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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第二十章 第四エリアを目指しました

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20-20 中層を攻略しました

 最初の階層から移動した小部屋は、安全地帯だった。そこで小休止をしたジン達は、ダンジョン攻略を再開する。

「もし最初の階層と同じくらいの広さなら、また結構な時間を掛ける事になるかな?」

「そうかもしれないですね。だとしたら三時間くらい……現実だと、一時間になるでしょうか」

 今日は日曜日という事もあり、メンバーも早めにログインしている。ダンジョンアタック開始が十九時頃だったので、現在は二十時を回ったところだ。ログアウトしなくてはならない時間が二十三時なので、残り三時間……その間に、ダンジョンアタックを終える必要がある。

「矢や銃弾の消費はどうでゴザルか?」

「矢の方はまだまだ沢山ありますよ!」

「弾もそんなに使っていないから、安心してくれていい」

 他にも≪ポーション≫類や、ジンの手裏剣・苦無の数も十分。ダンジョンの攻略内容次第だが、これまでと同じ戦法で進んでも問題は無さそうである。


 そうして会話をしながら進んで行くと、モンスターの姿が確認出来た。ジン達の進む道の先に、重厚そうな鎧の人影が待ち受けている。その鎧の継ぎ目や頭部からは、黒いもやの様な何かが漏れ出ているのが見て取れる。その数は、二体のみだ。

「あれは……初めて見るモンスターでゴザルな」

「ふむ、あの靄っぽいモノ……恐らくだが、あのモンスターは【リビングアーマー】だと思うよ」

 リビングアーマーとは、動く西洋鎧の姿をした魔物だ。その中には生物がおらず、鎧だけの存在である。ゴースト系のモンスターであり、徘徊するか壁際に立って侵入者に奇襲を仕掛けて来る難敵だ。


「ふむ……ディーゴ、リビングアーマーについて教えて貰えるか?」

 クラウドがそう言うと、パーティメンバー全員が真剣な表情でディーゴの言葉を待つ。ジンやヒメノ、センヤ・ヒビキはAWOが初めて触れるVRMMO。クラウドも仲間達に誘われて始めたクチなので、知識量はジン達と同じだ。

 ディーゴはVR自体は初めてだが、テレビゲーム等でファンタジー系のゲームに関する知識は得ていた。故にこのメンバー内では、初見のモンスター等について見識が広いと言えるのだ。


「AWOでも同じかは不明だけど、リビングアーマーには痛覚が無い事が多い。だからヒットストップなんかには、耐性がある可能性があるかもしれない。常時、スーパーアーマー状態っていう感じかな」

 解説するディーゴは、そこで一度言葉を切る。ここからが、本題だ。

「一番重要なポイントは、あの鎧が()()()()()()()()()()()だ。鎧にゴースト系のモンスターが憑依しているのか、それとも他のモンスターが操っているのか……それによって、対処法が変わって来る」

「他のモンスターが操っている場合は、いくら鎧を倒しても復活する……って事ですか?」

「あぁ、ヒビキ君の言う通りだ」

 憑依しているパターンだと、倒すのはそう難しい事ではない。しかし何者かが操作しているとしたら、それを見付けない限り延々と戦う事になるのだ。


「ただ、朗報もあるよ。ゴースト系のモンスターが相手だったら、聖なる力や癒しの力が有効になる。俺達には、ヒナさんが居るからね。そしてあの靄っぽいものから考えると、ゴースト系が憑依している可能性は高い。他のパーティにも回復役が居るし、決して倒せない相手じゃないよ」

「成程です! ディーゴお兄さんの言う通りなら、私の回復魔法や【癒しの聖女】でリビングアーマーを倒せるかもしれないんですね?」

 新装備である≪精霊弓・聖杖夢弓せいじょうむきゅう≫を握り締めて、ヒナはやる気に満ちた表情で頷いている。主であり姉であるヒメノや、仲間達の役に立てるかもしれない……そう考えて、気合いを漲らせている様だ。


 そんなヒナの様子に、ジンは改めて「やはりヒナも、リン同様に感情をしっかりと獲得したんだな」と思いながら、この作戦会議の結論を出すべく思考を巡らせ……そして、仲間達に視線を巡らせた。

