まるで母の様な男
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武器屋前で馬車を停め、エストラゴンが武器屋で武器の受け取りをしていた時、
レヒテハントさんがやって来た。
「ご主人様、お茶の追加分をお持ちしました。ペリル、いつも報告とご連絡をありがとうございます」
レヒテハントは深々と感謝の礼をしている
「レヒテハント、何か報告はあるか?」
ソージュは気恥ずかしいのか、早々に話を切り上げさせた。
「……坊ちゃま、今、少しお時間頂けますでしょうか?」
レヒテハントは一見穏やかそうに見えて、逃さない気迫を携えた笑顔をソージュに向けた。
「……分かってる」
ソージュは思い当たる事があるのか、レヒテハントを連れ別室に行こうてしてふと止まる。
オリガンがいた事を忘れていたようだ。
「ソージュ。私の使わせて頂いている部屋を部屋使って下さい」
私は今、部屋に用事はない。
「いや、しかし……」
ソージュは気を遣って渋るが
「チャコさん、ありがとうございます」
レティヒハントはさっさと決めて、こちらですか?とスタスタ部屋に向かい、ソージュを部屋に押し込んでパタンとドアを閉めた。
「流れるように連行されたわね?」
余りにもスムーズだったから、つい、じっと見てしまった。
「レヒテハントはかなりの強者だよ?あの笑顔の時は僕でも逃げれない。
昔は僕もよく怒られた。レヒテハントに怒られるのはエッさんに怒られるより怖いよ?」
ペリルがブルブルしている。
何それ?そんなに怖いの?
「パパより怖いとか、相当じゃない?」
何がそこまで怖いのかしら?
「エッさんはこう、勢いで怒るでしょ?レヒテハントは淡々と冷静に、感情も無い、温度も無い、逃げ場もない。そんな感じ」
うわぁ、嫌だわそれは怖いわ
「レヒテハントさんも昔から一緒だったの?」
昔、怒られたって……
「レヒテハントはソージュ様が小さな頃から世話して、誰より先にソージュ様の気持ちに気づいて、エッさんにソージュ様は国を出たほうが良いのではないかと進言した人だよ」
あ、もうそれお母さん
「レヒテハントさん、ソージュの母親かわりだったのね?」
身の回りの世話をしていたんだし、一番近くにいたなら、色々心配だよね?
「母親か、確かに近いのかもね?僕達は母親って感覚が分からないから、何となくのイメージなんだけど……確かにレヒテハントは母親っぽいかもしれないな?」
ペリルは、母親とは関係が薄いみたいだ。
一般的イメージで納得をしている。
「誰が母親ですか。私に出産機能はついていないですよ?ペリル、ソージュ様との話は終わりました。貴方もちょっと来なさい」
部屋から出て来てパシッといい切ると、今度はペリルの腕を掴んで部屋へ連行して行った。
ペリルは諦めて、レヒテハントの後をとぼとぼとついて行った。
振り返るとそこには、萎びたソージュがソファーに埋まっていた……
「レヒテハントさんってお母さんみたいねって話していたら、ペリルが連行されましたよ?」
一応報告をしておく。
「あ?あぁ、うん、まあ、頑張れ」
ソージュは完全に語彙力をなくしている。
触らぬ神に祟りなしだなと、その場から離れ、キッチンに向かう。
暇だ。とりあえず何しよう?
自室が封鎖されている今、部屋でダラダラする事も出来ない。
とりあえず食糧庫をうろうろする。
——何か無いかな?
暇な時に、作るのにいいものか……餃子だな
豚バラ塊とネギ、生姜、ニラ、ニンニク。見た目がキャベツな白菜。ちょっとずつ見た目が違うから、香りで確認して選んでみた。
薄力粉と強力粉も持ってキッチンに戻る
とりあえず、ボールに粉2種と塩を入れて軽く混ぜてお湯を注ぐ。お湯は魔導ポットに保温されていた。
鼻歌混じりで混ぜてひとまとまりにする。
一旦放置の為に濡れた布巾をかけておく。沢山作りたいから、同じ工程を3回繰り返す。
白菜もどきをフードプロセッサーで微塵にする。これまた3回、塩を振って水分を出す。ニラとネギも面倒だからブーンってした。
ニンニクと生姜はすりおろした。量があるから、手が疲れて来た。バラ肉はミンサーでミンチにして放置する
「なんか、久しぶりに料理してる気がする」
最近は、魔法を使われるから、料理をやってる感がなかった。
次に白菜の水分を切るが、これまた沢山だからだんだん握力が無くなってくるはずなんだけど、勇者だからか、疲れを余り感じない。
軽い疲れから先は変化がないのだ。ある意味半端だ。最初から疲れなくして欲しかった。
全て搾り終え、肉とニラとネギを入れて、ニンニク、生姜、塩、胡椒、酒は日本酒はないから香りのキツくない適当な酒を入れてみた。
ひたすら混ぜる、とにかく混ぜる。疲れに変化がないからずっと混ぜれる。
作業台を綺麗に拭いて、打ち粉を振って皮をつくる。
紐状に伸ばして切って、大きめに丸く伸ばして沢山の皮を作る。皮のタワーが出来そうだ。
「さて、包むか」
餃子はこの包むのが楽しい。ある意味虚無タイムだ。無になって包むのがいい。
「チャコ、何してるんだ?」
ソージュが復活したようだ。
残念遅かったよ。後は包むだけだ。
「餃子作ってます」
返事をしながら手は一心不乱に包んでいる。
手作りの皮はやっぱり包みやすい。スイスイいける。楽しいので、ソージュは無視だ
「俺もやってみていいか?」
ソージュは参加したい様だ。
勝手にすれば良い
「どうぞ」
教える気はない。一心不乱に包む
「……見てやれって事だな?」
ソージュは私の手の動きをじっと見ている。
「はい、そうしてください」
私はスイスイとひだを作り、ソージュは私が3個ほど包むのを見ると、手に取り包み始めた
「おぉ?思ったより包みやすいな?」
ソージュはやっぱり器用な様だ。覚えるのがやたらと早い
「手作りの皮だと、皮が伸びるから包みやすいんです」
2人でスイスイ包む
「……」「……」
2人とも無言だ。虚無を楽しもうじゃないか
最後のひとつを包み終えると……
300個の大きな餃子が今ある全てのバットに並んだ。
——壮観だ!大満足だ!
「凄い量だな?」
ソージュも満足した様だ。
今夜は餃子祭りです!はぁ、スッキリした!




