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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
ヴァルドへの旅路

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主人と臣下の見えない絆

 荒野で、10キロ圏内の周囲を千里眼で軽く見渡す。


 大型の魔物はいないが、3キロくらい先に狼?のような魔物が5匹群れでこちらに向かっている。


 腰ベルトのポーチから、撒菱をとりあえず3個取り出す。


「ヒュッ! ヒュッヒュッ」


 3連続で投げた。重なって見えた3匹は一投目で貫通攻撃によりまとめて貫き、後はそれぞれ貫いた。


「ドッガン! ドゴンドゴン」


 遅れて音がした。周りにはもちろん人はいない。


「チャコ、何かいたか?」

 ソージュが音に気付き、近寄ってきた。


「何か、5匹狼っぽいのがいました」


 他にもいるかな? とくるりと見るが、近くにはいなさそうだ。


「それは、ウィルダネスウルフだな」


 荒野の狼、そのままだね?


「この辺りには、比較的魔物は少ないのですか?」

 3キロ圏内にはさっきの狼くらいしかいなかった。


「……多分だけど、魔物もバカじゃないから、自分よりも圧倒的に強い気配があれば逃げるからな? ここにいる面子が揃えば、よほどのバカかある程度の強さのある魔物だよ。言わなかったか?」


 聞いたかな……どうだったかな? 忘れたな。


「……とりあえず、周りには何もいません」


 さっきの質問は……気のせいだ。


「言ってなかったか? ならごめんな」


 ソージュも覚えてないらしい。まあいい。


 荷馬車に戻ると、馬車周りに、ペリルが何か刺していた。


「何刺してるんですか?」

 見てみると、それは太い釘のような物で、釘の頭に魔法陣が刻まれている。


「これは聖結界だよ。差し込む事で地中まで囲える。一本打ち込むだけで半径10メートル内の地中の魔物は消滅する。魔導回路を繋ぐ事で空間内も守られる。この結界中は安全だよ」


 よく見たら、釘は既に4本打ち込まれている。


 要するにめっちゃ安全。凄いね?


「チャコ、あの杭は国の結界に使われている奴と同じだぞ? あの中どこよりも安全だ。あの杭自体ペリル以外は触れないから、たとえ盗賊が来ても抜かれる事もない」


 ソージュが寄ってきて色々教えてくれるが、それって国家機密レベルではないのかな?


「ソージュ、それ普通の人が聞いていい話だった?」


 振り返ってソージュを見上げたら……


「ん? ダメに決まってるだろ?」

 なんでかな? ならなんで私に話したかな?


「話したら……駄目じゃないかな?」

 ピクピクしながら返答したら


「チャコは、俺の隊に入るから大丈夫だよ」

 にっこりと笑顔で返された。


「決定事項なのはなぜ?!」

 決めたっけ?


「ペリルも結構魔法の事とか、自分の話、例えば女装や、俺の事を様づけ呼ぶのもだけど、色々喋っていただろ? そもそも、ペリルの存在自体が国家機密の塊だよ?」


 ジーザス!! ペリルか? アイツのせいか!


「ペリル、危険過ぎます」


 あの人、やっぱり色々危ないわ。


「本当に気をつけろよ? 気付いたら朝、ペリルの腕枕で裸体で目を覚ます事になるぞ?」


 うわ、ありそうで怖い。


「何となく、本能的にペリルには勝てないって思ってます」


 あの人、絶対歴代勇者より強いって。


「ペリルが本気出したら、俺も、チャコも……多分誰も勝てないよ?」


 うん、わかるわ。


「凄い人に尽くされてますね?」


 制御出来てるのが奇跡的?


「チャコ? お前もかなり気に入って、入れ込まれてるぞ?」


 おっと、それはまずいか?


「正直、チャコは俺だけのって言いたいけど、ペリルだけは仕方がないかなって思うんだ。アイツは全てにおいて天才だから、誰も要らないんだよ。でも、俺とエストラゴンだけは特別なんだって」


 ……常人には天才は理解されないんだろうな。


「たとえあいつが本気でチャコを好きになったとして、俺が本気で拒めば、必ずちょっかいかけるのすら辞めるだろうな。でもな? 俺、ペリルのチャコを慕う心を拒絶したくないんだ。不思議だろう? おかしいよな。でも、これがハーレム出身の俺たちの感性なんだよ」


 ソージュが、ペリルを見ながら小さな声で話してくれた。そうだった、2人は同郷でハーレムに馴染めなくて出てきたんだったね?


「感性なんて、人それぞれじゃないですか? 私は2人の関係を見て来たけど好きですよ。目に見えない絆なんて素敵じゃないですか?」


 おっ、危ないわ、一瞬美男子2人が頭の中で見つめ合ったわ。


 くそ! そっちも危険だわ!


「チャコありが……」


 ソージュが穏やかな顔でお礼を言おうとした時、


「チャコ僕もチャコが好きだよー、何なら3人で一緒にお風呂入ろうか?」


 気が付いたら、私はペリルに背後を取られ、身動きが取れない抱きつかれ方をされた。バックハグって巻き付いたっけ?


「こら、ペリル! チャコから離れろ」


 私にスリスリしているペリルをソージュは何とか引き離したいが、どうやっているのかピッタリくっついて外れない。


「ソージュ様は前からどうぞ?」

 ペリルが耳元でとんでもないことを言い出した!


「ん? そうか、それなら」

 ソージュは頭を切り替えて、私を抱きしめる事を選んだようだ。


 前後にイケメンって、ご褒美だけど、容量オーバーです!


 前からもイケメンに抱きつかれた瞬間


「パパ! 助けて!」


 私の叫び声と共に、2人が50mほど吹き飛んだ。


 え? どうやったんだ?


「おーまーえーらー! 何度も言わせるな! チャコは簡単には渡さんし、気安く触るな!」


 エストラゴンは並んで正座している2人にガン! ゴン! と、愛ある鉄拳制裁を加えた。


「痛いぞエストラゴン!」

 ソージュは頭を押さえて文句を言っている。


「エッさん! ソージュ様のこれ以上頭悪くなると困るから殴るなら僕で!」

 ペリル、健気なんだよね? 主人を貶めてないよね?


「パパ、助けてくれてありがとう。ほら、そろそろ皆でご飯食べましょう!」


 私は、涙目な2人が可哀想になったから、ご飯に誘った。


「チャコ、お前さんは優しすぎるぞ? このバカ共はすぐにつけ上がるからな? 何があったら、今みたいにすぐ呼べよ?」


 全く、と腰に手を当てて仁王立ちしているエストラゴンの腕を取り、腕を組んで荷馬車に引っ張る。


「せっかく皆で作ったの。パパ、早く食べよう!」


 そう言ってパパ呼びを強調したら


「くぅ、娘が可愛い! 何でも願いを聞きたくなる気持ちが分かるぞ!」


 感無量とばかりに天を仰ぐ。ちらっと後ろの2人を見たら


 2人してグッジョブとばかりに、いい笑顔で肩を組んで親指を立てていた。


 私はクスリと笑って、感動に震えるエストラゴンを引き摺りながら荷馬車に戻った。


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― 新着の感想 ―
前のページとこのページ名前間違ってます(.❛ᴗ❛.) 後濁点間違いです(╹▽╹) 気が向いたときとか時間に余裕があるときとかに見直してみてください(╹▽╹)
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