90 アニメマニア巴戦w
「おおう、誰かと思えば足利後輩ではないかね。日本の平和をちゃんと守っているかね?」
父さん、エリスに父さんなら撃たれてもかまわないと言われたのも一向に意に介さず、おまわりさんと会話を始めたぞ。
「新田先輩。日本の平和を守るのも大事ですが、今は駅前の平和を守らねばならないんですよ。この異様に目立つ痛車仕様のトラクター何とかしてください」
「何を言うか。足利後輩」
父さん、ふんぞり返る。うわ。
「俺だってとっとと駐車してかーいいウチの嫁ちゃんと写真を撮りたいのだ。しかし、この渋滞では動けんのだーっ!」
「まあそうですわね」
呆れつつも納得するおまわりさん。
「おかげさまで、野次馬で駅前駐車場も満車状態だし。仮に新田先輩が駐車できてもそこが人だかりになって、他の車が出せない騒ぎになるし……。えーいっ、分かりましたっ! ちょうどパトカーが出払っていて交番の駐車場空いてるからそこに入れてください。特別ですよ」
「グッジョブッ! 足利後輩っ!」
親指を立てる父さん。あーあ。
「ついでに交番の駐車場まで交通整理して誘導してねー。これじゃ動けないからw」
「はいはい。分かりました」
「偉いぞ。足利後輩。俺が魔法少女の『ラブラブ愛凜』だとすれば、君は『ラブラブ愛崙』くらいは偉いっ!』
「『ラブラブ愛崙』って、『ラブラブ愛凜』の一番下の妹でまだ赤ちゃんじゃないですかーっ!」
え? ここでエキサイト? おまわりさん、あなたもオタクですかあ?
「何を言うか。足利後輩。『ラブラブ愛崙』可愛いじゃないかっ! お姉ちゃんの『ラブラブ愛凜』が『ラブラブラブリーン』と言うところを『ラブラブ愛崙』が『バブバブバブローン』と言うところは激萌えだろうが」
「いーや新田先輩のお言葉ではありますが、それは認めがたいですね。何と言っても『ラブラブ愛凜』のお姉ちゃん『ラブラブ愛蘭』ちゃんでしょう」
「何っ? 『ラブラブ四姉妹』の長姉であるにもかかわらず闇落ちして『ラブラブ愛凜』たちに立ちはだかる『ラブラブ愛蘭』が足利後輩の推しだと言うのかっ?」
「そうですよ」
父さんに負けないくらいふんぞり返るおまわりさん。だんだん周りがついて行けなくなっていますよ。僕はついていけていますが。
「『ラブラブ四姉妹』の長姉であるというプレッシャーから苦悩し、闇落ちする『ラブラブ愛蘭』ちゃん。そのお姿は神々しくも美しい。彼女を推さずして誰を推すと言うのです? 新田先輩?」
「ちょっとちょっと」
わっ、老谷のじいちゃんが出てきた。止めてくるのかな?
「お二人とも黙って聞いていれば聞き捨てならぬことを。『ラブラブ四姉妹』の三番目『ラブラブ愛蓮』ちゃんが一番でしょう。あの太陽のような明るさ。ムードメーカーぶり。彼女を推さずしてどうするのです? お二人とも」
あ、やっぱりこうなったか。
「ふあああああ~」
あ、エリスがウェディングドレス来たまま大あくびした。




