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第1話 銀髪は地毛

 私は吸血鬼だ。わけあって人間社会で缶詰会社の工場職員、マルス=クリファーとして働いている。

 灰色の制服がちとダサいが、まあそれは致し方ない。


「マルスさんってお綺麗ですよね」

「ふぁぁ、まあ……な」

「その銀髪は地毛ですか?」

「じっ、地毛に決まっているだろ」


 なんだ今日はやけに絡むな。この男、やっと私の魅力に気がついたか。

 お前の好みに合わせて、俳優のなんとかって女と同じショートボブにしたんだぞ。もう少し褒めてもいいだろ――そんなことを思う。

 だが、コイツは何事もなかったかのように通常運転で返してきた。


「あー、そうなんですね」


 この隣に立っている男は、最近この工場に転勤してきたラル=ゴーレンという。ゴーレンという厳つい姓の割には、やせ細った男だ。そしてどこにでもいるような顔と黒髪で、容姿は普通としか言いようがない。

 だが、私は奴が気になって仕方がない。気がつけば、奴の挙動を目で追っていた。


「そうだ。マルスさん、今夜空いてます?」

「えっ、あっ、あ、あ、あ、空いているが……」


 なんだコイツ、大胆なところがあるではないか。まあ、私としても夕食に誘われるぐらいなら行ってやらなくもない。

 そう思って私が期待した、次の言葉がこれだ。


「よかった、夜勤変わってもらえませんか?」

「えっ、あっ、なんだと……もうしょうがないやつだな。いいぞ」

「やったあ! よろしくお願いします」


 ちょっとだけがっかりしてしまったではないか。まあ、ほんの少しだけだ。

 なんかコイツにいいように使われている気もするが――まあいいだろう。

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