167 すきっぷすきっぷすきっぷすきっぷw
「あー、もうそろそろ学校行かないと遅刻しちゃうよ」
母さんの言葉に壁時計を見れば、思ったより時間が経っている!
「オキムネッ! 何をしておるかっ! 『あーん』とかしている場合かっ! 行くぞっ!」
いや、「あーん」して食べさせろと言ったのはエリスの方じゃあ?
「ええいっ! 行くぞ行くぞっ!」
痛ててて、腕を引っ張るな。それに僕はまだパジャマだぞ。着替えさせろ。
「まどろっこしいわっ! ほれっ!」
!
「「おおーっ!」」
母さんに老谷のばあちゃん、こういう時だけ声を揃えないで。
つーかエリスッ! いきなりパジャマのズボンを下げるなっ!
「ほう。次はこのパンツを下げれば『金塊』が……」
待て待て待て待て。目的がすり替わっているぞっ! 今は僕が着替えなければ学校に行けないだろう。母さんと老谷のばあちゃんも見ていないで止めてよ。
「こほん」
さすがに母さんも我に返ったみたいだ。
「絵栗鼠ちゃん、さすがにそれはまだ早い。さて、私らはいったん部屋を出ましょうか。オキムネ、急いで着替えるんだよ」
ふうー。いやいや、早く着替えないと。
僕が部屋の外に出るや否や、またも僕の腕を引っ張るエリス。
「とっとと行くぞっ! オキムネッ! 仮にも地球ケンタウリ帝国初代皇帝が学校に遅刻するわけにはいかんのだっ!」
だから、腕が痛いってえの。引っ張るな。靴くらい履かせろ。学校に遅刻しそうになる初代皇帝なんぞ世界中探してもおらんわ。
◇◇◇
何とか制服に着替え、靴も履いた僕だが、それでもエリスの腕引っ張りは止まらない。痛たたたた。
つーかエリス。走ったせいで何とか遅刻せずに済みそうだぞ。もう手を放して歩いていかんか?
「む? 遅刻せずに済みそうなのか?」
そうそう。だから手を放してだな。わっ!
「すきっぷすきっぷすきっぷすきっぷ。何をしている。オキムネ。一緒にスキップせんか?」
え? スキップ? 何それ?
「手をつないだままスキップして親密度を上げるのだ。それによって『金塊』への野望にまた一歩近づくのだ。これは老谷のじいちゃんが教えてくれたのだっ!」
またじいちゃん、今に始まったことではないとはいえ、ろくなこと教えないよなあ。
「ほれほれ。何をしている。行くぞ。すきっぷすきっぷすきっぷすきっぷ」
うわっ、は、恥ずかしい。高校入学してまだ五日目の朝だというのに。おかげさまでエリスと僕はすっかり学校の有名人だよ。はあ。
ほらほら、指さされて笑われているし。ねえ、これやめない? エリス。
「やめない」
僕の手を握ったまま、ふんぞり返り、ない胸を張るエリス。
「オキムネの『金塊』を手に入れる。その我が野望のためには、あたしはそんなことでもするっ!」
「「「「「キャーッ!」」」」」
たちどころに後方で上がる黄色い悲鳴。女子高生のみなさま楽しそうですねえ。はあ。




