今って通話できますか
『どうしたんですか? 』
『いまって通話できますか!!!!! 』
なんかすごいいいことがあったんだろうな、というメッセージが飛んできた。
しかしあいにく、こちらは帰りの新幹線に乗ったところである。
その旨を伝え、私は最後にこう締めくくった。
『17時にうちに来てください』
「昨日の配信で告知したんですが、コラボ配信が決まりました! 」
「おおー! よかったですね! 」
私は手を叩いた。荷解きも終わっていないが、帰省前に掃除していったのでリビングはきれいだ。
「はい! それであちらのリスナーさんが僕の配信を見てくれたみたいで! チャンネル登録者数が200人を超えたんですよ! 」
「わ、すごい。個人勢で1か月経ってないのに200人は、シンプルに偉業ですよ! 」
「ありがとうございます! でも報告したいのはそれだけじゃなくって」
ガシャン! と鎧が鳴って、ノロさんが兜を脱いだ顔を出した。
「僕の呪いがちょっとだけ軽くなりました! 」
「えっ、それはマジでおめでとうございます! 」
「なんと、脱げる時間が8分と12秒増えたんです! 」
「全身脱げるんですか!? 初耳ですが!? 」
「あっ、言ってませんでしたね。前は28分23秒でした。いやぁ、その間にお風呂とか色々済ませるのが大変で」
汗で貼り付いた前髪をぬぐいながら、ノロさんは嬉しそうに頬を紅潮させた。
「冬はお湯に浸かる余裕もないから、年中気温が低い実家じゃ命に関わるし。でも、これで30分越えです! 」
「おめでとうございます。原因って分かってるんですか? 」
「はい! 前々から『そうかな~』とは思ってたんですけど、たぶん登録者数です! 」
「はい? 」
――――そこ、連動してるんですか!!??