「どの道、戦わないという選択肢は無い。作戦を決めていきたいけど、良いでゴザルか?」

 ジンがそう切り出せば、全員が真剣な表情で頷いてみせる。パーティリーダーを務めるジンの指示に従うという意思が、その様子だけで伝わって来る。

「まず姫は、いつもの流れでリビングアーマーに攻撃でゴザル」

「はい、ジンくん! 任せて下さい♪」

 いつもの流れ……それは物理攻撃が通る相手ならば、最適な戦法。ジンがAGIを駆使してタゲ引きを務め、ヒメノがそのSTRを活かして攻撃。二人の長所を組み合わせた、連携攻撃だ。プレイヤーでも手を焼くこのコンビは、モンスターからしてみれば最悪の相手だろう。


 しかし、今回はそれだけではない。

「そしてディーゴ殿のアドバイスを考慮して、ヒナも一緒にリビングアーマーに攻撃。右の個体を姫が、左の個体をヒナが攻撃して欲しいでゴザル」

「了解です、ジンお兄ちゃん! 回復魔法で攻撃すれば良いんですね!」

「その通り、頼りにしているでゴザルよ」

 物理特化のヒメノと、魔法特化のヒナ。姉妹による同時狙撃で、リビングアーマーへのダメージの通り方を測る算段だ。【癒しの聖女】は雑魚戦よりも、ボス戦で頼りたい性能を有している。その為、現段階では温存する方針である。


「クラウド殿は物理と魔法によるダメージ、その差異を見て貰えるでゴザルか?」

「あぁ、勿論だ。ただ倒すのではなく、攻略情報を他のプレイヤー達にも……だね?」

 クラウドがフッと優し気な笑みを浮かべれば、ジンは挑戦的な笑みで頷いてみせる。この情報の有無で、他のプレイヤー達がダンジョンを攻略する事に貢献できる。それによって攻略者の増加、ひいてはAWOが活気付く切っ掛けにもなるはずだ。


「ディーゴ殿は、【感知】持ちでゴザるな? リビングアーマー以外のモンスターがアクションを起こせば、【感知】に掛かる可能性がある……それを探って頂ければ」

「了解、確かにその分担が一番無難だね。そうなると……」

「うむ、センヤ殿とヒビキ……そしてシスルとアルク。この四人で、クラウド殿とディーゴ殿の護衛を頼みたいでゴザルよ」

「了解でーす!」

「解りました、ジンさん!」

 ダメージ値の確認に集中するクラウド、【感知の心得】による索敵に尽力するディーゴ。その間二人は意識をそちらに割いてしまうので、奇襲等の突発的事態に対応できないかもしれない。

 ならば話は簡単だ、護衛を付ければ良いのである。


「それで、リン」

「はい、主様」

 ジンが視線を向けると、リンは神妙な面持ちで彼の言葉を待つ。そんなリンに向けてジン放った言葉は、彼女が相手だからこその言葉だ。

「リビングアーマー二体は、拙者が引き付ける。リンは予想外の事態に備えて、いつでも動ける様にディーゴ殿やクラウド殿と待機。動く時の判断は、リンに任せるでゴザル」

 信頼値が最大になったPACパックであり、感情を獲得したAI……そんなリンならば、複雑な状況判断も可能。そう確信しているからこそ、ジンはその指示を出した。

 それに対するリンの反応は、やはり他のPACパックとは違うものだった。少し驚いたように目を丸くし、すぐに口元を緩めて、そして表情を引き締める。

「承知致しました、主様」


 指示出しが終わり、それぞれが配置に付く。ジンは準備が整った事を確認すると、姿勢を屈めた。

「では、行くでゴザル!」

 その言葉と同時に、ジンは地面を蹴って駆け出す。索敵範囲内に入った事で、リビングアーマーはジンに向き直った。最初にやる事は、ヘイト値を上げてリビングアーマーの注意を引き付ける事だ。ジンは駆け抜けながら、二枚の≪手裏剣≫を同時に投げた。二体のリビングアーマーは≪手裏剣≫を手にした剣で防ぎ、ジンに向けて歩き出そうとしている。


