もう一人の勇者(故人)の独白
俺の名前は成田勇
学校じゃあカースト最下位の陰キャで、陰キャ内でも下の奴。テストはいつだって上位、けどクソみてぇなエテサル女どもは野球部サッカー部にパツキンの輩に股開いてやがる。
ま、どいつもこいつも人生分かってない低脳クズだから仕方ないけどさ、俺の価値なんかわかっちゃいないんだ。運動なんざ役立たねぇ、頭と意識の高さが人生決めるって知らねーみたいだし。
そんな俺なんだけど、ある日教室に魔法陣が出てきてさ異世界に来たわけ、クラス全員!
俺、分かっちゃったね、これが異世界転移だってさ!で、そっからは案の定、クラスやらスキルやら出てきてさ、俺もそうなった。
最高だよ、クラス勇者!レベル99!ステータスマックス!もうね、完璧、俺が主人公!人生始まったわ!
このチートを使って、皆を救い、そして姫やらエルフやらクラスのまぁマシ雌猿を侍らしてハーレム生活!そして魔王を倒して英雄になる!
ーーはずだった。
いや、そうなるはずだったんだ。他の俺を見下していた連中はクソ能力にクソステータスで、どんどん死んでいってさ、赦しを乞えば助けてやったのに死ぬほうがましだってぬかしやがって。
だからまぁ、殺してやった。優しいだろう?痛みにうめくより楽に死なせてやったんだ。
魔王討伐には俺が見立てた最強の冒険者と、まぁ俺の魔法で奴隷にしてやったクラスのマドンナと牛乳女と、無口な雌穴を隷従の首輪に繋げて馬車に乗せて旅に出たわけ。
そうしたら、最初の街で……勇者に出会った。
俺以外の勇者、この世界の勇者、つまりは……俺の輝かしき道に邪魔な偽物。が現れたんだよ。
これが俺の輝かしい、異世界チーレム無双ストーリーの始まりなんだと、剣を構えたよ!
けど、そうはならなかった。
『クソがぁあ!この雑魚冒険者ども役にも立たねぇ!!』
俺の前に倒れ伏す屍三つ、聖剣士の男は首を失い、高位魔導士の女は首が捻られ、高位僧侶は腹から臓腑を噴き出し倒れていた。
そんな俺の前に居るのは、クッソ腹立つ顔良し高身長の、俺に倒されるべきの偽勇者に、穴奴隷に良さそうな雌僧侶、陽キャ顔の魔法使い、そして……鎧も着てねぇ、顔立ちはクソガキ、それこそ『はぐれ剣士1』のエネミーにしか見えない男が立っていた。
『酷いわ……足の腱を切って……もう大丈夫よ』
『こ、の……外道の畜生が、よくそれで勇者を名乗ったな貴様!』
雌穴僧侶が俺の雌穴馬車から雌穴達を連れ出して、治癒魔法を掛けていた。偽勇者はキッと、偽物の癖して正義マンムーブかまして来やがる。
まぁいい、実力の差ってやつ、ステータスの違いを見せてやろうとしたら、雑魚従者三人殺したエネミー1が勇者を遮って言ったんだよ。
『偽勇者如きに本物が刃を見せるな、闇騎士に任せておけ』
ブフォぉあ!wwもう噴き出したね!やwみwきwしw。いや†闇騎士†か!?どこの厨二入り立てだよ!w
こいつらつまりは同じ転移した輩だなと思ったよ、まぁそれで盛り上がっちゃってさぁ。†闇騎士†様が一人で向かってこようとしたわけ。
陽キャ魔法使いが笑顔で『やっちまってください!リデさん!』って意気揚々に手を上げるし、偽勇者は偽勇者で『奴を倒してくれ!この子達の為に!』なんて、嘘泣きお涙ムーブしやがんの!
俺、テラ悪役wまぁ、3秒後には土下座させて分からせてやると、向かって来た邪気眼患者闇騎士様に剣を振るったわけよ。
ーー聞いてねぇよ、こんな話。
何で即死魔法が効かないんだよ、何で剣術スキルマックスなのに競り負けてんだよ?何で痛覚遮断があってこんなに痛いんだよ!?
何なんだよこの闇騎士!?俺に対してガンギメメタ貼りして来やがった!まるで何日も俺を監視して手の内を知り尽くして!対策してきやがった感じじゃねぇか!
ふざけんな!ふざけんなッ!!ふざけんなぁ!!!勇者に負けるならまだしも!こんなモブアイコンな、RPGツ◯ールのフリー素材野郎に負けるなんてあってたまるかよ!
勇者は俺一人!この世界の主役は俺!女神から貰った最強無敵スキルで奴隷ハーレムを築く!そう流れが決まってたろうがよぉ!?
『死に晒せ!!偽物がぁあああああ!!』
『ま、待っーー』
こうして……俺の首は斬り落とされた。だが!地獄はそこからだったんだ!!この状態なら俺は『蘇生』のスキルで蘇る事ができる!
『よっしゃああああ!!エド、ジン!例の物出せ!!ファラは絶対見るなよ!!』
『『ああ!』』
陽キャラ魔導士と偽勇者が、幾つもの鉄の箱と鎖を馬車から持ってきて、邪気眼闇騎士は首だけの俺に言い放ったんだ。
『生き返れると思うなよ』
そして、理解させられた。これはまずいやつだと!俺は必死に叫んだ!醜く命乞いもした!だがこの闇騎士容赦が無かった!知ってたんだよ!俺が女神から力を与えられ、蘇生も可能だと!
闇騎士は俺の胴体から首だけでなく、両腕両足を斬り落として、鉄の箱の中に別々に叩き込み、更に馬車から壺を取り出して、液体をゆっくり注ぎ出したんだ。
厄介な事に切り離されても部位の痛みを感じてしまう!熱いんだ、溶けていくのが分かるんだ!まさか硫酸か!?こいつ、俺をどうする気なんだよ!!
『偽勇者、今からお前を物理的に、そして魔術的に封印してやる、女神の加護も自己再生も追いつかない方法でなぁ!』
最後に教えて貰って、俺は絶望した。特殊な魔術封印加工した鉄の箱に俺の四肢、胴体、頭部をそれぞれ分けてから濃硫酸で満たし封をして、封印の鎖で縛り上げた後、この大陸の方々にある未開の地に埋め立てて封印すると!
これにより濃硫酸によって自己再生も追いつかず、肉体の蘇生は身体の部位が分断する事により不可能!さらには内から封印解除は特殊加工により不可能!永遠に硫酸に焼かれながら苦しみ続ける事になる!
そんな!いくら何でも酷すぎる!お願いです許してください!!調子乗ってました!!もうハーレムだとかナマ言いません!のんびり農村で隠居しますから!だから堪忍してください!!
『やなこった!!』
鉄の箱に頭部を叩き込まれ、壺から硫酸が流れ始める!
あづいいいいい!!いたいよぉおおお!!やだぁああああ!!ごめんなさい!!あやまりますから!!お願いです!!出して、出してぇぉぇええ!!
こんなのってないよおかぁさぁあああああん!!
こうして……僕は死ぬこともできぬまま、真っ暗な闇の中で、永遠に身体を焼き溶かす痛みに悶え続けている。
あれから何日経ったかなんて分からない、ただ……切り離された手足や胴体の痛みも感じるから、寝る事も出来ず、暗闇で生き続けていた。




