201 最近流行り(?)の物理的悪霊祓いというやつかw
ゴゴゴゴゴ
僕は見られている側だからよく分からない面もあるけど、恐らく背後にはそういう効果音が鳴っているんじゃあなかろうか。ついでに何本かの黒い煙も上がっている気がする。
だがさすがに並み居るお客様方が明らかにドン引きしている状況に犬咲店長、琴理さん、老谷のじいちゃんに三太さんが駆けつけた。
「みんなーっ! 新田君から絵栗鼠ちゃんを引きはがすよっ!」
「「「おおーっ!」」」
犬咲店長の掛け声一下、僕のことは老谷のじいちゃんと三太さん、エリスのことは犬咲店長と琴理さんがつかみ、反対方向に引っ張る。
むむむ。これは最近流行り(?)の物理的悪霊祓いというやつか。
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
つーか、何だか男女対抗の綱引きみたいになっているんですけど。
◇◇◇
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
「オ・キ・ム・ネ~」
それでも効果は上がり(?)、エリスの体は宙に浮いてきた。それでも僕の首から両腕を離さないのはなんつー執念だ。そういう執念は他のところで使ってほしいのだが。
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
「オ・キ・ム・ネ~」
ざわざわざわ
明らかにドン引きしていたお客様たちの様子が変わってきたぞ。何かみんなスマホで写真撮影しているし、あ、何かSNSに投稿しているか、知人にメッセージぽいもの送信しているらしき人もいるぞ。
「さあーみなさんっ! 下総屋の新名物。男女対抗人間綱引きっ! ここは声援を送りましょうっ!」
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
ピッピッピッピッ
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
ピッピッピッピッ
ねこや先生。お祭り好きの血が騒ぎましたか。どこからともかく笛と日の丸の扇子を持ってきて、煽り始めました。
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
ピッピッピッピッ
「「オーエスオーエス」」
「「オーエスオーエス」」
ピッピッピッピッ
「オーエス」の掛け声にお客様方も唱和。何でもイベントにしてしまう下総屋周辺の方々の根性は凄い。
と言いますか、さっきから老谷のじいちゃんと三太さんに引っ張られている僕の体は当然に痛い。そして、エリスだって、引っ張られている以上、体が痛いはずなのだが……
「オ・キ・ム・ネ~」
エリス~。もう勘弁してよー。本物の悪霊祓いよりタチ悪いかも。
「はあはあ」
「ぜいぜい」
犬咲店長と琴理さんは女性だし、老谷のじいちゃんと三太さんは高齢者で、おまけに一人は腰痛持ちだ。まずい。エリスのしぶとさにみんな疲れてきているみたいだ。
◇◇◇
「ぜいぜい。何という強靭な精神。さすがは自称宇宙から来た皇帝ね。絵栗鼠ちゃん。ここで新田君から離れないと、お客さん、みんな帰っちゃうよ。そうするとバイト代も出せない」
これは犬咲店長、物理的な力だけでは悪霊祓いできないと見て、説得を始めたみたい。だけど、果たしてエリスに説得が効くかなあ。
「別にあたしはみんな帰って、バイト代出なくても一向にかまわんぞ。犬咲店長」
ほらこれだ。エリスは。
「あらーそんなこと言っていていいのかなあ。新田君も絵栗鼠ちゃんも高校生でしょう? バイト代が出なかったら、お金がなくて、さびしいデートになっちゃうんじゃないかなあ? ちょっとお出かけして、何か一つ食べて、それでおしまいみたいな」
「むっ」
おお、エリスが反応したぞ。
「バイト代が出なかったら、お金がなくて、さびしいデートになってしまうのか? そうすると『金塊』はどうなるのだ?」
「とーぜん。手に入りませーん」
ドヤ顔の犬咲店長。




