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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
ヴァルドへの旅路

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73/201

出来上がりは熱々のままで

 全て鍋の中に納めて、後は煮込むだけになったら、今度はソージュがキッチン内をウロウロし始めた。


「このパンは?どうする?」

 ソージュはまだ何かしたいのか、ソワソワしている。


「これは、食べる前に軽くオーブンで焼きます」


 そう、キッチンには魔道オーブンもあった。


 しかもかなりの大きさだから、まとめて一気にガーリックトーストが焼ける。


「サラダでも作りますか?」

 ソージュは手持ち無沙汰なようだから、何かやらせるかな?


「サラダか……ペリルがいるから一瞬だな」


 あ、確かに。


「とりあえず、サラダで食べたい野菜と、卵を持ってきてください」


 ソージュは食糧庫へ向かった。


「チャコ、僕が掬ってるアクってなんなの?」


 ペリルは自分がやってる事の意味を知りたいらしい。


「あくは、苦味、渋み、えぐみを取るんです。ちゃんとアク取りすると美味しくなりますよ」


 面倒な時は雑にやっちゃうけど。


「ふーん、これは魔法でやるのは難しいかなぁ」


 ぶつぶつ呟き始めた。また解析中なんだろう。そっとしておこう。


「チャコ、これでいいか?」

 ソージュは、レタス、トマト、きゅうりを持ってきた。基本のサラダだね。


「はい、これも洗浄されて……」


 今、手元のレタスがキラキラした。


 ペリルを見たがぶつぶつ言っている。あれ?と思いソージュを見たら


「洗浄したぞ?どうした?」


 キョトンとしたソージュと目が合った。


「ソージュも魔法使えるんですね?」


 知らなかった。


「一通りは出来るよ?ペリルが先に全部やっちゃうから普段やらないだけ。レタス千切るぞ?」


 あー、ペリルが過保護発動するからか。


「あ、レタスお願いします。馬車の振動の魔法陣の話を聞いた時、今回の一台しか魔法陣書かないと言ったのは、もしかして皆がペリルに頼りすぎちゃうからですか?」


 だって、便利すぎるもの。


「そうだな、我々の隊は、俺、エストラゴン、ペリル、オリガンがいればどうにでもなるが、それだと派遣先が少なくなるだろ?下の奴らを育てるにも俺達は手を出さない方がいい。ペリルは特にだな」


 当たり前に一緒に行動している彼らは、国を跨いでトップクラスの実力者達だった。


 ——つい、忘れちゃうけど。


「ペリルは、ソージュが一緒だと、やりたい放題お世話出来るからある意味気楽でしょうね?ソージュは黙って先にやっちゃうから、更にペリルが目敏くなってるんだなと思いました」


 クスクス笑いながら伝えたら


「チャコ、もっと言ってやって!ソージュ様いつも勝手にやっちゃうから、僕の出番が少ないんだよ?」


 ペリルはまだお世話し足りない様だ。


「ですって!ソージュは貴族なのに、世話されるのが嫌いなんですか?」

 お貴族様は皆お世話されるイメージだけど。


「嫌いではないが、自分でやれる事は自分でやりたい、とは思うこともあるな?トマトも切るぞ?」


 ソージュの世話する人はかなり有能じゃないと、世話すらさせて貰えないんだろうな。


「じゃあ、私はきゅうりを切りますね?私も同じ感覚です。そもそも、私の世界では自分の事は自分でするのが普通かな?」


 たまに違う人もいるけど。


「俺はチャコの世話ならしたいけどな」


 ソージュは手の甲で私の頭にコツンと触れて、サラダボールを取りに行った。


「チャコ、もう良さそうだぞ」


 ついでにペリルがアクを掬っている鍋を見に行ったソージュが、良い具合だと教えてくれた。


 サラダボールに野菜を並べて、鍋に向かう。


「あ、いい具合ですね?そろそろホワイトソースを入れます。やりますか?」


 皿を持ってきたソージュを見たら、うんうんと頷いている。


「鍋のスープをこちらに少し入れて伸ばしてから業務用鍋に入れてください。ペリル、生クリーム忘れたから持って来てくれる?」


 指示しながらアク取りを終えたペリルにお願いした。


「はーい」


 ペリル、良い返事です。


「あまりかき混ぜすぎないようにそっと馴染ませて、塩、胡椒で味を整えて、生クリーム入れて沸騰させずに温めたら完成です」


 なんだか騒々しい料理だったわね?


「チャコが味見してね?」

 ソージュがこちらに視線だけ向けながら伝えてきた。


「了解です。オーブンにパン……」


 振り向いてパンを見たら、ない。


「パン入れたよー何分?」


 やっぱりペリルよね?


「軽く焼き目がつく程度!時間は使ってないから分からない!」


 もう、ペリルに任せよう!


 最後にサラダのドレッシングでも作るかな。


 作業台の上に、皮が剥かれた玉ねぎが1玉転がっている。


 ペリルの魔法から逃げ出したのだろう。


 ガーリックバターで余ったパセリもある。


「ペリル、これと、パセリ細かく微塵切りに出来る?」

 いっそ、お願いしよう。


「出来るよ?これだけ?」

 ペリルは何を作るの?と目で訴えている。


「サラダのドレッシング作るの。今からトマト持ってくるわ」


 トマトを持って戻ると、ガーリックトーストのいい香りがしてきた。オーブンを覗くといい焼き目だ。


「ペリル、パンもう焼けたから出していいわ」

 焦げないようにしなきゃ。


「ペリル、ついでにトマト潰して」

 トマトと、刻んだ玉ねぎ、パセリを1つのボールに入れたものをペリルに突き出す。


 パン、焦がす!と焦っていたら


「トマト潰せばいい?玉ねぎとパセリの器でいいんだね?チャコ、慌てているみたいだけど、このボタン押すと時間止まるから、焼きたてで保存出来るよ」


 きゃーいやー!魔導シリーズ便利すぎる!


「最高なの?出来たて保存って最高だわ!」


 思わず叫んでしまった。


「チャコ、味見して!」


 ソージュが味見の皿を掲げて呼んでいる。


「どうかな?」

 ソージュが恐る恐る聞いてきた。塩、胡椒は前もって必要な量出してあったからちゃんと私の味になっている。


「いい感じです。後は生クリームを入れて混ぜたら出来上がり!」


 さあ、みんなでご飯だ!




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