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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十八章 第五回イベントに参加しました

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18-28 予想外でした

 それぞれのプレイヤーが活動する中、【ラピュセル】の面々とマッチングしたジン達は順調に攻略を進めていた。

 パーティ構成は前衛に直剣タイプのイザベル、盾職にはアナスタシアのPACパックであるリューシャ。中衛及び遊撃に剣と魔法を併用するアナスタシア、スピードタイプのジン・リン・テオドラ。後衛に主砲役のヒメノ、回復支援でヒナとなる。パーティバランスも良く、PACパックの練度も高い点も大きい。

 また戦闘も探索も慣れている者同士である為、最初こそ探り探りであったがすぐに連携が取れる様になっていった。これは勿論、互いを認め信頼し合える間柄という点も大きいだろう。


 そんな訳で、ジン達は特に手間取る事無くボスフロアへと到達する。待ち受けていたボスは、もうすっかりお馴染みとなった四神ボスの一角である玄武だ。

 イベント序盤で登場する個体はそこまで大きくなかったが、徐々にそのサイズも大きくなっている。勿論、それに伴いステータスやHPも上昇する訳だ。

 また四神ボスはそれぞれ、特徴が存在する。例えば青龍は、物理と魔法両方の攻撃力が高い。白虎は速さと回避力で、朱雀は攻撃範囲と飛翔による攻撃制限が特徴だ。


 そして玄武は、当然ながらその耐久値の高さが問題となる。

「【シューティングスター】!!」

 なる……はずだった。


 開幕早々、ヒメノの【シューティングスター】が玄武に放たれる。矢の攻撃とは思えないくらい、HPがゴリゴリと削られる様子は正に圧巻だ。

「やはりサイズが大きくなった分、全弾当たる様になったでゴザルな」

「……流石ですね、ヒメノさん。これほど心強いマッチングは、そうそう無いでしょう」

 とはいえ、それだけで倒せる玄武ではない。HPゲージはまだ二割残っており、更にダメージを受けた事で行動パターンが変化するのだ。


「では、いざ参る!!」

「お供します、主様」

「はい、行きましょう!!」

 ジンとリンが駆け出し、アナスタシアも≪儀式剣≫を構えて走り出す。玄武のタゲはヒメノに向いており、それを自分に集めるのがジンの狙いだ。リンとアナスタシアは、そんなジンの補助である。

「アナさんに続きますよぉ!!」

「私も全力で行きます!!」

 更にテオドラとイザベルもそれに続き、玄武を倒すべく駆け抜ける。


「【狐雷】……【狐風一閃】!!」

 ジンが魔技を織り込んで急所を狙い、率先してヘイト値を稼いでタゲを引く。玄武も反撃するものの、元より動きが鈍いボスである。余程の事が無い限り、その攻撃がジンを捉える事は無いだろう。

 その間にアナスタシア達も、全力の攻撃を打ち込んでいく。

「【ディバインカノン】!!」

 手にした≪儀式剣≫を突き出して放つのは、聖属性の魔砲である。”カノン”じゃなく”バスター”じゃないのか!? と思わせるくらい、リリカルでマジカルなアニメの魔砲っぽかった。

「流石アナさん!! 私も続きますっ!! 【ダンシングスライサー】!!」

「良い感じの流れねっ!! 【デュアルスラッシュ】!!」

「【クイックステップ】……【一閃】!!」

 テオドラとイザベル、そしてリンも果敢に攻撃を繰り出して、玄武のHPを削っていく。


 そうしてタゲが外れたヒメノも、ヒナと共に攻勢に加わる。

「行きますよ、ヒナちゃん!」

「はいっ!」

 ヒメノは弓に矢をつがえ、ヒナは杖を構えて玄武を狙う。

「【スパイラルショット】!!」

「【ディバインフォール】!!」

 ヒメノの放つ強力無比な矢の攻撃と、ヒナが放つ光の瀑布。その攻撃を受けた玄武のHPは、残りわずかである。

 しかし今の攻撃で、ヒメノとヒナのヘイト値が上昇。そしてHP減少による行動パターン変化が発生し、玄武が頭部と尾、前足と後ろ足を引っ込め……そして勢いよく横に回転し、後衛二人に向かっていく。


