出生の偽装に国王が動く?
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
急いで身支度を整えてから部屋から外に出ると、リビングにはソージュしかいなかった。
「あれ、皆は?」
ソージュはキッチンで、何か作っている。
「それぞれやる事あるから皆外に行ったよ」
ソージュは朝食の準備をしてくれていた。
「手伝いますよ?」
私も何かしようと近くに寄ると、
「もう出来たから運んで?」
と言われたので、とりあえず目の前の皿を運ぶ。
「これ、ソージュがつくったの?」
皿の上にはスクランブルエッグと焼かれたソーセージ、サラダがワンプレートに乗っていた。
「何か嫌いだったか?」
ソージュは私が持って来たのと同じ皿と、パンの入った籠とカップ2つに飲み物の入ったボトルを、纏めて持って来た。
それ、どうやって持ってるの?
「嫌いじゃないです。もしかして私が着替えてる間に作りました?」
さっきまで私と話していたのに
「焼いただけだし、そんなもんだろ?」
ソージュは普通だと言うが、かなり手際が良いのだろう。
彼は今も、話をしながらボトルから暖かいお茶をカップに注いでいる。
「本当に何でも出来ちゃうんですね?私、出る幕ないじゃないですか?」
いや、不満じゃないのよ。贅沢よ?
朝からキラキラしたイケメンが、私のために朝ご飯つくって、お茶まで入れてくれるなんて、幸福度半端ないよ?
「んー?チャコは俺の作った物を美味しく食べて笑ってくれたらいいし、それが俺の望みだから、甘えて?」
んー最・高!だ・け・ど!
「だから、駄目人間になるから甘やかさないでください!」
贅沢すぎて、無理なんですって
「可愛がったせいでダメ人間になったなら、責任持ってちゃんと最後まで面倒見るよ?」
どこぞのペットかな?
「諦めてください。私は私が甘えたい時に甘えます。ずっと甘やかすなら近寄りませんよ?でも、朝ごはんはありがとうございます。とても嬉しいです」
しかも美味しい!
「ふっ、そうか、じゃあいつでも甘えて貰えるように、準備して待ってるよ」
2人で食事を終えて、ソファーでお茶を飲む
「そう言えば、皆まだ戻らないけどやる事って?」
私は何もしていないけど、いいのかな?
「今、荷馬車はヴァルドに向かって走っていて、オリガンが御者で、エストラゴンは早く養女の手続きがしたいから、書類を集めに馬で先に向かって、ペリルはチャコの出生を誤魔化すために、荷台でナトゥーアに連絡してる」
皆、私の為に朝早くから動いていたんだ
「ちょっと待って?私の出生誤魔化せるの」
あ、でもソージュ王子か
「エストラゴンはナトゥーアに長い間居たからな。あの国は自由恋愛の国だからそもそも戸籍に意味がない。産んだ親も、生まれた子も、父親が誰かかわからない事なんてザラだ。唯一母親が1人としか関係してない場合だけ、ちゃんと分かる。今回はそれを利用する」
何と、凄い貞操観念がまるでない。
「ナトゥーアに、何年もいたんだ。本来なら子の3.4人居ても不思議じゃなかったからな。エストラゴンには信念があって、家庭を持つのか無理だったから……チャコの強さは有難いよ」
エストラゴンにも、何か理由があったのだろう。気になるけど本人以外から聞く事ではないな?
「ただいま」
ガチャっと玄関扉が開き、ペリルが帰宅した。
「ナトゥーア側は大丈夫だったよ。とりあえず既に亡くなった女性の娘にした。計算が合う頃に、エストラゴンとは面識があるはず。何人も子を産んではハーレムに放置してきた、恋多き女性だから産んだ数が1人増えたって、誰も気にしないだろうね?そんな人を選んで貰った」
ペリルは、なかなか際どい内容を話しながらソファーに座った
「私、ハーレムを全く知らないけど大丈夫でしょうか?」
ちゃんと話を合わせる事、出来るかな?
「ナトゥーアのハーレムは規模がかなり大きいから皆、全容を把握していないと思うよ?分かってるのは上層部の極々僅かだけだから。基本芸術と色事に耽ってるから、周りの事あまり気にしてないと思う。親子関係も希薄だしね?」
それなら……大丈夫なのかな?
「これでチャコは僕達と同郷だな?」
ソージュはなんだ嬉しそうだね
「ペリル、私の為に色々とありがとうございました」
お礼を言いながら、ペリルを労ってお茶を出す。
「ありがとう、チャコ、ソージュ様にもお礼してね?これを調べて了承したのはナトゥーアの国王だから。ソージュ様が私情だと手紙で一筆書いたらほいほい動いたよ」
え!国王様を私情で動かしたの?!
「あの方はなんて言うか、俺には甘かったからな。エストラゴンの親友だし。喜んで偽装に加担するさ」
国王様の扱いが雑なのは、気のせいかな?
「一度ご挨拶に伺った方が良いでしょうか?」
お礼しなきゃだよね?
「いや、ほっとけば近い内に気になって、ペリルにでも連絡して勝手に来るだろう」
え?やっぱり雑、そんな扱いでいいの?
「随分と行動的な国王なんですね?ソージュと似てますか?お父様なんですよね?」
巨大なハーレムの主……ヤバ、ちょっと見てみたい
「顔立ちは似てるよ?物凄い美形でダンディだから、エッさんの父親感が好きならチャコの好みかもね?包容力凄いし、愛の人そのものだから」
ペリルが私の好みを知った上で発言する。
——そうか、それは是非、一度拝見したい。
「チャコは、近寄っちゃダメだ。無理だ……アレには勝てない」
ソージュが慌てるとは、そんなに?むしろ見たい
「機会があれば、合わせてくださいね?」
——絶対みてみたい!
「一回、国王に口説かれてみたら?チャコの男の傷も、何もかんも、色々捨てさせられるかもよ?」
そんなに?捨て身になれと?
「ダメだ!帰れなくなる!色々な意味で」
ちょっと、ソージュ、国王ってなんなの?そんなにすごいの?
「そんなに凄いのですか?」
人生観が変わるほど?
「あっちもこっちも、とにかく色々凄いよ?じゃなきゃ巨大ハーレムの国王なんて務まらない」
あ、そうね?それはそうね?
「僕とソージュ様が二人掛かりで……何とかトントンかなぁ?」
それは……凄いわ。危険だわ
でも、ちょっと見てみたいのは仕方がないよね?




