誰よりも優しくてズルい男
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
チャコは犬猫に対する愛情と一緒だと言うが、そもそも僕は犬猫にキスはしないよ?
僕が、今は男に見えてるんだよね?そんなの当たり前じゃないか。
目の前に、簡単に触れる位置に、好きな女がいるんだ。僕にだって欲はあるよ?
絶対に表に出さないようにしてるけどね。だからこそ、自分の行動に驚いたんだよ。
「チャコ、自分を犬猫と一緒にしないで?チャコはとても魅力的だから……だからキスしたんだよ。でも、それはチャコの同意を得ずにしたから……ごめんね?」
彼女にとっては、何とも思わなかったかもしれないけどね?
「謝らなくてもいいよ?ペリルにとっては挨拶みたいな物なんでしょ」
確かに?挨拶代わりに求められたらしたよ。
でもね、違うんだよ。
「あの時は、エッさんとソージュ様2人の諍いを止めるためにと思ったんだ。
別に、頬でも鼻先でも良かったのに、咄嗟に口にしちゃったなって」
吸い込まれたんだ。
選択肢が無くなったんだよ
「結果、二人を止められたなら良かったんじゃない?私はあの時助けられたし」
チャコはお酒が回って来たのか、頬は赤く目が潤み、どことなくフニャっとしている。
この距離で直視するのは、触れたくなるからちょっときついかな?
「で、そろそろ酔ってきたし?ペリルの恋愛観について聞こうじゃないの!」
チャコは、楽しそうにクスクス笑いながら、もたれていたベッドに肘をついて、コチラを覗き見ている。
——誘われてると勘違いしたくなる状況だな
「僕の恋愛観というか、僕の愛し方だね?」
僕もベッドに、肘をつきチャコと同じ姿勢で向き合う。
「そう、それ!ソージュとは違う愛し方なんでしょ?」
そのままの姿勢でずいっと近寄る。
チャコ、異性に対しての距離感じゃ無いよ?
「僕は……自分の願いや気持ちを相手に押し付けたりはしたくないかな。
愛するなら、全て受け入れたい。相手が移り気で自分を選ばなくとも、幸せになって笑っていてくれるならそれでいい。
たとえ身を切る様な思いがあっても、相手の望みを叶えると思う。それによって苦しい気持ちがあっても、好きな相手への思いなら大切にしまっておくかな?」
僕はチャコの目を見て、心の中で君の事だよと呟いた。
「ペリル……とても素敵だけど、ペリルは?
そんな自己犠牲なんて、悲しくて泣けてきちゃうわ?その場合のペリルの幸せは?あなたはどうなるの?」
チャコが、僕のシャツを掴んで涙を流しながらいい募ってくる。
これは……酔っ払ったかな?
「僕は相手が幸せなら幸せだよ?僕の力で幸せに出来ないなら仕方がないよね?
ただ、僕が幸せに出来るなら……どうかな?想像した事すらなかったや」
そんなのあり得ないから……
「何言ってるの?ペリルなら誰だって幸せに出来るでしょ?ペリルと一緒にいて幸せになれない人ってどんな人よ。
そんなのは、基本的に不幸体質な人くらいじゃない?認識に驚きだわ」
チャコは、僕で幸せになれる?
「チャコ……は?」
しまったつい口に出てしまった。
ダメだ、ハイペースで色々飲んだから、僕も結構酔ってるな……
「私?ペリルといるのは居心地がいいし、いつも助かるし、感謝してるし、幸せだよ?」
それは……家族としてだよね?
ダメだな、もっと聞きたいや。
「男として、俺は?」
あ、しまった、俺ってつい出ちゃった
「ん?俺?酔うと一人称変わるのね。ペリルが男としてって、カッコいいし、スマートで優しいし、かなりハイスペックよね。
完璧だからこそ、執着が無さすぎて、相手が不安になるくらいじゃない?」
バレちゃったか、ま、いいや。執着か……
でも、それはチャコが困るよね?
「執着すると相手が困るだろうから、今は無理かな。僕の事を求められたら考えるよ」
困らせたくないんだ。
チャコは話を聞きながら、酒を飲んでキッパリ言い切った。
「ペリルは優し過ぎて損するタイプだね?」
まあ、ソージュ様が相手じゃなきゃとっくに本気出してるんだろうな。
と苦い気持ちになったが、俺は、酒と一緒に飲み込んだ。
「そうかもね。チャコは、僕とソージュ様だとどちらが良い?
エッさんは、二人のどちらかしか認め無いって言うけど」
俺……ずるい聞き方してるよな
「ペリルその聞き方は狡いわ?」
シャツを握ったままだった手で、ペシペシ俺の胸元を叩きながら抗議してくる。
なんだそれ、可愛いな
「じゃあ、今度はチャコの恋愛感について聞こうかな?」
顔を寄せて首を傾げる。
うん、ソージュ様の気持ちが良くわかった。
チャコは無防備すぎる。これは、耐えるのに忍耐力がいるや
「私は、どうなんだろう?そもそも男親が奔放だったし、元彼もその前も浮気したし。周りの話聞いても、男はその……下半身で物事考えるって思っていたから。
ソージュとかまさにそうだし、ペリルはちょっとなんか違うけど、誰でもいいのかなって思っていたの。」
……耳が痛いな。
逆だよ。何とも思ってないから、誰でも良かったんだ
「ペリルが言っていた「相手が目移りするのはコチラの努力が足りない」の言葉、凄く納得出来たんた。そのお陰で色々納得出来たし、前に進めたんだよ?」
チャコは俺の目を見て嬉しそうに笑う。
俺は邪な考えから、気を逸らすためにも頷く
「だけど、私は私だけを女性として好きでいてくれて、私が大切だと感じる事に共感してくれて。嫌な事はしない人」
——俺はチャコが嫌がる事はしないよ
「ダメな時は甘やかすだけじゃなくて、理由を教えてくれたり?そんな人がいいかな?」
ダメでも、チャコなら甘やかしたいかな
「私の相手への愛し方は多分ペリルに近いかもしれない。本当は相手に合わせたいのかな?前は上手く出来なかったけどね」
照れながら、俺に向かって、えへへと笑う顔が余りにも可愛くて
「チャコ、キスしていい?」
顔を寄せて、目を見て思わず聞いてしまった
あーペリルの鉄壁の理性が完全に落ちた!酒の力だなぁ
この2人はそもそもの考え方が近いのでソージュと相性が良かったので。
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