70 効果音は口で言わなくてもよいのですw
「じゃじゃじゃーん。できたー」
校長先生、スケッチブックを前に満面の笑み。
そのスケッチブックに描かれていたのは。うわあっ。
エリスもねこや先生も食い入るように見入っている。鵜鷺先生は何かを察した顔で「やはりですか」とつぶやく。当然、R-2号は何が起こったか全然分かっていない。
そこは上半身裸美形のR-2号が後ろからやはり上半身裸の僕に抱き着いている姿が。
R-2号の右腕は大きく僕を抱え込み、左手は僕の胸の上、そして、悩ましそうな僕の顔……ギャーッ!
「これはどういうことなのだっ! オキムネの金塊は絵栗鼠が狙っていたのだぞっ! 横取りはいけないぞっ! R-2号さんっ!」
R-2号に理不尽な抗議をぶつけるエリス。何が起こっているか理解できないままご主人様に抗議され、困惑顔のR-2号。
「校長先生。校長先生と言えど、アールニゴウさんはねこや先生の彼ピです。譲るわけにはいきません。それに校長先生は既婚者でしょう?」
ねこや先生は校長先生に抗議。エリスの抗議よりは理不尽ではないけど……
「ふっふっふ」
余裕の笑みを浮かべる校長先生。
「ねこや先生も剣汰瓜さんも相当な剛の者のようだけど、まだまだね。おや、鵜鷺先生は分かってらっしゃるようね」
頬を赤らめて頷く鵜鷺先生。何なの、これ?
◇◇◇
「BLの心は愛でるもの。見つめるもの。決してその世界に混ざろうとか、手を出そうとか思わない。従って既婚未婚は問題にはならないのです」
校長先生、淡々と諭すように語っていますが、要はオタク談議ですよね。
「いやしかし校長先生がBL趣味をこうオープンにしてよいものでしょうか? 確か旦那様、この市の教育長でしょう」
ねこや先生、「あなたがそれを言いますか?」のツッコミは取りあえず僕も棚上げにして、言われていることは一理あります。
すると……
「ふふふ。ふふふふふ」
わあっ、校長先生不敵な笑い。
「そう。ねこや先生の言われるとおり、私の旦那は教育長。そして……」
校長先生、おもむろに手持ちのカバンから一冊の「薄い本」を。あっ、あれはっ! リリアン百合咲先生のコミケ本! 「18歳になった僕の母親と22歳のクラス副担任が百合になった件」! マニア垂涎の幻の一品っ! 何故それを校長先生がっ?
「ふふふ。あなた。高校一年生なのにR18のこの本のことをよく知ってるわね。ま、それは今は置いといて。私の旦那。確かにこの市の教育長。そして、もう一つの顔はこの市が生んだ偉大なるコミケ百合作家リリアン百合咲っ!」
「があああああん」
ねこや先生。それは効果音ですから、実際に口に出さなくてもよいのです。
「そしてこの私。この学校の校長。もう一つの顔はコミケBL作家まっそー薔薇園っ!」
「があああああん があああああん」
だからねこや先生。それは実際に口に出さなくても……