「させないわ……【ストロングガード】!!」

 リューシャが盾を構えて武技を発動し、玄武の攻撃を受け止める。そうして止まった所に、イザベルが駆け込んで渾身の一撃を放つ。

「【ハードスラッシュ】ッ!!」

 盾で受け止めた瞬間に、吹き飛ばし効果のある武技を叩き込む。そうすると、玄武のこの攻撃は中断させる事が可能なのだ。ここまで来れば、玄武の攻略法も熟知済み。

 そうして玄武の最後の足掻きを終わらせるべく、アナスタシアが≪儀式剣≫を構える。

「終わりよ……【コキュートス】」

 氷属性魔法の最終奥義をまともに喰らい、玄武の全身が凍り付き……そして、そのまま砕け散る。

 こうしてジン達は、危なげない戦い振りで四百三十階層をクリアしたのだった。


……


「あら? やった、運良くドロップ出来たのね」

「わぁっ、アナスタシアさんもですか? 私もドロップ出来ましたよ!」

 今回の玄武討伐で、ヒメノとアナスタシアが四神スキルをドロップする事に成功した。ヒメノが手に入れたのは、【武の護甲】というスキルであった。アナスタシアは、攻撃系スキルである【玄の衝撃】だ。

「これ、第一回の≪宝玉≫にはなかったスキルですよね?」

「そうでゴザルな……今回のイベントで、四つ目の四神スキルが実装されたとか?」

 実はこの第四の四神スキルについては、掲示板にプレイヤーが書き込んだドロップ報告を見ていれば知る事が出来た。なにせジン達は、第一回イベントで全ての四神スキルの情報を得ていたのだから。もっともイベントで忙しいこの時期なので、じっくり掲示板を見るのは難しいのが実情である。


************************************************************


 ちなみに第四の四神スキル追加は、運営の一人のある思い付きが発端である。その話が出たのは、第四回イベントが終わった少し後……第五回イベント開催に向けて、運営陣が会議を行う場での事である。

「四神からドロップする武装スキルなんですが、三個っていうのはちょっと中途半端な気がしません? 四神なのに、三種類ですよ」

「「「……そう言われてみると、確かに」」」

「そこで提案があるのですが……どうせなら来たる第五回イベントで、四つ目を出してみたらどうでしょう!」

「おぉ……下寺君、良い提案じゃないか!!」

「上谷さん、どうでしょうか。神の用意した[試練の塔]なら、神に属する四神がボスとして表れても良いはずでは?」

「確かに、それっぽい話になりそうですね。ふむ……それならシナリオに、少し修正を入れるのも良いかもしれません」

「はいはーい! どうせならイベンターのエル・クレア神も、もうちょい親しみを感じる方向にしたら良いんじゃないですか?」

「あら、良いわね奥島さん。そうね、うっかりした感じとかどうかしら……」

「塩梅が難しいですね、金城さん。どうせなら、駄女神っぽく……いや、それはやり過ぎか。ちょっとばかり、”ポン”なくらいが良いか」

「「「「どうでしょう、ボス!!」」」」

「ボス言うな……修正案を纏めて、メールで送信するように。方向性自体は良いとは思うからな、あまりやり過ぎない様に気を付ける事」

「「「「イエス、ボス!!」」」」

「ボスじゃないって言ってんだろうが、お前等は」

「まぁまぁ、あなた……あぁ、それと一言言っておくわよ。エル・クレア神を演じるのは、渡会星依さんに正式に決定したわ。それを念頭に置いた上で、今週末までに修正案を仕上げる事」