――遠距離攻撃を、剣で弾いた……やっぱりこいつらも、より高度なAIが搭載されているみたいだ。


 つまりタイミング次第では、ヒメノの矢も弾こうとするかもしれない。彼女のSTRならば推し切れるかもしれないが、万が一もある。

 そう考えたジンはリビングアーマー二体の間を通り抜け、背後に回った所で前方に向けて足を突き出す。

「【天狐てんこ】!!」

 武技によって足裏に生成された障壁で、ジンは急停止。そのまま身を翻して、リビングアーマーに向き直る。するとリビングアーマーも、背後に回ったジンを追うべく振り返った所だった。

 ジンは更に≪手裏剣≫を投げて、リビングアーマーの注意を引く。これならば、ヒメノやヒナへの警戒が薄まるはずだ。


 リビングアーマーが完全に背中を向けた瞬間、ヒメノとヒナは弓を構える。ヒメノは通常の矢を、ヒナは魔力の矢をつがえた。

「行きます、【スパイラルアロー】!!」

「私も……【ハイヒール】!!」

 二人が同時に攻撃を放ち、右側のリビングアーマーの背中にはヒメノの矢が……そして左側のリビングアーマーの背中に、ヒナの回復魔法の矢が命中する。

「お……っ!!」

「回復魔法で、ダメージが……!!」

 リビングアーマーの頭上に表示される、HPバーが減少。右側は三割近く、左側は半分近くまで減っているのが見て分かる。

「物理攻撃でダメージ値が287……そして、回復魔法でのダメージ値が480。ゴースト系モンスターという読みは、当たっていた様だな」

「っすね。おっと、こっち側に振り返った……【感知】に引っ掛かるモノは、何も無し。という事は、憑依型と判断して良さそうだ」


 そのまま、ヒメノとヒナに向けて歩き出すリビングアーマー。しかしジンが両手に≪小太刀≫を握り、リビングアーマーの目と鼻の先に立ちはだかる。

「【一閃】!!」

 素早い攻撃は受ける事も避ける事も適わず、リビングアーマーの身体に赤いダメージエフェクトが刻み込まれる。そしてジンは、仲間達から見て右側のリビングアーマーに狙いを定めた。その鎧に向けて、更に≪小太刀≫を振るう。

「【ハイヒール】!!」

「私も……【ヒール】!!」

 その間に、左側のリビングアーマーに向けて回復魔法が放たれる。再び魔力の矢を放ったヒナと、【エレメンタルアロー】本来の持ち主であるヒメノも加わる。

 更に、その後方でシスルも魔法の詠唱を完了させていた。

「【ヒール】!!」

 ヒナの二度目の回復魔法と、ヒメノの回復魔法だけでは足りない。そう判断したクラウドが、シスルにも回復魔法の使用を要請していたのだ。その甲斐あってリビングアーマーの一体は、HPを失い……鎧のパーツが地面に落ちて転がる様は、文字通り崩れ落ちたというべきか。


 するとジンが相手をしているリビングアーマーの鎧の中から、ゴースト系のモンスターが飛び出す。狙われているのは、ヒメノだった。

「あっ……!?」

 黒いもやの様なそのモンスター……【スペクター】が迫るのを見て、ヒメノが思ったのは「自分に憑依しようとしているのではないか?」という事だ。そうなるくらいならば、一日四回しか使用できない切り札……四神スキル【縮地】を使うべきだろう。

 だがその前に、ヒメノとスペクターの間に立ちはだかる者が居た。

「させるとでも?」

 艶のある黒髪のポニーテールと、紫色のマフラーを靡かせたくノ一。その手に持っているのは……ミモリ直々に調合した、≪ハイポーション≫だ。彼女……リンはその蓋を親指一本で外し、スペクターに向けて振り撒く。

