1.追放聖女と守護妖精
新連載です。よろしくお願いします!
わたし、聖女の守護妖精です!
ここ200年ほど、代々の聖女様にお仕えしているの。
今回の聖女は15歳の黒髪の乙女。無口で無表情だけどとびきりの美少女よ。
今日もわたしは可愛い聖女ちゃんを、人間たちの悪意から守ってます。
でも、聖女にはわたしの声が聞こえないみたい。ちょっと寂しい。
聖女は今、お城の中にある神殿にこもって午後のお祈り中。
日が昇る前から夜も更けるまで、毎日欠かさずに。
聖女ちゃん、体を壊さないといいんだけど・・・。
突然、静かな神殿がざわざわと騒がしくなったわ。
あっ。やだやだ、第一馬鹿王子と金髪偽聖女が一緒に入ってきた。
なんか二人とも悪い顔してる。
聖女ちゃん、早く逃げてーーー!!
「シア、お前との婚約を破棄する!」
「殿下……」
わあ。すっごく失礼で上から目線の台詞よ!
仕事中で周りに巫女も神官も大勢いるのに、非常識もいいところね。
馬鹿王子は、わたしが付けたあだ名のとおり馬鹿っぽい顔でこう言い放った。
「聖女シア……いやもうお前は聖女などではない。おとなしく不正の罪を認め、真の聖女ヴェロニカに謝罪しろ!」
隣の偽聖女が、王子の腕にくっついて甘えたような猫なで声を出している。
「ねえ殿下。シアを許してあげて? 魔が差すことぐらい誰にでもあると思うの」
「おお。なんとヴェロニカは寛大なのだ。優しい!大好き!結婚しよう!」
「こんなところで恥ずかしいですぅ殿下」
わ、わざとらしすぎる・・・何よこの猿芝居!
ちなみに不正の罪ってのは、先日実施された臨時の聖女試験での出来事ね。
聖女ちゃんが偽聖女の答案用紙を丸写しして提出したっていう、完全な冤罪よ。
もちろん何の証拠もない。そんなの信じるって皆どうかしているわ。
あっ、聖女ちゃんが兵士に呼ばれて連れて行かれちゃった。待ってよ!
この先はお城の謁見の間・・・国王様の所かしら?
「話は聞かせてもらったぞよ。そちは何も悪くない。余はシアを信じておる」
「陛下……」
「シアよ。冤罪は即刻取り消させるとして、これからは聖女ではなく巫女として神殿に残ってくれんか。安心せい、悪いようにはせん」
ん? 一見いい話のような気もするけど、何も解決してないよね。
聖女に比べ、巫女職は位も低いし下働きみたいなものよ。
どう考えても悪いようにしてるとしか思えない。
「婚約者については別の王族から選出しよう。元々そちは、王子との結婚に乗り気ではなかったようだしの。他に良い男は一杯いるから心配無用じゃ」
「……ありがとうございます、陛下」
はあ? 何言ってるの王様。そんな縁談ちっともありがたくないわ。
別の王族って、また他のクズ野郎を押し付ける気?
聖女ちゃんの気持ち、少しでも考えたことあるの!?
とぼとぼと一人で神殿へ帰る背中が、すごく悲しそうだった。
わたしがついてるからね、聖女ちゃん! 声は届かないけど応援してる!
聖女を追いかけてる途中、城の中庭で馬鹿王子と偽聖女が話すのが見えたわ。
「ふっ……ヴェロニカよ。父上に頼まれた芝居、うまくいったな」
「そうですね、さすが殿下です。見事な演技でしたわ」
「聖女となったヴェロニカが私と結ばれて、神殿の仕事はシアがやってくれる。これで我が国は安泰だ」
まさか親子と悪女で共謀していたなんて。最低だわ!
やっぱり聖女の資格を奪って神殿でただ働きさせるつもりだったのね。
何とかして聖女ちゃんに知らせないと・・・!
毎日更新予定です。お昼にも投稿します。