 こんな感じである。AWO運営、自由過ぎる。


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 それはさておき。

「へぇ、良いなぁ……ねぇヒメノちゃん、どんなスキルなのか教えて貰うのってOK?」

 テオドラが興味津々といった様子で問い掛けると、ヒメノは笑顔でそれに応じる。どの道、掲示板などで情報は出回るだろう。ならば、秘匿する必要など無い。

「えっと、これは防御のシールドを四秒間、展開出来るみたいですね」

「おー、良いねぇ! シールドはやっぱ、亀の甲羅とかかな?」

 ここまで行動を共にしたおかげか、テオドラはヒメノに対して実に気安い態度をとる様になった。ジンには相変わらず、警戒心バリバリであるが。

 とは言っても、ジンの人間性や実力はテオドラも認めている。アナスタシアとの精神的な距離感が、近い事が引っ掛かるだけである。

 ともあれヒメノにとって、防御手段が増えるのは実にありがたい。そのスキルは、≪大蛇丸≫に付与する事にした。アナスタシアも、愛用の≪儀式剣≫に【玄の衝撃】を付与。


「となると、他の四神スキルも追加があると考えて良さそうでゴザルな」

 ジンがそう言うと、イザベルが微笑みを浮かべて頷く。

「そうですね。玄武で防御となると、朱雀だったら……もしかして、飛んだりできるんでしょうか?」

「あはは、そうかもしれないでゴザル。だとしたら、一度使ってみたいでゴザルなぁ……」

 あんた、普通に空を走るやんけ。最も、飛翔するのと跳躍するのは別なのは確かだが。


 イザベルもジンやヒメノに対して安心感を感じているのか、穏やかな表情で会話を楽しむくらいに打ち解けている。ここ最近、ソウリュウとのニアミスがあった影響で元気が無かったのだが……今はリラックスした様子で、笑顔を見せているのだ。

 その様子を見たアナスタシアは安堵し、柔らかな笑みを浮かべていた。


――ベル、少し気分転換になったのかしら。流石、ジンさんとヒメノさんね。


 普段はギルドメンバー限定でパーティを組んで攻略しているが、こうして二人とマッチング出来たのは僥倖だった。イザベルの心境面だけでなく、四神スキルという予想外の収穫も得られた。

 とはいえ今日は、これ以上の攻略はやめるべきだろう。この後のマッチングで、ジンやヒメノの様な存在に当たるとは限らない。時間もそろそろ二十二時になりそうだし、今夜はここで切り上げるべきか。

 アナスタシアはテオドラとイザベルにそう問い掛けると、二人も同じ考えだったらしく今夜はここで攻略終了にする事となった。

 ジンとヒメノはアナスタシア達と挨拶を交わし、[試練の塔]から退出した。


************************************************************


「まぁ、同時に退出すれば……」

「ここで顔を合わせますよね~」

 同じタイミングで退出した為、五人は早々に≪転移門≫の前で再会した。別れの挨拶から、一分足らずである。

「では、今回はこれで……」

「でゴザルな」

「お疲れ様です、おやすみなさい!」

「またね、ヒメノちゃん! ついでに、ジンさんも」

「こらこら、テオ。お二人共、おやすみなさい」

 苦笑し合いながら、今度こそと別れの挨拶を交わす五人。そうしてシステム・ウィンドウを開いた、その時だった。


「だからさ、同じLQOラストクエスト・オンラインに居たよしみで、クランを結成しようって言っているだけじゃないか。あんたら、LQOあっちでは【フローラ】ってギルドだったろ?」


 そんな男性の声が耳に入り、アナスタシアとイザベルの表情が凍り付く。声がした方に視線を向けてみれば、そこには白い装備で統一された自分のギルド【ラピュセル】のメンバー。三つに分けたパーティの内、アリッサが率いるパーティが居た。

「私達は、あなた達と組むつもりは無いの。話はそれで終わり?」

「何でそんなにツンケンするのか、理由が解らないぜ。理由をハッキリ言ってくれないと、俺達だって納得できないじゃあないか」

 問題は、彼女達が会話している相手……竜の顔をイメージした鎧を身に纏うプレイヤー達だ。

「【竜の牙ドラゴン・ファング】……しかも、あの男は……」

「……ソウ、リュウ……」

 五人の男性の内、一人はソウリュウ……LQO時代に、イザベルと因縁のある人物であった。


 そんな時、アリッサが率いるメンバーの一人がアナスタシア達に気付いた。その顔は援軍を発見したという表情であり……そして、イザベルの姿を捉えて表情が一変する。彼女も、イザベルの事情を知っているらしい。