 リンが撒いた≪ハイポーション≫によって、スペクターはダメージを受けて苦痛の悲鳴を上げながら動きを止めた。

「とどめですっ! 【ハイヒール】!」

 即座にヒナが【エレメンタルアロー】を駆使して放った【ハイヒール】で、スペクターのHPが全損。その靄の様な身体が、浄化される様にして消滅した。


「ヒメ、無事でゴザルか? 二人共、よくやってくれたでゴザルよ」

「ありがとうリンちゃん、ヒナちゃん!」

「いえ。ご無事で何よりです、奥方様」

「お姉ちゃん、大丈夫ですか?」

 PACパック二人のお陰で、ヒメノも特に問題は無し。モンスターの情報も手に入ったので、結果としては上々である。


 戦闘が終わってジン達の周囲に仲間達が集まってくれば、今回の一戦で判明したリビングアーマー……そして、スペクターについての報告会だ。

「ふぅ……一瞬、ヒヤッとしたでゴザルな」

「はい、本当に……」

「ヒメのんが憑かれちゃったらと思うと、ゾッとしちゃうね」

 あのまま憑依されていたら、どうなっていたか? それを考えると、ヒビキやセンヤの言葉も納得出来るだろう。

「うーん、本当にプレイヤーやPACパックに憑依なんて出来るのか……とても気になる所だけど、検証は避けた方が良いだろうな」

「あぁ……誰に憑依されても、厄介な事になるだろう」

 心情的にも実害的にも、スペクターの憑依に関しての検証は避けるべきだった。どのメンバーに憑依されても苦戦は必至な上、万が一ジンやヒメノが憑依されたら? 止めるだけでも、壊滅的な被害を受ける事になるだろう。


「ともあれリビングアーマーと、それを操っていたあのモンスター……スペクターには、回復魔法や回復薬が有効という事は解ったでゴザルな」

「あぁ。回復によるダメージの数値で計算すると、リビングアーマーのHPは1200から1400の様だ」

「でもでも、回復魔法や回復薬を強制的に消費させるモンスターって……メチャクチャ厄介なダンジョンじゃないですか」

 センヤの言葉に、全員が「全くだ」と頷き同意を示す。

 ダンジョンの攻略で特に温存したいのは、≪HPポーション≫や≪MPポーション≫……そして矢や銃弾、砲弾といった消費アイテム。リビングアーマーとスペクターは、それらを消費させるタイプのモンスター。挑戦者の下準備を試す様な、運営側の意図が窺える。


************************************************************


 それから更にダンジョンを進んで行けば、リビングアーマー……更に最初から鎧に憑り付いていないスペクターが待ち構え、襲い掛かって来た。

 ジン達はヒメノ・ヒナ・シスルのHP回復魔法に攻撃を任せ、被弾やMP消費を抑えながらそれを迎撃していく。序盤の階層と比べて敵の数は少ないが、より強く、より厄介な性質のモンスターだと実感していた。

「第三エリアのダンジョンでは、結構な難易度ですよね?」

「エクストラクエストのダンジョンと、どっこいどっこいでゴザルな」

 エクストラクエストのダンジョン……それはつまり、”祠”があるダンジョンと近いレベルの難易度。待ち受けるボスの強さも、生半可なものではないだろうと予想できる。


 この階層の攻略を始めて、三時間が経過した頃。ジン達が辿り着いたのは、袋小路になった大部屋であった。

「……ここへ来て、また面倒な」

「壁際に立っている鎧って、多分……」

 大部屋の両脇には、リビングアーマーと思われる鎧が立っている。その数、合計十体。ここまで二体から三体しか同時に現れなかったのだから、攻略難易度を大幅に引き上げるという事だろう。


