112 「きゅうううん」の道は厳しいのだw
ドオオオオオオン
サダヨシの両目からは涙が溢れた。それも血の涙。血涙だ。
「神よ。この俺に何をさせようと言うのかっ?」
「サダヨシ。絵栗鼠様ガオキムネノ『金塊』ヲ手ニ入レラレルヨウニ協力シロ」
サダヨシ、しげしげとR-2号の顔を見つめる。
「それが今の俺がなすべきことと言うのですか? アールニゴウさん?」
「ソウダ。サダヨシ」
何故か両手でがっちり握手し、見つめ合うサダヨシとR-2号。この光景はこの光景で一体何だと言うのよ?
「ヨシ行クゾッ! サダヨシッ!」
「行きましょう。アールニゴウさん。オキムネの所業を学校中に広めましょうっ!」
ちょっと待て。話に脈絡がないぞ。何でそういう話になる? 大体R-2号は泣いているエリスを宥めるために飛んできたんじゃないのか?
「私ハ絵栗鼠様ガオキムネノ『金塊』ヲ手ニ入レルタメニハ手段ヲ選バン」
「俺はオキムネの所業を学校中に広めるためには手段を選ばん」
だからおかしいって。言っていることが。
◇◇◇
「もはやこれ以上の問答は無用。さらばだ。リア充オキムネッ! 行きましょう。アールニゴウさん」
「オウッ!」
見た目金髪の筋肉隆々男のR-2号は後方からサダヨシをがっちりとホールド。
ざわっ
起こるざわめき。主に腐女子様たちであろうことは容易に予想できる。
がっ、ばびゅーん
わあっ、R-2号がサダヨシをホールドしたまま飛び立った。度胸あるなあサダヨシ。僕があれされたらちょっと怖いぞ。
とか言っている場合じゃなかった。サダヨシの奴、僕の所業を学校で広めるとか言ってやがった。止めねば。
「待て。どこへ行く? オキムネ」
どこへ行くってサダヨシの奴が寝起きのエリスが僕にまたがっている写真を学校で広めようとしているんだぞ。それやられたらエリスも恥ずかしくないか?
「そんなことよりもだ」
定番のない胸を張るエリス。と言うより「そんなこと」で片付けちゃっていいの?
「オキムネッ! まだオキムネは『きゅうううん』と言ってないぞっ!」
あ、そっちの方が大事なのか。うーむ。ツッコんでいる時間が惜しい。ここは一言。
「きゅうううん」
「ダメだっ! 心がこもっていないっ!」
え? そうなの? じゃこれでどうかな? 「きゅうううん」
「さっきよりはいいがまだまだだ」
えーと、エリス。このままここで「きゅうううん」の合格を待っていたら遅刻してしまうのだ。せめて学校に向かって歩きながら試験してくれないか?
「仕方ないなあ」
エリスはそう言うと右腕を僕の左腕に絡めてすり寄ってきた。ぬおっ。
「今回は特別にこれで許してやる。だけど学校に向かって歩いていく間もあたしがいいと言うまで『きゅうううん』を続けるんだぞ」
分かった。つーか何だかドギマギしてきたぞ。えっ、えーと、「きゅうううん」
「あーダメだ。さっきの方がまだ良かった。やり直し」
えーっ、「きゅうううん」の道は厳しいなあ。




