32 結局収拾はオキムネw
「「「「「んなわけないだろうっ!」」」」」
見事なハモリでじいちゃんに突っ込むお姉さんがた。そうでしょうそうでしょう。
この一件はじいちゃんの自業自得以外の何物でもないけど、黙って聞いていると「アタオコロイノナ神に祈りを捧げれば空を飛べる」とか言い出しかねないから放ってもおけないか。
僕はじいちゃんが口八丁を演じていた時、入手したものをわざとらしく見せる。
じいちゃん。メタルヒーローズ。仕掛けに使ったワイヤーとか滑車とかライターとか回収してきたよーと言いつつ。
「オキムネちゃん。仕掛けって何ぢゃ?」
「オウッ、オキムネーッ、ワイヤーッテ何ダ?」
はいはいはいはい。あなたたちはそういう反応をすると思ってましたよ。でもね、観衆は違ってますよー。
「ワイヤー使って飛んでるように見せたんだ」
「凄い。本当に飛んでるように見えたよ」
「靴底の火ってライター使ったんだね」
「空中急転回もワイヤーかあ」
「凄い技術だね」
パチパチパチ
誰が始めた拍手はやがて万雷の拍手となった。
「いやあ照れるねえ。なーにこんなん大したことないよ」
得意満面のじいちゃん。まあいいけどね。
「オキムネ。何デミンナ手ヲ叩イルンダ?」
バック転とか空中前転とかの演技が凄かったよと感心して、賞賛してくれてるんだよ。笑顔見せて右手上げてみて。
「キャーッ」
メタルヒーローズが笑顔で右手を上げるとたちまち黄色い悲鳴が。
「オキムネ。アノ声ハ何ダ?」
賞賛の声に手を上げて答えたから喜んでくれてるんだよ。
「ソウカ。マタ空飛ンダ方ガイイノカ?」
それはやめろ。マジでやめろ。
◇◇◇
「でも、このかっこいいお兄さんたち何なのですか? 体操のできるアイドル? 役者?」
「うむ。それはわしがプロデューサーをやっているイケメンアイドルスーパーモデルなのぢゃ」
うわっ、じいちゃん。また、そのネタ使うの。
「「「「「それはアニメ・ゲームネタでしょっ!」」」」」
はい、また綺麗なツッコミ。
◇◇◇
実はこちらの二人はですね。僕の遠い親戚で中部ヨーロッパのヴィヴィッテンシュタイン公国から来たばかりで職探しもこれからなんです。
「あらあらまあまあ」
「お仕事見つかるといいですね。あ、でもかっこいいし、本当にアイドルとか出来そう」
「スポーツ万能そうだし、何かスポーツやってたんですか?」
いやちょっと「体操」を。でもそんな大したもんじゃないですよ。
「ご謙遜を。オリンピックにも出られそう」
いえいえそれほどのもんじゃ。いや本当に出られそうだからヤバイんだけどね。
「オキムネ」
何だ? メタルヒーローズ。今大事なところなんだよ。もうちょっとで収拾がつきそうなんだよ。
「ヴィヴィッテンシュタイン公国ナンテ国ハ、コノ地球上ニナイゾ」
そのネタ。まだ引いてたのお?




