表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/53

踊り子魔法使い、エニーとエンディ

「ていうかリデ、その治癒薬、売ればいいじゃない、お高く売れるんでしょう?」


 いい子勇者達を思い出していた僕にヴァルスが、それこそその治癒薬を金に変えるべきではと提案した。が、僕は首を横に振った。


「せっかくわざわざ作ってくれた治癒薬を、路銀には変えたく無い、本当の用途に使ってこそ、彼女の義理に答えた事になるから……できない」


「もー義理堅いわねリデ、そこが素敵なんだけど」


「頑固さんですね、リデさんは」


 頑固結構、売ってしまって後悔はしたくない。何かの拍子に死にかけたら嫌だからなと、僕は小瓶の治癒薬が入ったサイドパックに触れる。


「あぁ、だから今日たどり着けなければ野宿ーー」


「ぐへへぇ、じゃあ今夜も私が立て替えるから、体で払って貰おうかにいちゃん」


「大丈夫、一晩でチャラになるから安心してよにいちゃん」


 キミら仲良くなったなぁ、出会ってまだ2日じゃなかったっけ。ヴァルスが右腕に、ルーナは左腕に絡みつき、示し合わせたかの様に僕の尻を掴んでくる。つーかどこの怪しい仕事斡旋する人間だ。


 しかしだ、ちょいちょい腹が立って来たので、少しばかり反撃してやろうかと思った。そーだなー……他に人も見えないし……茂みも深い。


「それ、今ここで払ってあげようか?」


「へ?」


「え?」


「ほら、この辺茂みが深いしさ、先払いって事で」


 僕は二人の手首をがっしり握りしめて、茂みに向かう。


「あの、リデ?私はその、宿で払ってもらえれば」


「先払いなんてそんな、嘘ですよね」


「いいじゃんいいじゃん、お日様ポカポカに草のベッド、気持ち良いかもよ」


 僕はニコニコ笑って二人の手を引く。しかし、そう言った趣味は流石に無いのか二人は慌て出した。


「ま、待って!ごめんなさいリデ、謝るから!冗談が過ぎたわ!」


「ごめんなさいリデさん!お願い、許して!」


「じゃあやめる」


 僕はパッと手を離した。


「嫌なことされたら、そうなるでしょ?二人とも反省した?」


「「ごめんなさい」」


 わかれば良い、僕は頷いた。僕だってこんな場所でしたく無い。うん……。


 したくは……でも、焦った二人凄くそそっちゃったなと、僕は頭を振った。全く、そんな女性の尊厳踏み躙るプレイで興奮するなんてどうかしてる。


「そう、どうかしてたんだよな、あの時もお金に困ってて……」


「え?何が?」


「いいや、何でもない」


 僕の呟きを聞いたヴァルスにそう返し、街道に戻った。


 そうだ、あんな自分が、自分な訳がない。しかしそこにあいつが居るのは間違い無くて、あいつを気に入ってしまった二人に、今から会いに行くのだ。


 正確には3人だが、最後の一人にできるだけ会うのは避けたいなと僕は思った。




 そうこうしているうちに、夕方前にカルブキに到着した。


 クーラントの夜遊びの聖地がデルシならアルシャ領の夜遊びは、カルブキとなっている。しかして全く毛色は違う。


 デルシはそれこそ、高級志向。富豪貴族の御用達ならば、カルブキは大衆的な部分が多い。


 そしてなんと言ってもカルブキは……踊り子の街なんて言われている。


 踊り子、華麗で扇情的な衣装を纏い、音楽に合わせて舞踊をする。そしてその肢体に銅貨を投げ渡し、気に入れば今夜のお相手に連れ帰る。店によってはパフォーマンス嗜好な、アクロバットな技を売りにする店もある。


 夕方となれば、様々な踊り子館の客寄せ達が、こちらへこちらへ男を誘う。


「ねぇ、勇者達もこの街に来てたわけ?」


 そんな街に来ていたのか、勇者達はとヴァルスが質問を投げかければ、僕は頭を抱えた。


「説明すると長くなってしまうけど、流れ着くしかなかったんだよ、あの時は」


 苦い思い出だし、思い出したくなかった。この話は絶対勇者達に知られたくもなかったし、墓場に持っていくつもりでいた。


 しかし……また掘り返しかねない事態になるかもと、僕はある場所へ歩き出した。


「ねぇルーナちゃん、踊り子衣装買って着てみない?踊り子プレイなんてそそらないかしら?」


「でも、あんなの私のはみ出ちゃうかも」


「それくらい良いじゃないの、裸になって凄いことしてるんだから」


 ヴァルスとルーナの踊り子か……いかん、絶対興奮するに決まってる。ていうか今日着せるか?などと考えていたら、目的の場所に辿り着いた。


「ここだ」


「ふうん、ここがその女のハウスね?」


 僕が見上げた先にある、巨大なる建物。そして薔薇のレリーフの看板には『ラヴィアン』と刻まれている。


 さて……帰りたくなって来た。僕は二の足を踏んだ。


「どうしたの、リデ?その女の子達に会いに行くんじゃないの?」


「そう、そうなんだけど……」


 そう、あの姉妹に会うことは、過去を振り返る事になる。姉妹だけにあって話をつけたいのが理想。しかし、それは不可能。


 わかってはいたが、いざ入るとなると足が動かなくなってしまった。


「やっぱり、朝に……」


 あ、そうか、朝に尋ねればいいな。あいつも居ないかもだし、今でこそ踊り子として忙しいし。そうしよう、今日はヴァルスとルーナに踊り子服来させて踊り子プレイだ。


「「あぁー!リディアン様ぁ!!」」


 うん、遅かった。この声を聞いて僕とヴァルス、ルーナは声の方に振り向いた。僕達が歩いて来た方角から、二人の踊り子が衣装がズレるのも構わず走って来て、そして……。


「ぎやぁあああ!?」


 二人して僕に絶妙なコンビネーションで抱きついて来たのである。


「リディアンさまぁ!帰って来たんですね!」


「私たちを身請けしに帰って来たんですね!嬉しいです!」


 見上げた先で二人の踊り子は、顔も同じ、髪の毛の色はブラウン、しかして片方はツインテールで、片方はポニーテールに纏めていた。


 そして相変わらず……綺麗で大きな形の乳房をしていた。


「エニー、エンディ、まず隠しなさい二人とも」


 ポロリしちゃってるからと、僕は衣装がずれているのを指摘するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