 しかし、そこでジンは気付いた。彼も【感知の心得】を保有しており、モンスターの数や場所が分かるのだ。

「む……スペクターの数が、四体でゴザルな」

 その言葉通り、スペクターが宿っている鎧の数は四体。残る六体は、空っぽの鎧という事になる。

「……同時に四体もキツいでゴザルが、それならそれでやり様はある。タゲを引いている間に、憑依されていない鎧を破壊してしまうでゴザルよ」

 空っぽの鎧は、恐らく鎧の耐久値が減った際にスペクターが憑依する為のストックだろう。それならば、先にストックの鎧を破壊してしまえば話は早い。

「確かに、それが良さそうだ。ジン君、≪手榴弾≫の使用を申請したい」

「俺は≪短槍≫があるから、物理的に鎧を破壊する……でどうだろう?」

「勿論オーケーでゴザルよクラウド殿、ディーゴ殿。タゲ引きは、拙者とリンで担当するでゴザル。姫とヒナ、シスルはこれまで通り回復魔法で攻撃を」

「はい、ジンくん!」

「お任せですっ!」

「解りました、ジン様!」

「センヤ殿とアルクも、前で鎧の破壊をお願いしたいでゴザル。盾役が出来るヒビキは、三人の護衛。これでどうでゴザルか?」

「オッケーですよ!」

「お任せを、ジン様」

「責任重大ですね。解りました、三人には指一本触れさせません!」


 作戦会議を切り上げると、ジンとリンは大部屋の入口から一歩中に入る。

「行くでゴザル、リン!」

「はっ、主様!」

 同時に地を蹴って駆け出した二人は、同時にスペクターが憑依している鎧に向けて≪手裏剣≫を投擲。それが見事命中すると、リビングアーマーが音を立てながら動き出した。

「「作戦開始!」」

「行くよ、アルク!」

「御意!」

 後を追ってセンヤとアルク、ディーゴとクラウドが左右に分かれて駆け出す。四人は憑依前の鎧を破壊すべく、攻撃を開始。それによってリビングアーマーのヘイト値が上昇し、標的がジンとリンから四人に変わる。


 しかし、それも織り込み済み。その瞬間を狙って、回復役三人が同時に回復魔法を発動。ヒメノは大きくMPを消費する覚悟で、回復量が多い【メガヒール】。シスルはINTがもともと高いので、これまで通りの【ハイヒール】だ。そして回復役メインのPACパックとして育って来たヒナは、【エリアヒール】でリビングアーマー四体を同時に回復。更にすぐさま、もう一度【エリアヒール】を発動させて更にリビングアーマーのHPを削る。

 そうしている間に、鎧のストックを破壊し終えた前衛組。そのままリビングアーマーへの攻撃に移ると、すぐに鎧の耐久値が尽きた。

「むっ!!」

「スペクターが……!!」

 二体はHPが消失してそのまま消滅していくが、残る二体のスペクターは鎧から飛び出した。標的は、最もダメージを与えているヒナである。憑依しようとヒナに向けて移動を開始するが、そうは問屋が卸さない。

「【狐風こふう一閃いっせん】!!」

 左右一発ずつ放たれた鎌鼬の刃が、スペクターに命中。ここまで回避に専念して来たジン……それによって確率が上昇し、即死攻撃【ディザスター】が発動。スペクターは即死し、そのまま消滅していった。


「MPや≪ポーション≫の消費が、予想より多かったですね」

「あぁ……だが≪ポーション≫温存のために、出来るだけ回復魔法で対応して来た。最初から多めに用意していたし、ギリギリ足りるとは思うよ」

 ジン達がシステム・ウィンドウで戦闘リザルト画面を確認した後、次の階層へ向かうであろう光の柱が展開。ジン達は顔を見合わせて頷き合うと、その光の柱の中へと入っていく。

 全員が光の柱の中に入った所で、転移が開始。光が収まったそこは、最初の転移と同じ小部屋だ。しかし通路の先に見えるのは、これまでの様なダンジョンの通路ではなかった。

「……ボス部屋の、扉っぽいですね?」

「そうみたいだね……となると、ここでレイドパーティが揃うのを待つ形……か」

「あぁ……そうだな。ここが、最下層。さっきまでのダンジョンが、中層だったって事だな」

 いよいよ辿り着いた、ボス部屋の前。ジン達は今回のダンジョンアタックの終点を、とうとう目前に捉える事が出来たのだった。

次回投稿予定日:2025/9/30

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― 新着の感想 ―
明確な意図を持って消耗戦を強いてきてるなぁ…。 進めば進むほどに継戦を考えなきゃならなくなる作りしてるっぽくて難しそうだ。
頭領様からリン様への指示 指示を受けた時のリン様の表情 的確に指示を実行するリン様 リン様の成長には驚くばかりです 頭領様 リン様 忍者ふぁんくらぶ 等々 忍のみで構成された集団  結成出来れば………
とうとうボス戦ですかどんなボスが相手でどんなレイドパーティで戦うのか今から楽しみですよ。
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