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エリス・ザ・ファースト~おかしな建国皇女とおかしな周囲の人たちの日常コメディ~  作者: 水渕成分


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50/197

50 女房が困ってるんだから、亭主が何とかしろいっ!w 

「ん~何を言われてるのだかよく分からないのだが……」

 絵栗鼠(えりす)は右手の人差し指を立てると小首を傾げる。悔しいが可愛いことを認めざるを得ない。うーむ。


「私はオキムネの『金塊』がほしいだけなのだ。そのためには『恋人』にならなければならない。『恋人』になるためには、たくさんスリスリをしなければならないと教わったのだ」


「『金塊』……」

 さすがにこの絵栗鼠(えりす)の発言は普通の女子高生にはインパクト大。しかも三日前に入学したばっか。場は凍る。


 だがそれは一瞬だけだった。


 キャアアアアアア


 女の子たちの黄色い声のヴォリュームはさっきの三倍を超えた。


「何それ何それ何それーっ!」

絵栗鼠(えりす)ちゃんてばだいたーん」

「『金塊』ってやっぱり『金塊』だよね。ドキドキ」

「最近の女子高生は進んでるうーっ!」


 自分だって女子高生でしょう。ある程度予想はしたが、やはり話があらぬ方向へ(汗)。 


 ◇◇◇


 それからはもう女の子たちはエリスを取り囲んでキャーキャーキャーキャー


 僕には手が出せません。


 うちのガッコ。今は共学校だけど、前身は高等女学校で、伝統的に女子が強いとは聞いていたけど、早くも洗礼を受けてます。


 それでもこの騒ぎが収まる時は来ました。


 ガラリと教室の前方の扉が開き、入って来たのは担任の鵜鷺光 (ウサギヒカル)先生。


 この騒ぎを見ても一切焦らず、パンパンパンと手を叩く。

「はいはいはい。楽しいコイバナはいったん中断ーっ。お楽しみは後でね」


 ええーっ


 不満の声を上げる女の子たち。うーん。うちのガッコ、フリーダムだなあ。


「コイバナも青春。学業も青春。ホームルームも青春。他のこともやってこそ、コイバナも輝く。コイバナばっかやってたら飽きちゃうよ。はいはい。ホームルーム始めるよー」


「そんなこと言わずに『ピョンちゃん先生』も一緒にコイバナしようよ」


「誰が『ピョンちゃん先生』ぢゃ。それは後でね」


 ふう。取りあえずは落ち着きそう……と思った矢先……


「いだー。いだだだだ」


 うわっ、どうしたっ? エリス?


 ◇◇◇


「こっち側の頬が痛いー」


 エリスの右の頬が赤くなっている。考えてみればあれだけスリスリすれば当然か。


「おやま。ほっぺたが真っ赤だよ。保健室に行っといで。昨日のオリエンテーションで教えたから場所は分かるよね。保健委員付き添いをと言いたいところだけど、これからホームルームでクラス委員決めようとしてたところだねえ」

 「ピョンちゃん」いやもとい鵜鷺(うさぎ)先生、冷静な対応。そこへ。


「先生。付き添いは新田(しんでん)君がいいと思いますっ!」


 その声を皮切りに


新田(しんでん)君」

新田(しんでん)君」

新田(しんでん)君」

新田(しんでん)君」

新田(しんでん)君」


 クラスの女の子たち、もう大合唱。


「女房が困ってるんだから、亭主が何とかしろいっ!」


 サダヨシー。ここぞとばかりに言いやがってー。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ピョン先生、すごい的を射たことを言ってる( *´艸`) こんな先生いいな~。 で、頑張れ旦那笑
[良い点] このクラス、モブで存在する分にはすんげー楽しそうっすねw
2023/02/20 20:28 退会済み
管理
[一言] ピョンちゃん先生いいこと言うわ( ˘ω˘ )
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