27 傍で見てると性質(たち)の悪いナンパだよw
「写真撮ってもいいですかー」
スマホを片手にメタルヒーローズを取り囲む女子高生たち。
当のメタルヒーローズとは困り顔でキョロキョロ。あ、僕と目が合った。
「オキムネー」
「オキムネー。ドウスレバイインダ? 脱ゲバイイノカ?」
わあっ、こっちが答える前に脱ぎ始めるんじゃないっ! 雀荘と違って、ここは食料品も売ってるんだぞっ! おまわりさんに加えて、保健所呼ばれるぞ。
「保健所? ソレハおまわりさんヨリ怖イノカ?」
ああ、怖いぞ。怖いぞーっ。
「怖イ? 何トカシテクレー」
「ちょっと、君! このかっこいいお兄さんたちとどういう関係?」
◇◇◇
へ?
「『へ?』じゃないでしょ。さっきから見てると、このかっこいいお兄さんたちを脅すようなことばかり言ってるみたいだけど」
「君。このかっこいいお兄さんの何なの?」
「あ、この男の子。うちの高校の制服着てるよ」
「え? 何年生? あたしたち三年生だけど」
三年生のお姉さまたちでしたかー。僕は昨日入学したばかりの一年生ですが……
「オキムネー。コノ女ノ子タチ何怒ッテルンダー?」
「脱ゲバイイノカー?」
何でも脱いで解決しようとするんじゃないっ! わあっ、三年生のお姉さまたち怒らないでー。
◇◇◇
「まあまあまあまあ」
そこに現れたのは老谷のじいちゃん。うっ、何をする気だ?
「わしはこういう者ですぢゃ」
名刺を差し出すじいちゃん。
イケメンアイドルスーパーモデルマスター プロデューサー 老谷若孫
ぶっ、じいちゃんっ! それアニメ化されたゲームの丸パクリじゃないかっ! 下手すると火に油を注ぐよっ!
「プロデューサー?」
「よく分からないけど偉い人?」
「このかっこいいお兄さんの関係者?」
「紹介してくれるの?」
「いやあ、あなたたちお目が高いっ! この二人、うちのプロダクションがこれから売り出そうとしているイケメンアイドルスーパーモデルの卵なんですぢゃ」
「えーっ」
「そうなんですかー」
「あたしたちってラッキー?」
「いつデビューするんですか?」
「テレビに出ます? それともユーチューブ?」
「茨城テレビの『イケメンだっぺよ』でデビュー予定ですぢゃ」
「えー? 茨城テレビ? うちじゃ映らないなあ」
「その後、ユーチューブに投稿しますのぢゃ」
「えーっ」
「それは楽しみー」
「いつ投稿されるんですかー?」
「『衝撃のデビュー』を狙ってるから、それは内緒、内緒、内緒、内緒なのぢゃが、あなたたち可愛いから特別に教えてあげる。〇イン交換しよ」
「わー」
「しますっ! しますっ!」
「たっのしみー」
じいちゃん、よくもそう次々と口から出まかせがベラベラと。傍で見てると性質の悪いナンパだよ。大丈夫なの? もう。




