94 「気合です」「気合ですじゃ」「気合だーっ」w
「何だ何だ」
「あの若いにーちゃん、空飛んできたぞ」
「金髪碧眼だよ。外人さん?」
「何かちょっとかっこいいね」
大喧噪の中、R-2号はエリスの前に着地。
うおおおおおー
見事な着地に大歓声。
更にエリスに頭を下げるR-2号。更に起こるどよめき。
「絵栗鼠様。オ呼ビデショウカ?」
うおおおおおー
今度のどよめきは主に女性陣だ。
「いっ、今、『エリスサマ』って言ったよ」
「あのウェディングドレス姿の女の子とどういう関係?」
「お姫様に忠誠を誓う金髪の執事?」
「それか、金髪の護衛騎士とか?」
「恋心と忠誠心がわやくちゃわやくちゃ?」
「キャーッ!」
「うむ」
しかし、エリスは一向に意に介する様子もない。
「何だかにゃんこ先生がR-2号さんのことを呼んでいるようなのだ。行ってくるのだ」
「ハッ、シカシ」
少し逡巡するR-2号。
「昨日今日ト、オ金ガ全然稼ゲテナイノデス。今日ハ食糧ニナル銀杏ヲ探シマシタガ見ツカラズ、モウ少シ探シタイト」
銀杏拾いって、某落語家さんの持ちネタじゃないか。また妙なこと本気にしてー。大体、今は春だから銀杏が落ちているわけがないし。
「あーかまわない」
しれっと言い放つエリス。
「お金は参謀総長のオキムネが何とかするから、R-2号さんはにゃんこ先生のところに行ってればいいのだ」
ちょっと待て。お金は僕がどうにかするって何だ? それにR-2号は絵栗鼠の護衛だろう? あっさりとねこや先生のものにしちゃっていいのか?
「別にかまわんぞ」
何だかR-2号が不憫になってきたぞ。
◇◇◇
「もうっ、いつまで待たせるのよっ! マイダーリンッ!」
わあっ、ねこや先生が後ろからR-2号に抱きついた。
「みんなが私の彼ピのこと待っているから、じゃあ剣汰瓜さん、アールニゴウさんもらっていくね」
「別にかまわんぞ」
本当に不憫だわ。R-2号。
◇◇◇
「おいその姉ちゃんの彼氏とやら、さっき空飛んできたぞ。本当に人間か?」
さっきから一連の出来事を見ていたらしいおじさんからツッコミ。ごもっともです。だって本当に人間じゃないし。アンドロイドだし。以前と違って屋内じゃないからワイヤー使ったとかごまかしもきかないし、はあどうすべえ。
「私の彼ピは『人間』ですっ!」
堂々と胸を張って反論するねこや先生。なお、エリスと違い、胸はそこそこある。
「じゃあ何で空飛んできたんだ?」
おじさん、もっともな再質問。それに対する答えは……
「『気合』ですっ!」
更に老谷のじいちゃんが
「『気合』ですじゃっ!」
父さんが
「『気合』だーっ!」
結局、そっちに行くんですね。




