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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
ヴァルドへの旅路

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72/201

便利屋な男が万能過ぎて手放せない

 炒め鍋にバターを溶かして小麦粉を入れて火を通す。今度は最初から弱めにした。


 しっかりと火が通り、薄くきつね色になってきたら、火を更に弱めたいけど火の強さが見えないから一旦止めた。


「おしまい?ミルクは入れるの」

 横から2人が覗き込んでいて邪魔だけど、そのままにしておく。


「ミルクは今から入れますよ」


 ソージュは覚えたいのか、知るもんしながら真剣に見ている。

 

 少しずつミルクを垂らしながら馴染ませていく。トロッとしてきた辺りで火をつけて、混ぜながら残りの牛乳を混ぜる。


「おお、ホワイトソースだ」

 ソージュは感動している。ホワイトソースで感動出来るとか、幸せな人だ。


「……」


 ぺリルがホワイトソースを見たまま固まっている。


「ペリル?どうしたの?」

 ホワイトソースを見ながらぶつぶつ何か言っている


「ぺリルのそれは、放置していいよ、履修してるだけだから。普通の状態に戻る時には、魔法でできるようになってるから」


 ソージュは焼いた肉を業務用鍋に移動させながら、驚きの事実を教えてくれた。


 たかがホワイトソースを作るのに、ぺリルは能力使うの?でも、さっきから、全ての行動は魔法を使っているわ。大魔導士って、何でも魔法を使うのね。


 ——やっぱり、能力の無駄遣いだわ。


「チャコ、野菜炒めるのにバター貰っていい?」


 私は尋ねてきたソージュの手に、バターをポンと渡した


「野菜の前に、お肉の鍋に野菜クズで作ったスープを入れて肉を煮込みます」

 

 本当はじっくり抽出したいけど、ま、いいか


「野菜鍋の、スープを移動すれば良いの?」


 ペリル、復活早くない?もう魔法で出来るようになったの?


「あの鍋のスープを、こっちに移動させて?」


 ソージュは慣れているのか、当然のようにペリルを使った。


「水分、全部移動でいい?」


 ペリルが尋ねてきたから


「お願い」

 と、お願いしたら、


「はい、出来たよ」

 鍋に残った野菜くずはカラッカラに乾いて、一塊になっていた。


 ゴミ捨てまで完璧だ。


「凄い、カラカラだね!」


 かなり圧縮されて、まるで石だ


「これで良かった?」

 ペリルは、見た感じ褒めて欲しそうだ。子供が母親の手伝いをしているような無邪気さだ。


「うん、無駄が無くて良いわ。ありがとう」

 褒められたぺリルは、にこにこと嬉しそうだ。


 なんだか楽しそうね?


「このまま煮込むのか?」

 ソージュは次々と先へ進んでいく。何をするのか分かっているんだろうな?


「煮込んで、アクを掬い終わったら、炒めた野菜を入れるわ」


 後は煮込むだけだから、時間が空くな


「じゃあ、煮ている間に炒めるんだな?」

 ソージュは料理慣れしてるから、話が早いね?


「うん、どっちやりたい?」

 やりたい方をやらせてあげよう


「俺が炒めるよ。重たいだろう?」

 優しい!これよ!ソージュの優しさは。


「確かに力がいるわね?ソージュお願いね」

 さすがに20人分(あちらの世界の40〜50人分)は重くて無理だわ


 あれ?勇者だから、もしかして重さって気にならないのかな?まあいいか。


「……僕がアク取りするよ?」

 ペリルは魔法を使う事がないので、少しガッカリしてるのかな?


 役に立ちたいって、顔に書いてあるよ。


「私は見てるだけになるわね。じゃあぺ、アクとりよろしく」


 さて、する事がない。二人の背中を眺めていてもつまらない。


「ガーリックバターでも作ろう」


 ちょっと早いけど、先程すりつぶしたニンニクにバターとオリーブオイル、塩を混ぜ込んでいく。


「パセリはあったかな?」


 食糧庫を調べていたら、ちょっと成長していて見落としたがちゃんとパセリはあった。ついでにバケットを何本か持って行くか。


 元の場所に戻り、パセリを刻み始めたら


 パセリが、消えた


 ペリルを見たら、あく取りしながら、こちらにパセリの入ったボールをにこにこと差し出していた。


「……ありがとう」

 

 手早すぎる……


「言ってくれたらいつでもやるよ?」

 ペリルが、無垢な笑顔で言ってくるから


「じゃあ、バケット切って?」


 それ以外の言葉は無用だった。


 目の前に、綺麗にカットされて並んだバケットがある。


 一枚にガーリックバターを塗ってペリルに見せたら


 次の瞬間には、全部均等に塗られていた


 ああ、もうダメだ、ペリルが便利すぎる……


「ペリル、最高よ?ありがとう」


 ペリルはアクを掬いながら、良い顔で笑っていた


「チャコ、炒めた野菜入れていい?」


 なんかソージュが、普通に思えてきたわ。


「いい具合です。ありがとう」

 ちらっとペリルを見たら、炒められた野菜はエキスも残さずに、業務用の鍋の中へ移動していた。


「塩を少し入れて、じゃがいもに火が通るまでこのまま煮込むわ。最後にホワイトソースを入れて弱火で馴染ませて味を整えたら完成」


 体力的に全く疲れなかったけど、精神的にくるものがあったわ。


 ソージュは普通に料理出来る。


 イケメンで、料理も気遣いも出来る。文句なしに完璧だわ


 ペリルは……あれは危ないわ、こちらがダメ人間になる。


 ペリルの用法容量は守らなきゃ危険だわ。


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― 新着の感想 ―
ペリルさんは危険ですね。 諸刃の剣てところでしょうか。 「なんでもできるのね〜素敵!」となるかはたまた…(^^;
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