154 こういう家は「かっこいい」ではなく「恥ずかしい」と思うのが普通の人ですよねw
かくて母さんが借りてきたレンタカーのワゴン車に老谷さん夫妻、三太さん夫妻、僕にエリスという運転手である母さんを含めて七人が乗る。
R-2号は、ねこや先生たっての希望で、ねこや先生の車に乗り、母さんの運転するワゴン車をねこや先生の車が追いかけるということになった。
「うふふ。ドライブデートだねえ」
いいですねえ。ねこや先生。楽しそうで。こっちはR-1号が何をしでかしたか気が気でないというのに。
つーかエリス。R-1号は自分の部下だろうが。何かをしてかしたか気にならんのか?
「気にならん。まあ何かあったら、参謀総長がよきにはからえ。オキムネ」
今更ながら参謀総長に丸投げなのね。この皇帝陛下。
◇◇◇
そして、着いてみたらやはりえらいことになっていました。
学校の照明よりよっぽと強力な照明の下、R-1号が屋上に登って何やら作業中。
恐るべきことにかつて老谷さん夫妻が住んでいた家はすっかりその様相を変えてしまい、どう見ても天体観測ドーム。とどめにその銀ピカの壁面に「魔法少女ラブラブ愛凜」の萌えイラストを嬉々として描いているのが他ならぬうちの父さんだ。
つまりだ。もう何回。こういうことがあったか分からないが、どこからどう突っ込んだらいいのやらさっぱり分からない。
そして、一応、聞いてはみよう。エリス。部下であるR-1号が借家を勝手に大改造したぞ。止めてくれ。
「ふああああ~」
車の中で僕に寄りかかって寝ていたエリスは僕の言葉に大あくびをしてから起きた。
「何で止める必要がある? 老谷のばあちゃんは、家古いから勝手に修理していいって言ったぞ」
これは「修理」ではない。「改造」ですらない。「全面改築」だ。しかも「ザ・悪目立ち」の「全面改築」だ。
◇◇◇
この光景に呆然として立ちすくむさん夫妻。さすがにこれはヤヴァすぎる。ばあちゃんは当然だが、じいちゃんですらこれはショックだろう。
「……いい」
え? 今何て言ったの? 老谷のじいちゃん?
「かっこいい。これは血が騒ぐ。壁面の萌えイラストもいいっ!」
あ、そこまで厨二でしたか。まあ、じいちゃんだから。でも、ばあちゃんはショックだよね。長年住んでいた家がこんなことになっちゃって。
「まあ、私はともかくじいちゃんと三人の息子たちは大喜びだろうね。まさか『自由に修理していい』と言ったら、ここまでされるとは思わなかった。でもまあいいか。私の私物はみんな今のマンションに引き上げちゃったし、もうこんな恥ずかしい家には住めないしね」
普通の人の普通の反応ありがとうございます。こういう家は「かっこいい」ではなく「恥ずかしい」と思うのが普通の人ですよね。




