ピアスと揃いのイヤーカフ
3人でリビングで談話していたら、オリガンが玄関から顔を出した
「役所前に着きましたよ。このままエッさんが来るのを待ちますか?それとももう、中まで行きますか?」
エストラゴンは既に付いているはずだ。私は勝手がわからないからとりあえず黙って指示を待つ。
「エストラゴンは時期に来るだろう。入れ違うといけないから、中で待っていた方が良い」
ソージュがそうオリガンに伝えると、オリガンは了解と又外へ出ていった
「オリガンはずっと外にいて大丈夫ですか?」
何だか可哀想な気がしたので、2人に聞くと
「あいつは外の方が好きだからアレでいい」
ソージュは眉間に皺をよせた。
「オリガンは外に出たら、必ず女の子に声をかけてお喋りしてるよ?室内で何もしないよりはいい筈だよ」
オリガンって、もしかしたら誰よりもマイペースかもしれない
「なら、問題ないですね」
オリガンは捨て置いていいとして、外は……どうなっているのかな?
「チャコ、認識阻害眼鏡かけていけよ?」
ソージュに言われて気付く。忘れていた
「エストラゴンの娘ってだけで目立つ筈だから、ソージュ様の言う通り、今後は必ずつけた方がいいよ」
そんなに目立つんだ。緊張するな
「ペリル、そんなに目立ちますか?」
認識疎外するほどなの?
「かなり目立つよ?大魔神の娘だ、国内外問わず話題になるだろうな」
えーそれは……嫌だな
「もしかしてこの先ずっと眼鏡しなきゃダメですか?」
あれ、見難いから嫌だなぁ
「ん?眼鏡が嫌なら他の物に付与すれば良い。ペリル、何かあるか?」
え?他の物でも良いの
「ん、ちょっと待ってね?あ、これならいいかも。丁度良いのがあった」
空間魔法の鞄の中を探して、ペリルが鞄から小さなケースを取り出した。
「顔に近いほど威力は上がるし、つけ外しが楽だから皆眼鏡なだけで、チャコは女の子だし、これでもいいよね?」
箱を開けたら、そこには綺麗なピアスが入っていた。
「可愛い。でも、何でこんな可愛いの持ち歩いてるんですか?」
誰かのプレゼント用かな?
「女に配る用か?」
ソージュも同じ事考えていたらしい。
「違う違う、ほら、僕の潜入調査用だよ」
あ、そうだったぺリルの女装用か。
「すっかり忘れていました。今度女装姿、一度見せてくださいね?」
凄い興味ある。美人なんだろうな……
「いいよ?その姿で一緒に服とかお買い物でもしようか?」
ぺリルは、女性のような微笑みを浮かべている。
——え?なにそれ楽しそう
「可愛いお店、教えてくださいね?」
ペリルなら詳しそうだしね
「これはピアスか……チャコ穴ある?」
ソージュさんがピアスを見て、私の髪を耳にかけて確認した。
予備動作なしで、いきなり来るからびっくりした。
「開けてますよ?今は付けてないだけです。栗拾いには……ピアスはいらないでしょ?」
ピアスを付けてたら、それも聖具になったのかな?
「確かにあの格好には要らないね?これ、今ちょっと作っちゃうね」
ペリルが魔法のペンでピアスに向かって何か書いている。
「そう言えば、歴代の勇者、魔法使える人が多かったけど、私って魔法使えるんですか?」
今更ながら気になって、ソージュに質問した。
「確かに確認すらしなかったな?チャコの力が強すぎたから全く意識して無かった。後からペリルに調べて貰おう」
ペリルの万能感が、どんどん上がっていくよ!
「皆、産まれた時から魔法が使えるんですか?」
どうやって気付くのだろう?
「ペリルレベルだと、赤子の時点で兆候はあるだろうけど、魔力量によってじゃないかな?大体10歳前後には皆わかるようになるな」
だから、何で気付くの?
「分かるって、何かが起こるの?」
どんな変化があるんだろう?
「特性が強い力が顕現するな、子供は大人や物語の真似をするだろう?大体の子供はそれでわかる。その後に鑑定士に調べて貰うかな?」
ごっこ遊びなのかかな?
「ペリルは生まれて数日で、無意識のうちに部屋を破壊していたらしいよ?」
部屋の破壊?!
「え?怪我はしなかったのですか?」
赤ちゃんなのに?
「ちゃんと自分だけ結界張っていたって。エストラゴンが言っていた」
そんな頃からエストラゴンが関わっていたんだ
「3歳の頃には完全にハーレムから追い出されて、エッさんの元にいたんだよ。前にエッさんが話した時は、流石にぼかして話したよね?」
ペリルが話に入って来た、さらっと話しているけど、悲しい話よね?
「よし、出来たよ!付けてあげようか?」
言うより先に、ペリルは私の耳にピアスを付けてくれた。反対は自分でつけようとしたが、ソージュがさっさと付けてくれた。
「ありがとうございます……」
両サイドをイケメンに挟まれてピアスを付けられ……いた堪れない。
「うーん、認識が阻害されると、やっぱり物足りなくなるよね?」
ペリルが不満そうに呟いた。
「あ!そうか、認識阻害を阻害すればいいんだ!」
何か思いついて鞄を漁りだした。
「ソージュ様も欲しいですか?」
手にイヤーカフを持って、ソージュに尋ねる
「頼む。俺もチャコがずっと認識阻害されてるのはちょっと嫌だな」
なんだろう?観察対象の様な?
「直ぐ作りますよ」
ペリルはさっさとペンで書き込んでいるけど、いまだに何を書いているのかわからない
「そんなに直ぐ出来る物なんですかね?」
随分手軽にやっているけど……
「ペリルだからな」
その一言で納得する位には、ペリルの能力はぶっ壊れていると思う。
「出来たよー!はいソージュ様」
出来立てのイヤーカフを2人がつけている。
イケメン2人が、お揃いのイヤーカフだと?!




