75 高校入学三日目新婚さんいらっしゃーいっ!w
「ふふふ。ほらほらあ、剣汰瓜さんも言ってるじゃなあい。アールニゴウさんはあたしに任せておけばいいの。彼女だけ見てなさい。うぷぷ」
ねこや先生、楽しんでるなあ。くそー。
「オキムネッ!」
は、はいはい。
「にゃんこ先生もああ言っているっ! あたしだけを見ろっ!」
はいはい。
「ほれっ、あーん」
ぱくっ
「美味しいかっ? 美味しいかっ?」
おっ、美味しい。
「そうかそうか。ほらもっと食べろ。あーん」
あーん。ぱくっ
「剣汰瓜さん、新田君。ラブラブなところ悪いけど早く食べないとそろそろ昼休み終わるよ」
◇◇◇
鵜鷺先生、アドバイスありがとうございます。時々、この作品、時空が歪んでいるんじゃないかと思うこともありますが、それでも昼休みはいつか終わる。
「オキムネッ! よそ見をするなっ! あたしだけを見ろっ!」
はいはい。いずれにしても食べなきゃね。
キーンコーンカーンコーン
あ……
「ほらほら、ラブラブも青春。学業も青春。早く教室に戻って」
鵜鷺先生、こういうところはしっかりしてるなあ。校長先生も頷いている。まあ締めるとこ締めないとこのガッコ、学校じゃなくなっちゃいそうだしね。
「オキムネッ! これで最後だっ! 一気に食えっ!」
うわ、ご飯の塊が来た。ンガググ
◇◇◇
五時限目の授業は何も耳に入らなかった。
もう勘弁してくれ。僕は今まで女の子と付き合ったことないのだ。それを「あーん」ってもう。
エリスの方はどうなんだろうと見てみれば、相変わらず聞いてるんだか聞いていないんだか分からない顔で授業受けている。
僕もそうなんだけど大丈夫なんかなあ。高校には「赤点」というものがあるっていうんだけど。
キーンコーンカーンコーン
あ、五時限目の授業が終わった……と同時に
ガッ
わあっ、エリスに右肩を掴まれた。いきなり何だ?
「オキムネ……」
何だ何だ? どうした?
「お腹すいた……」
◇◇◇
考えてみればずっと僕にあーんし続けて昼休みが終わって、自分は全然食べてないんだもんな。そりゃお腹もすくよ。ちょうど休み時間になったし、弁当食べれば。
「オキムネ……」
何だ?
「あーんしてくれ」
ぶっ、待て待て待て、ここは教室だぞっ! そんな恥ずかしいこと出来る訳がない。
「オキムネ……」
なっ、ななな何だ?
「あーんしてくれ」
だから、そんな恥ずかしいこと出来ないって。
◇◇◇
「やるのだ。オキムネ。あたしはお腹ペコペコなのだ。それともオキムネはあたしにあーんしたくないと言うのか?」
うわっ、まだ涙ぐんだ。もう仕方ないな。ほらあーん。
「あーん。ぱくっ」
うっ、うーむ。可愛いぞ。ほらあーん。
「あーん。ぱくっ」
「ぎいーっ!」
後方で何とも言えぬ叫び声がする。言うまでもない。奴だ。
「こっこっこっこのリア充っ! 高校入学三日目新婚さんいらっしゃーいっ! 来月にはハネムーンベイビー。こんにちは赤ちゃん」
サダヨシ。取り乱し方がどんどんグレードアップしてないか?




