56 メインヒロイン忘れられるact3w
エリスの治療は止まったままになっちまってる。再開させないと。えーと。 R-2号っ! もう一回、ねこや先生に治療を頼むんだっ!
「ウッ、ウム。先生、絵栗鼠様ヲ治療シテクレ」
「あーるにごうさーん」
あれ、また、ねこや先生が怖いぞ。今度の地雷は何だ?
「アールニゴウさんは、あたしと絵栗鼠ちゃんのどっちが大切なのっ?」
何で修羅場みたいになってんの?
「先生ガ治療シテクレナイゾ。オキムネッ、ドウシタイイ?」
うーむ。ねこや先生は R-2号が絡むと我を失うようだ。となると。
◇◇◇
やむを得ん。あまり使いたくない手だが、こうするしかあるまい。ねこや先生。
「何よお。新田くん」
エリスは僕にとって大切な存在なんです。その彼女が痛がっているのを見るのはとてもつらい。一刻も早く治療をしてあげてほしいのです。
「んまあああ」
ぴこぴこぴこぴこ
「何てピュアーなファーストラヴなのっ! あたしは魂を揺さぶられたわっ!」
先生っ! 先生っ! 魂が揺さぶられなくてもいいのでエリスの治療をしてくださいっ!
「分かったわっ! 分かったわっ! 絵栗鼠ちゃんは、新田くんでラヴラヴなのねっ! アールニゴウさんは彼女・恋人はいないのねっ!」
そうそう、そのオチでいい……いやもとい、その通りでいいので、早くエリスの治療をしてくださいっ!
「何か微妙に引っかかるところがあるんだけど。あたしは学校の天使養護教諭。ここは万難を排して、絵栗鼠ちゃんの治療をしましょう」
いや万難を排するも何もそれが普通……いえ何でもありません。治療をお願いします。
「痛いのだっ! 痛いのだっ! 早く何とかしてもらいたいのだっ!」
うん。エリスは僕の言葉を気にもしてないわ。ラブコメにならないのはちと寂しい気もするが……うーん、まあ仕方ない。エリスの治療が優先だわ。
「ちょっと待ってね。全体をもう一回消毒してからね」
「いだいっ! いだいっ! いだいーっ!」
「ああもう動かないで。そこの彼氏っ! 彼女をバックハグしてあげてっ!」
えっ、えーと。先生。バックハグって?
「えーいっ! じれったい。こうするのよ。こうっ!」
ねこや先生、またも治療を中止し(わあっ)、後ろからR-2号に抱き着くとR-2号の肩に顎を乗せる。
更にR-2号の背中に体をこすりつけるっ! せっ、先生っ! この作品はR-18ではありませんっ!
「オキムネ。コノ行動ニハ何ノ意味ガアルノダ?」
えーとね。ねこや先生は凄くR-2号のことが好きみたいだよ。はあ。
「痛いのだっ! 痛いのだっ! 早く何とかしてもらいたいのだっ!」
ごめん。エリス。本当にごめん。