 運が悪かったのは、【竜の牙ドラゴン・ファング】の一人がそれに気付いてしまった事だろう。

 ソウリュウは決して逃がすまいと、アリッサ達から視線を逸らさない。だがソウリュウの同行者である一人の青年が、彼女の視線が向けられている表情をチラリと見てしまい、そこにアナスタシア達が居る事に気が付いたのである。

「おっと、おたくらのギルマスも来たじゃねぇか。いいタイミングだな?」

 そんな青年の言葉に、ソウリュウも視線をそちらに向けて……そこにイザベルが居る事を確認し、表情を歪めた。

「おぉ、本当にいいタイミングだな」

 そう口にして、ソウリュウは矛先を変える。


 ソウリュウが歩き出し、アナスタシア達……いや、イザベルに近付いていく。一瞬だけ見せた歪んだ笑みは消えて、何も知らない人間が見たら爽やかな笑みを浮かべた好青年といった様に見える。

 しかしイザベル達にしてみれば、その笑顔が作り笑いであり……先程の粘着質な印象を受ける笑みが、彼の本心なのだと察するに余りある。

「久し振りだな、イザベル」

 声を掛けられたイザベルは、表情を蒼褪めさせていた。彼の存在はトラウマに等しい物であると同時に、彼はイザベルの現実リアルの情報を知り、写真も持っている。勿論ただ普通の、高校時代の制服姿の写真であるが……それでもその写真が、ソウリュウの手元にあるという事自体が問題なのだ。

 それを利用して、自分達を取り込もうとしている。イザベルは、ソウリュウの表情からそれを感じ取ってしまった。


「会えて嬉しいぜ……俺が【竜の牙ドラゴン・ファング】で出世したら、君を迎えに行こうと思っていたんだ。もう他のギルドに入ってしまっていたから、残念ながらそれは適わなかったけどな」

 そんなの嘘だと、声を荒げて反論したかった。ギルドに誘いたい者が居るか問われた時に、特に居ないと言っていたのを知っているのだと怒鳴ってやりたかった。

 しかし、イザベルは不安と恐怖でそれどころではない。悪寒を覚え、今にも身体が震え出しそうだった。


「でも、お互いにAWOに移籍していて良かった。クランシステムが実装されて、同盟を組めればまた君と一緒に冒険が出来るもんな?」

 そんな事を口にしながら、ソウリュウは笑みを深めた。

「俺達は、()()()()()()()()()()()()。そうだろ?」

 名前こそ明かしていないものの、自分が何歳なのか、どの辺りに住んでいるのか……事細かにではないが、親密だった頃にそういった話もしていた。そして例の写真によって、イザベルの現実リアルの顔をソウリュウは知っている。

 それを使って、イザベルを意のままに操ろうとしている……それをアナスタシア達も解っていた。しかしここで彼を突き放せば、何をしでかすか解らない。その時、被害を被るのは自分達では無くイザベルだ。


 ソウリュウもそれを理解していながら、更に踏み込む。イザベルの様子から、このまま押し切れば自分の要望を通せるという確信の笑みを浮かべながら。

「君の所のギルドマスターを、一緒に説得してくれるよな? 【竜の牙ドラゴン・ファング】と、クランを組もうって。一緒にまた、ゲームを楽しもうじゃないか」

 心にもない、その言葉を平然と口にするソウリュウ。彼が求めているのは、ギルドがのし上がる為の戦力であり手足。自分達が主導権を握り、【ラピュセル】を傘下にしようという策略だ。


 しかも、ここは≪転移門≫の目の前。この場に居るのは、自分達だけではない。二十二時を回った時間帯で、今から攻略に勤しもうとするプレイヤー達も少なくないのだ。そして今、自分達は注目を集めている。

