ゼクスがちらっとイリスに視線を向けると、笑顔で会話している。機嫌が良い様に見えるが、何故かその背後に般若のオーラが見える。
もしかしたら、イリスイヤーは地獄耳なのかもしれない。隣に座るケインが苦笑いし、対面に座るヒイロ達はゼクスの冥福を祈るかの様に目を閉じて首を横に振っていた。
……
一方、ジンとヒメノ。二人はある事を試していた。それに付き合うのは、ダイスとフレイヤだ。
「……あ、ありえねぇ」
「更に、忍者化が進んだわね……」
「ジンさん、凄いですっ!」
ダイスとフレイヤが引き攣った笑みを浮かべ、ヒメノはキラキラとした笑顔を見せる。
その視線の先では、ジンが海面を走っていた。その姿、正に忍者。水面歩行の術である。
「ふむふむ、【天狐】を応用するとこんな事も出来るでゴザルな」
そう、この水面歩行の術の種……その正体は、九尾のスキル【天狐】だ。空中で跳躍の為に発動出来るのだから、海面で疾走の為に発動出来るのでは? という極論から、試しにやってみた。そうしたら、出来た……出来てしまったのだ。
「話にゃ聞いていたが……【九尾の狐】だっけか? ヤバいな、あのスキル……」
「下位互換は【スピードスター】だっけ? ダイス向きなんじゃないかしら?」
「悪くはねぇが、ステータスダウンは痛いからな。俺は他を当たるさ……にしても、本気で水上を走ってる様に見え……おぉっ!?」
感心とも、呆れとも取れるダイスの台詞。その途中で、ジンが大きく跳躍した。恐らくは【ハイジャンプ】だろう。
海辺の砂浜にジンが着地すると、砂が撒き上がる。場所はヒメノ達から離れた場所だった為、三人に被害は無い。
「ぺっぺっ……砂が口に入ったでゴザル……」
どうやら【天狐】の使用回数とMPが尽きる前に、【ハイジャンプ】で帰還したらしい。スキルとMPの配分を忘れていたせいで、緊急離脱だった訳である。
そんな訳で、砂塗れになったのはジンの自業自得……なのだが、そこはそれ、これはこれ。砂塗れのジンに駆け寄って、ヒメノがシステム・ウィンドウを開く。
「ジンさん、大丈夫ですか? はい、お水です。うがいすると良いですよ!」
「あー、ありがとー」
甲斐甲斐しくお世話するヒメノに、お世話されるジン。傍から見ても、実にお似合いの二人だ。
「……良いねぇ、若いって」
「オジサン臭いわよ、その台詞」
苦笑するダイスに対し、フレイヤは砂糖を吐きそうな顔でそうのたまう。
「いやでもさぁ……あの子達からすりゃ、俺は立派におじさんなんだろうし?」
それ、ゲイルの前でも言えんの? と言いたいフレイヤだが、そこをグッと堪えてジト目を向ける。
「良い事? レディの前で年齢の話はするものじゃないわ……覚えておくと良いわ、今後役に立つでしょうから」
「……アッハイ」
フレイヤから本気のジト目を向けられ、ダイスは徐に視線を逸らす。
「いやぁ、MPを上げる装備でも探すのも良いかもしれないでゴザル!!」
照れ笑いしながら歩いて来たジンは、頭を掻きながらそんな事をのたまった。
数十秒に渡って海面を疾走したのだから、十分じゃね? と言いたいダイスとフレイヤなのだが……そんな正論はグッと呑み込む。
「ていうか、海上戦闘なんて普通ないだろ! 基本は船上か、もしくは遊泳だしな!」
「緊急回避としては、十分実用レベルだと思うわ! 凄いわよ、ジン君!」
これ以上を目指す必要は無いよ! と、二人は必死の説得を試みる。ジンというある意味では理不尽な存在……そのルーツが少し解った気がするのだった。
ゲイルさん加入は前々から決まっていました!!
なので、あれだけピックアップしたからね!!
見た目は山賊、中身は優しいオジ様です。
さて……これを立てようか( ・_・)っ⚐
次回投稿予定日:2020/10/8




