49 サダヨシ熱い演説をぶつ(但し、女の子たちは聞いていない)w
しばし呆然としていた僕だが、やっぱり学校には行かねばならない。
スリスリ スリスリ
わっ、エリス。それを続けられると歩きにくいのだが。
「何を言うか。あたしは一刻も早く『金塊』がほしいのだ。続けるぞ。スリスリ」
いやそれは逆効果だと言いたいが、説得に手間取りそうだし、とにかく、ここは学校に行くことを優先しよう。
スリスリ スリスリ
◇◇◇
スリスリの効果は絶大で、「チッ、リア充がっ!」とすれ違いざまに言っていく若い男性。
「あらあらまあまあ、若い人はいいわね」と言い合うマダームたち。
それだってあんまり良くはないが、学校に近づいてからがより一層問題に。
ざわっ
ざわつく校舎内。
そして、教室の扉を開いた時……
◇◇◇
「キャーッ」
「どうしたの? どうしたの? この二人ーっ!」
「入学して三日目でもうカップルが出来た? うちのクラス凄い!」
女の子たち大騒ぎ。みんなコイバナ好きだなあ。その間もエリスはスリスリ続行中。
「あーはいはい」
手をはたきながらサダヨシ登場。おーい、あんまり余計なことを言わんでくれよ。
「新田興宗くん、剣汰瓜絵栗鼠ちゃん。結婚おめでとうございます」
キャーッ
女の子たちは一斉に黄色い声。
何だよそれー まだ入学して三日目だぞ!
男衆は大ブーイング。
「えー、男性諸君。お怒りはごもっともであります。かの言うこのワタシ本堂貞義も先程まではらわたが煮えくり返っておりました。しかしっ!」
何だ何だ?
「ここにおわします剣汰瓜絵栗鼠ちゃん。この見るからに冴えない新田興宗がいいんだそうであります。この本堂貞義から見ても、どの辺がいいんだかサッパリ分からないこの新田興宗がいいんだそうであります」
大きなお世話だよ。冴えないのはお互い様じゃないか。
「その彼女の意気やよし。ダメンズロードにドハマりしてるようにも思えますが、彼女はまだ若い! まだやり直しもきく」
誰がダメンズじゃっ! 誰がっ!
「ここは素直に彼女の『無謀』じゃなかった『勇気』を称えようじゃないですか。つーか女の子は絵栗鼠ちゃんだけじゃないやい。ちくしょう。本堂貞義、十五歳。絶賛彼女募集中であります。本堂貞義。本堂貞義。本堂貞義をよろしくお願いします。本堂貞義に清き一票を」
何で途中から選挙の広報車みたいになってるの?
◇◇◇
「ねえねえ、剣汰瓜さん。いつから新田君と付き合っているの?」
「どっちから告白したの?」
「新田君のどこが好きなの?」
「剣汰瓜さんって堅苦しいなあ。絵栗鼠ちゃんって呼んでいい?」
サダヨシの熱い演説もどこへやらクラスの女の子たちはエリスを取り囲んで質問攻め。もう何をどう対処したらいいんだか、サッパリ分からないよ。




