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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十九章 第五回イベントに参加しました・弐

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19-35 幕間・室千雅の独白2

 AWOにおいて、最も有名なメイド……【七色の橋】のシオン。彼女がファースト・インテリジェンス本社の経理課員であり、名前が土出鳴子という女性だという事も突き止めている。

 いや、わざわざ調べた訳では無いぞ? ユートピア・クリエイティブに出向している部下から、例の不正騒動で三枝氏とやり取りをしていた女性の名前がそれだという報告があっただけだ。


 しかし、流石は初音家のメイドだな。恐らくシオンという名前にしたのは、鳴と子の前後を入れ替えたのだろう。

 子はシに読み替えて、鳴という字から連想されるのは音。子と音で、シオンという名前を考え付いたのだ。フフッ、このネーミングセンスに果たして、何人気付く事が出来るやら。まぁ彼女の本名を知らなければ、その秀逸さに気付く事は出来ないだろうがね。


 そんな彼女に想いを告げるべく、一歩踏み出したクリスマスイヴ……しかしその時には、私は彼女の信頼を得るに至れずにいた。それは私の落ち度であり、彼女からの評価を高める事が最優先だと実感したのだった。

 だがそれ以降、我々のギルドは彼女が属する【七色の橋】と良好な関係を築いてきた。クリスマスパーティーだけではなく、新年の挨拶のメッセージ……バレンタインは、残念な事に大雪で帰宅できなかったが。

 そして先日のマッチングPKの一件でも、私達は足並みを揃えて事態の収拾を付けるべく行動を共にしたのだ。これなら恐らく、彼女の中で私の評価も上方修正されている事だろう。


 しかし悔やまれるのは、数日前のバレンタインデーだ。私は彼女の心を射止めるべく、様々な準備をしていたというのに。

 日本では女性から男性にチョコレートを贈るという、そんなイベントと認知されている。だが海外では男性が女性に、花を贈るのがポピュラーだという。

 だから彼女に真っ赤な薔薇の花束をプレゼントし、結婚を前提とした交際を申し込むつもりだった……だというのに、当日は予報外の大雪。それも関東圏では、近年稀に見る猛吹雪になった。

 お陰で会社から直接ファースト・インテリジェンスに向かおうとするも、足止めを喰らい私は帰宅難民になってしまったのだ。

 我が社の女性社員からは、大量のチョコレートを貰えたのだが……しかし彼女からの、本当に欲しかったチョコレートは貰えなかった。


 だがこの程度の困難で、私は彼女を諦めるような男ではない。次こそ必ず、彼女のハートを掴んでみせる。

 そして私は確信したのだ……その日がいよいよ、目前に迫っていると!!

 そう、三月三日……彼女が仕える初音家の次女、恋嬢の誕生日パーティーだ!! 宇治財閥の御曹司である私に宛てられた招待状を受け取って、私はその時が来たのだと確信したのだ!!


 待っていろシオン……いや、鳴子!! この宇治室千雅の情熱を、今度こそ受け取って貰うぞ……!!


************************************************************


 その頃、星波家のリビングで。

「ユートピア・クリエイティブ関連の企業にも、お父様が招待状を送っているそうなんです」

「……確か共同出資したのが、六浦コーポレーション。事業提携を申し入れて来たのが、UGIコーポレーションとヴィクトリア・エンタープライズだよね?」

「はい、正解です」

「恐らくは美里様……解りやすく言うならば、【魔弾の射手】のミリア様がいらっしゃるでしょう」

 誕生日パーティーの予習のつもりで、恋・鳴子から政財界関連の招待客の情報を学ぶ英雄。

 ちなみに鳴子は今日は外出の用事があり、直帰が許可された為そのまま星波家へ。そこで聖から「折角だから、お茶でも飲んでいって下さいな」と言われ、彼女の厚意に甘える事にしたのだった。

「ミリアさんが、六浦財閥の御令嬢って聞いた時はびっくりしたなぁ」

「そうですねぇ」

 仁と姫乃も参加しているが、基本的には聞き役専門である。


「……そうなると、あの人達も来るかもしれませんね」

「あの人達……?」

 恋が微妙そうな顔でそう言うと、英雄が誰の事だろうか? と不思議そうにする。そこで鳴子が、ある人物たちの素性について説明を引き受けた。

「【聖光の騎士団】所属のアリステラ嬢と、セバスチャン氏ですね。あのお二方は、UGIコーポレーションの関係者……というより、宇治財閥の御曹司と御令嬢なのです」

 ミリアの事に言及した時は、表情が柔らかなものに変わっていた鳴子。だが宇治兄妹について説明し始めると、いつも通りにクールな様子である。


 ちなみにセバスチャンとアリステラの正体について知らされた三人は、驚きで目を丸くしていた。

「まぁ、そこまでゲーム内で交流をしている間柄でもありません。簡単な挨拶程度で済むでしょう」

 恋がそう言うと、鳴子も同意見らしく涼しい顔で頷いてみせる。

「そもそも不要な接近をする事は無いと思いますが、万一はありませんのでご安心下さい。当日は私も側に控えさせて頂きますし、英雄様の付き人役も手配済み……他の皆様にも、適任者が付き添う事になっております」

 ちなみに仁達に付き添うのは、初音家の使用人の皆様だ。しかし英雄の付き人役は、ダイスこと真守が務める事になっている。これは将来、鳴子と共に英雄・恋を支える側近になる為に必要だと考えての事だ。


 まさか室千雅が鳴子目当てだと誰も思っていない為、鳴子も四人もそれなら安心だと笑い合うのだった。

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― 新着の感想 ―
セバス、お前…何周遅れで…!! 眼中にない相手からの横恋慕という地獄を生む気か!?w
読んで千雅って誰?となってキャラ紹介読んでセバスチャンの中の人かとなりましたw意外と中の人名前って覚えてないもんですね。そういやあセバスチャンはシオンさんに興味ありでしたねシオンさんアウトオブ眼中です…
暗黒行きは こちらです
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