53 猫耳先生はアンドロイドの夢を見るかw
ガッシャアアアアーン
空を飛び、保健室のガラス戸を突き破って侵入してきたのは、やっぱりメタルヒーローズの一人。左眼つぶって見たら、金髪碧眼だったからR-2号の方ね。
「絵栗鼠様ーッ、ドウサレマシタッー? 今、悲鳴ガ聞コエマシタガ」
ガラスの破片をパラパラと落としながら、着陸するR-2号。さすがはアンドロイド。傷一つ負ってない。
そうこうしているうちにR-2号と僕の目が合う。
「オキムネーッ! オ前ガ付イテイナガラ絵栗鼠様ニ危害を加エラレエルとは何事ダーッ!」
待て待て、エリスは危害を加えられたわけじゃないよ。消毒液がしみただけだ。
「ソ、ソウナノカ」
それよりR-2号。普段はエリスと連絡取れないんじゃなかったか? どうしてここが分かったんだ?
「ソコノ広イ土地ニイタラ、絵栗鼠様ノ悲鳴ガ聞コエタノダ」
そこの広い土地って校庭かあっ? 部外者が勝手に学校に入ると「通報」されるんだぞ。おまわりさん来るぞっ!
「ナッ、何ッ? オマワリサン?」
慌てるR-2号。
「コウシチャオレン。逃ゲヨウ」
待て待て。R-2号。おまわりさん来るからって、ここから逃げてどうするよ。ここには主君のエリスがいるんだぞ。
「ソッ、ソウダッタ……」
で、何で校庭に入り込んでたの?
「キラリト光ルモノガアッタノデテッキリオ金カト思ッタノダ。ソシタラコレダッタ」
なるほど針金のカケラねえ。はあ。つーかまだお金拾い続けてたの?
「他ニ何カ方法アルノカ?」
やれやれ、初手でお金拾いで稼ぐと学習したのでそれが心に刻み込まれているのね。はあ。どうするっぺか。
◇◇◇
「ちょっと新田君に絵栗鼠ちゃん。この美形のお兄さん、誰?」
そうだったあ、今この場には、ねこや先生がいたんだった。はあ、どう説明するっぺ。この惨状。
「先生。これはR-2号さんなのだ。『皇帝』のあたしの護衛用にケンタウリ星から連れて来たアンドロイドなのだ」
うわっ、エリスの奴、しれっと本当のことをしゃべりやがった。これはヤヴァイか。
「ふーん。そうなんだ、カッコイイね。絵栗鼠ちゃん。さすがはケンタウリ人だね。で、新田君、この美形のお兄さん、どなたなの?」
しめた! どうやら、ねこや先生はさっきのエリスの発言を厨二の一環として捉えてくれたようだぞ。ここは一気に決めてしまおう。
「えー、この金髪の兄ちゃんはですね。絵栗鼠の親類でハーフです。最近までヨーロッパに住んでいて、日本の常識に疎いんですよ。でも、絵栗鼠のことはすごく気にかけていて、さっきみたいに絵栗鼠の悲鳴を聞くと無茶しちゃったりするんですよ」
「ふーん。親戚のお兄さんでハーフ。絵栗鼠ちゃん思いってことは優しい。美形。ヨーロッパから来た金髪碧眼。かっこいい。彼女いるのかな?」
ぴこぴこぴこぴこ ぴこぴこぴこぴこ
盛んに動くねこや先生の猫耳。うーん、これは・・・・・・




