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第4話 な、泣くぞいいのか!(2)
「なにあれ……あの二人、やはり付き合っているのかしら」
「あの噂のことで揉めてるのかしら」
ひそひそとささやき合う女子職員たち。
べ、別の噂も流れているではないか……まあ、それはそれで嬉しいかも。
私はそんなことを思うと、一気に顔が熱くなるのを感じた。
「もう、あんな噂も流れてますよ。ほんと、困りますよね」
なに!? 私と噂になっているのに……この態度はなんだ。
本当に困り果てた顔をしているラルに、私は怒りを感じ思わず右拳を握りしめる。
(が、がまんだ……私たち吸血鬼のパワーは常人の三から五倍あるんだ。ラルが死んでしまう)
そう自分に言い聞かせ、ラルを睨みつけつつぐっと我慢する。すると、私の視線に気がついたラルは、私のほうへと振り向いた。
「あっ、顔赤いですよ。熱でもあるんじゃないんですか?」
そう言うとすっと右手を差し出してくるラル。そのまま私の額に手を当てた。