「【ラピュセル】と【竜の牙(ドラゴン・ファング)】がクラン結成かよ……」

「へぇ、【ラピュセル】ってLQOにいたんだな」

「【竜の牙(ドラゴン・ファング)】ってLQO最大のギルドだったらしいしな。例の宣戦布告、もしかして本当に……」

 そんな野次馬達の声が、アナスタシア達の耳に届く。イザベルは何も言えずに、震えそうになる身体を抱き締めるようにして立ち竦む事しか出来ない。


 そんな時だった。

「ふむ、事情は理解したでゴザル」

 そう、ここにはこの二人が居るのだ。


 彼等がそこに居る事は、ソウリュウも重々承知の上だった。しかし彼にとって【七色の橋】……そしてクラン【十人十色ヴェリアスカラー】は自分達が頂点に立つには最大の障害であり、打倒すべき存在である。

 そう、彼は先日の()()()()を本気だと思っていたのだ。というより、あの一件の後もリンドは本心を取り繕い続けていたのである。【十人十色ヴェリアスカラー】に対して闘志を燃やす仲間達を前に、彼等のクランに加入したいんだと言えないままであったのだ。


 つまり、相手は”敵”……それがソウリュウの認識であった。

「おっと、これはこれは。クラン【十人十色ヴェリアスカラー】に名を連ねる、【七色の橋】のジンさんとヒメノさん……だね。AWOに名を馳せる、有名なお二人さんに会えるとは……実に、光栄だね」

 アナスタシア達に向けていた、似非爽やかスマイルを引っ込めたソウリュウ。ギラつく様な、好戦的な笑みを浮かべてジンとヒメノを見る。

「俺はソウリュウ……【竜の牙(ドラゴン・ファング)】に所属している。どうぞ、お見知り置きを」

 その言葉だけ見れば、丁寧な自己紹介に思えるかもしれない。しかしソウリュウは自分達よりも好成績高評価を得ているジン達に対し、戦意を滲ませている。


――いつまでも、トップに居られると思うなよ……必ずお前達を、頂点そこから引き摺り下ろしてやる……!!


 だが、彼はここで事を構えるつもりはなかった。今の自分達の勢力と実力では、トップランカー揃いの【十人十色ヴェリアスカラー】に対抗する事は出来ない。それを判断出来る程度には、彼は冷静であった。

 むしろ、それが故である。彼等を打倒するその為に、【ラピュセル】が必要なのだ。彼女達はイベントランク上位の実力があり、自分達より人数が下である。

 彼にとって【ラピュセル】は、傘下にするのに都合が良い存在であった。だから逃がさない、必ず取り込んでみせる……そのチャンスが今であり、この機会を逃すつもりはなかった。


 だから彼は、ジンとヒメノに向けて更に言葉を続ける。

「しかしながら、今は彼女達と大事な話をしている最中でね……申し訳無いが、関係者以外の横槍はご遠慮頂けないかな?」

 トップランカーに対する敬意のつもりで、敬語を使ってはいるが……要約すると、ソウリュウは「関係ない奴はすっこんでいろ」と告げていた。


 しかし、ジンはそんなソウリュウの言葉に平然と首を横に振る。

「拙者達も、無関係という訳では無いでゴザルよ……」

「……何?」

 訝し気な表情を浮かべるソウリュウに、ジンははっきりとした口調で断言する。

「我々【十人十色ヴェリアスカラー】も、彼女達【ラピュセル】を()()()()()()()()故……全くの無関係では無いのでゴザルよ」

 それは、ソウリュウだけではなく……この場に居る一部のプレイヤー以外にとって、予想外の宣言だった。

次回投稿予定日:2024/7/5(本編)

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすがドラファンさんだ!株価が下がること滝の如しだぜ!! しかし4つ目の四神スキルは重要そうなんだよなぁ…。
[良い点] 危なげなく勝利 そして 談話会 [気になる点] 運営様 自由過ぎますよ 誰か 気を引き締める方 いらっしゃいませんか〜?! [一言] やられ役 再び
[良い点] 良いですよね魔砲使い。魔法使いではなく魔砲使い。大好物です。あと玄武はいつからガメラになったんですかねw [一言] ソウリュウアウトー!!運営さんコイツです。ソウリュウこいつはアレクと同じ…
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