万能な男達。私、必要ですか?
とりあえず使う物一式準備をして、ハタと気付く
「トマト煮込みのつもりが、トマト持ってくるのを忘れたわ」
でも、鍋にこれ以上は入らないわね。ただのポトフにするか?いや、シチューにすれば良いか
食糧庫から、牛乳とバターと小麦粉を持って行くと
「あれ?足りなかった?」
ソージュがおや?っとこちらを見る
「トマトにするつもりが、私がトマト出し忘れたの。これ以上の具材は入らないから、クリームシチューにするわ」
私は持参した食材を作業台に置きながら、説明した
「クリームシチューは作る所を初めて見る楽しみだ」
ソージュは既に玉ねぎの皮を剥いていた。
「ティト、玉ねぎこれ全部剥いていいの?」
ペリルが剥かれた玉ねぎを手に、話しかけてきた
「全部剥くわよ?じゃがいもも、にんじんもね?あ!ソージュ皮も使うから洗わなきゃダメだった!」
慌てて伝えたが
「食材は全てペリルが洗浄魔法をかけてくれたよ?」
既に処理済みだった
「はー、魔法すごいよ、じゃ、全ての野菜の皮剥きからだね?」
食材を出し終えた鞄を、離れた場所に置きに行って戻ると
「皮剥いたよ?皮だけはこっちのボールに入れといたよ。次は?」
ペリルによって既に綺麗に剥かれていた。
皮もちゃんと分類されて置いてある。汚れはない。
「この皮で、出汁を取るから、全部入れて煮るわ」
調理鍋の10人サイズに野菜クズを入れて水を入れ、スイッチをオン。後は放置。
「え?お湯になるの早くない?」
今、水を入れた筈なのに、既にお湯になってきた。慌てて温度のつまみを真ん中位にする。
「触っておいて良かった。びっくりしたわ」
振り返ると、側でペリルが見ていて
「最大火力は最初が早いだけで、熱湯になった後は安定するよ。ゆっくり温度上げたかったら最大にせずに1.2メモリ少なくするとゆっくり温度が上昇するよ。で?次は何したらいい?」
「……野菜を切るわ、またまとめてやるのなら、サンプルで一種づつ切るけどどうする?」
驚きが重なると後に残るのは虚無だ
「それでお願い」
新しいボールを取り出しペリルは返事をした。
「玉ねぎ、じゃがいも、にんじん」
一種ごとに切って渡すと、すぐにその種がまとめて切られて行く。
「チャコ、これは?」
ソージュがニンニクを手にこっちをみている。
「ニンニクはクリームシチューには……あ、ガーリックバター作っとくかな?」
おろし金はあるかな?と探していたらブレンダーがちゃんとあった。何回かに分けてやろうとしたら
「このくらいに、すり潰せばいいんだね?」
ペリルは纏めてボールの中で一瞬ですり潰した
この人いるだけで、調理器具要らないのでは?
「ありがとう、後は鶏肉ね?」
鶏肉の山を見ると
「シチューなら、このくらいのサイズでいいか?」
既にソージュが良いサイズに解体していた。
「丁度いいです。ありがとうございます」
お礼を伝えると、残りはペリルが解体した
「……私、必要ですか?」
私、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん1個づつしか切ってないよ?
「何でだ?次は、肉炒めるか?」
ソージュが次の指示を待っている。
——よし、私は現場監督だな
「焦がさない様に表面を焼いたら、業務用の鍋に肉を移してください。肉を焼いた鍋にバター足して、じゃがいも、にんじん、玉ねぎと順に炒めて、野菜の表面に油膜が行き渡れば良いです」
ぱっと目の前の肉が消えた。
「肉は鍋に入れたよ。野菜くずぐつぐつしてるよ」
ペリル、便利すぎる
「私はホワイトソース作るので、ソージュお肉お願いしてもいい?」
混ぜるの重たそうだし
「いいよ、でもホワイトソース作るの見たいから近くでやってくれないか?」
そうだった、初めて見るから気にしていたわね
「分かった。じゃあ隣でやるね?」
使う物を持っていこうと鍋を見たら
「移動したよ?」
ペリルが鍋の移動を既に済ませていた。
「……ありがとう、プッ」
だめ……なんだが笑えてきた
「どうしたの?何か変だった?」
ペリルが不思議そうに周りを見る
「ふふ。ううん、何だか全てペリルが動いてくれるから、私さっきからウロウロして、びっくりしてを繰り返していて、そんな自分がおかしくて、ふふっ」
自覚したら、更に笑えた。
「チャコ、ペリルは何かと気付くし、誰より早く動くから、うかうかしてると何も出来なくなるぞ?口に出したら既に終わっていると思った方がいい」
ソージュが笑いながら的を得た事を言っている
「知らない事は出来ないよ?僕はホワイトソースは作り方わからないもん」
ペリルが心外だとむくれた。
「知ったら出来る様になるだろう?一緒の事だよ」
ソージュがペリルの言い分を論破した。
「ペリル便利すぎる。私、ホワイトソース作る」
よし、がんばる
「チャコ?少しカタコトになってない?」
ペリルが何で?と尋ねてきた
「……気にしないで」
考えるのが面倒になっただけだから




