18 R-1号潔白の証明w
「イカサマはやってないとしても、こんなに玉出されちゃあ、店潰されるから出禁にしたいけど、今までの経緯でそれやると店内の女性陣から激怒されそうで、もう」
もう、男性店員、号泣状態。どうしたもんかと思っていると……
「Rー1号。凄イジャナイカ! コノ銀色ノ玉ガコノ国ノ貨幣ナノカ?」
わっ、Rー2号の奴、Rー1号に声かけた。
キャーッ
たちまち巻き起こる女性陣の大歓声。
そりゃそうだよね。黒髪の知的眼鏡美男子のRー1号だけでも盛り上がっていたところに加えて、金髪碧眼の瘦身美青年のRー2号まで出現。
「どゆこと? どゆこと?」
「何この『イケメンパラダイス』」
「美しいわ。美しいわ。美の競演だわ」
「眼福。眼福」
パシャパシャと響き渡るスマホのシャッター音。うわっ、中には電話かけて友達呼んでる人もいる。えらいことになってきたなあ。
「オオッ、Rー2号。サッキソコノマダムタチニ聞イタラ、コノ銀色ノ玉。イロイロナ物ト交換出来ルラシイゾ」
「何ト! ソレデハヤハリ、コノ銀色ノ玉ガコノ国ノ貨幣ナノダナ。私ハテッキリ刻印サレタ平タク丸イ金属ガ貨幣ダト思ッテナ。一所懸命自販機ノ脇ヲ探シタンダガ、全然無インダ。無イハズダ。コレガ貨幣ダッタンダナ」
いや、Rー2号。刻印された平たく丸い金属が貨幣で正しいんだよ。ああ、頭痛が痛い。
◇◇◇
「デモ面白イナ。Rー1号」
「何ガダ?」
「コノ国デハ貨幣ヲ機械ニ入レテ増ヤセルノカ?」
「イヤ、ソウイウ訳デハナイゾ。Rー2号」
何なんだよ。Rー2号。貨幣を機械に入れて増やすって。Rー1号の方はそれよりは分かっているのか?
「Rー2号。コノ機械ノ大半ノぷろぐらむハ貨幣ヲ回収スルヨウニ組マレテイル。ダガ、僅カニ貨幣ヲ排出スルぷろぐらむモアル」
「ソウナノカ」
感心するRー2号。泣き面が青ざめる男性店員。
「私ハ、ソレヲ演算デ導キ出シテ操作シテイルダケダ」
「サスガ演算機能ニ優レタRー1号」
「ナーニ。Rー2号トハ長所ガ違ウダケダ」
男子店員の顔面から血の気が失せた。
◇◇◇
「何なのっ! あのかっこいいお兄さんっ! 頭の中にコンピューターでも入ってるのっ? 天然イカサマ師なのっ? 早く何とかしてっ!」
僕の胸倉をつかんで狂乱する男性店員。頭の中にコンピューターが入ってるって、どうやら本当なんだけど、それを言う訳にもいかないし、まずは止めないと。おーい、Rー1号。
「何ダっ? オキムネ」
これは「パチンコ」という遊戯なんだよ。少し楽しんで勝つのはいいけど、やりすぎるといろいろ問題になるんだ。
「オキムネ。私ハ、インチキシテナイゾ」
言うが早いか、上着を投げ捨て、ズボンを下ろし、シャツを放り投げ、パンツに手をかけるRー1号。
キャーッ
またも巻き起こる女性陣の黄色い悲鳴。
何でそこまで優れた演算機能を持ってるくせに「潔白の証明=脱衣」なんだよおっ!




