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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
ヴァルドへの旅路

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宝箱と機能しない鍵

 資料館から外に出たら、オリガンが道ゆくお姉様をナンパしていた。


「……本当にナンパしてますね?」

 ペリルの言ったまんまだった。


「ね?言ったでしょ?チャコはオリガンには気をつけなきゃダメだよ?」


 ペリルは意味深な微笑みをこちらに向けて来た。本当、どの口が言うんだろ?どの口?


 ぶぁって顔が赤くなった。


 ——ヤバイ私さっきこのイケメンにキスされた?!


「あれ?チャコどうした?」


 ソージュ(鬼美形)が気付いて近寄って来た。こんな時は素早い。


「ナンデモナイ、キノセイ」


 ちくしょう!片言になった!ホロベイケメン


「チャコ、オリガンのナンパ見て恥ずかしくなっちゃったんだね?」


 自分が仕掛けた癖に、わざわざ頭を撫でてくる


 ——ペリル!お前だ!お前のせいだ!


「オリガン!往来でナンパはやめろ!」


 エストラゴンが、ペリルの言い分を信じてオリガンを締めに行った。


 その後に続いたソージュは、見つからない様にさっと荷馬車に乗り込んだ。


「ペリル……わざとだよね?」


 私はムッとしてみるが


「何の事かな?」


 なんて言いながら、人差し指を口に当てて秘密と楽しそうに笑っていた。


 ペリルは、男性だけど、女性のような色気がある。


 本気出したらどっちもがなびくだろう。何だか、本能的にこの人には絶対勝てない。


「もう、いきなりはびっくりするからやめてね?カタコトになっちゃうし、心臓に悪い」

 

 久々にパニクったわ。


 さっきは驚きすぎたのと、展開が早すぎて何が起きたか理解すらしてなかった。


 ペリルの、意味深な笑みを浮かべた目を見たら、急に思い出して慌ててしまった。


「いきなりじゃなかったらいいの?」

 ペリルがニコニコとお菓子食べていい?位のノリできいてくるから


「いいよ?ん?いや、よくなくないか?」

 訳がわからなくなった。


「チャコ、大丈夫?こんがらがってるよ」


 はははと呑気に笑うペリルを見ていると、何だか意識したのが馬鹿らしくなった。


「もう、早く行くの!食材の下拵え手伝ってね?」

 私はペリルの背中を押して、荷馬車に乗り込んだ。


 荷馬車の中は、いつの間にか魔改造されていた。なぜか外から見たサイズと中のサイズが違う。


「あの、何で中がこんなに広くなってるんですか?」


 ぱっと見2LDKだ。キッチンとリビングダイニング、部屋らしい扉が2つ、多分トイレと風呂?の扉も見える


「ん、改造したからだよ?」

 ペリルか何か変だった?とこちらを見ている


「え?だって、荷馬車……」

 キャンピングカー?いや、トレーラーハウス?


「チャコがご飯作るのに、揺れと空調の話はしただろう?魔法はイメージが大事だから、細かく考えるのが面倒になって、住宅仕様なら宿も必要ないし、いいかなって思って。気に入った?」


 ペリルはご機嫌な様子だ。聞きたい、気になるどうしても気になる


「ペリル……トイレってどうなってるの?!」

 

 我慢出来ずに聞いてしまった


「見てみる?こっちだよ」

 

 ペリルに案内されトイレを見る。普通だ中身はどこに行くのかな?と考えていると


「中に消滅の陣があるから、使用後はこのスイッチ押せば消滅するよ」

 

 おぉハイテク仕様だ!


「凄い!面白い仕掛けですね?」


 落とし物に気をつけないと!


「チャコこっち来て?」


 ペリルに呼ばれてついて行くと、4.5人は入れそうな風呂があった


「わぁ!お風呂だ!しかも大きい」


「この風呂は、常に適温で浄化魔法もかかっているから汚れないよ、減った水は水魔法で追加されるからいつでも入れるよ。一緒に入ろうね?」


 かなりの高機能だわ


「ペリル、凄いのね?いつでも風呂に入れるのはかなりいいわ!これだけ大きいと本当に一緒に入れちゃうわね?」


 贅沢な作りだわ


「……チャコ、意味わかってないでしょ?」


 ん?どういう意味?


「何が?」


 ほぇ?って分からずに聞き返したら


「ぷっ、何でもないよ。チャコにはまだ早すぎたね?」


 とクスクス笑いながら、次行くよって子供扱いしながら言うから、しっかり理解が出来て


「ペリル、風呂は1人で入ります」


 私は子供じゃないと宣言する事になった。


 部屋も見せてもらったら、何と一部屋は私の部屋だった。


 家具までしっかり入っていて、シンプルだけど飽きずに使えそう。配置も過ごしやすそうだ。


「この部屋は念の為内鍵があるけど、このメンバーじゃ鍵は有っても無くて意味ないです」

 

 ぺリルは、にこにこしながら酷いことを言っている。


「じゃあ、何でつけたの?!」


 意味ないって何?


「気持ちの問題?鍵してるなぁって思えば、そっとしておくかもしれない。でも、部屋にいると気付いたら、余計に気になって開けると思うけど」 


 いや、開けちゃダメだろ?


「何故開けるの?」

 閉めるためのカギでしょうが


「鍵って開けたくなるよね?」


 んー、分からなくもないか?いやダメだ


「宝箱じゃないんだからさ、開けちゃダメでしょ?」


 宝箱なら開けたいかも?


「お宝あれば、開けるよね?」


 ぺリルは変わらず楽しそうにこっちを見ている


「……?あれば開けるね?」


 宝箱だし?


「だから開けるんだよ?」

 

 だから?何が?


「?」


 ペリルが「お宝」と言って私を指差している


「あ!そっちか!」


 謎解きしたようなすっきりした気分になったけど


「いや、ダメです、開けたら」


 ナチュラルに危ないわこの人


「おやつ食べて遊ぶだけならいい?」


 お泊まり会か?


「……おやつは私とか言わないわよね?」


 嫌な予感がしたから、念のため聞いたら


「バレたかー残念!次!厨房見てよ」


 サラッと誘って、罠仕掛け、失敗だーって笑ってやり直し。


 ぺリルは全く悪気がないのよねぇ


 居心地が良いからって、それを許してしまう空気にしてしまうのは……かなりのやり手よね?





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