表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
ツァオバライ商会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/201

過保護だから金は幾らでも使う

頑張ります

「チャコこれどうだ?」

 ソージュは電気湯沸かしポットを手に、嬉しそうに聞いてきた。


「めっちゃ欲しいです」

 勿論即答です。


「他にも何か欲しい物はあるか?」

 ソージュはウキウキしながらリストをこちらに渡してきたけど、多分、私は見ても分からない。どうしようかなと受け取りを迷っていると


「隊長、チャコちゃん、多分魔道具の名前だけじゃ理解できないんだと思うよ?教えてやったら?」

 

 オリガンが、私の困惑を見抜いてソージュに声をかけてくれた。


「ん?そうか、チャコ、隣来るか?」


 オリガンナイスアシスト!助かるよ!


「よろしくお願いします!」


 サッとソージュの隣に座り、何があるのかとワクワクしながら一覧を覗き込む。


「このリストは、比較的小さめの生活用品だよ」

 

 手元にあるのは、小物の類のようだ。


「これは?なんですか?」


 勇者補正なのか、文字自体は認識できるけど、想像がしにくい


「魔導線織物?これは確か、冬場に暖かくなる布だな。欲しいか?」

 

 電気毛布みたいな物かな? 


「季節的に今は要らないですよね?」


 電気毛布も小物なのか……


「……そうか」

 ソージュは断られてちょっとだけ残念顔だ


「では、こちらはどうだ?魔導送風機、冷たくて涼しい風が出るぞ?」


 首から下げるタイプのエアコンみたいな感じかな?


「今の季節、要りますか?」


 薄手の長袖来ていますよ?


「……要らないな」

 ソージュはうーん、と考えている。


「そんなに悩みます?」

 無理に買わなくてもいいよね?


「……何かチャコに買いたい。何か無いか?」

 ソージュがむぅっと剥れている。


 やだ、ちょっと可愛い


「湯沸かしがあるなら、鍋はありますか?」

 電気鍋のみたいなやつ


「鍋か?確かさっきあったな。これだな」

 ソージュが、別のリストをガサガサ探す


「魔導温熱調理鍋!これは火を使わず料理出来ますか?」

 これは、文字だけでも理解が出来たわ。


「それは確か、低温から高温の温度調整機能と、状態保存の機能があるから、調理と保温と保存が出来たはずだよ?」

 ペリルが横に来て座ると、鍋の機能を教えてくれた


「それ、お高いですか?」

 高くないなら、ちょっと欲しい。


「ポットよりは高いけど、全く問題ないぞ?チャコが料理したいなら買おう。ペリル頼む」

 全く問題ないらしい。太っ腹だな


「分かりました?サイズはどうします?」

 ペリルが従僕を呼びながら問い返した。


「違いがあるのか?」

 ソージュは良く分かっていないのに買うつもりだったのか……


「このくらいの器で、2杯.4杯.6杯.10杯の種類がございます」

 ソージュがぺリルに尋ねると、部屋の片隅で待機していた従僕がすーっと寄ってきて説明してくれた。


「チャコは、どのサイズがいい?」

 鍋のサイズか……どうかな?


「皆で食べたいから……皆は普段どの位の量を食べますか?」

 皆騎士だし、かなり沢山の食べそうだよな


「チャコが作るなら、俺はかなりの量食べるぞ?」

 ん、ソージュでは答えにならないか


「大は小を兼ねるで、10にしていいですか?」

 保存が効くなら、まとめて作ればいいし


「同じ機能で、炒鍋もございますよ?」

 炒鍋!中華鍋かフライパンの事だよね?さらっと従僕がいい所ついて来た。


「この魔導調理シリーズは他に何がある?」

 私の興奮している反応を見て、ソージュは他の物にも興味を持った。


「鍋ですと魔導温熱調理鍋、魔導温熱調理炒鍋、魔導温熱調理蒸鍋、が、ございます」

 

 名前長いよ、調理鍋、炒め鍋、蒸し器で良くない?


「サイズはどうなる?」

 

 ソージュはサイズを聞くことを覚えたようだ。


「先程お伝えしたのと同じ計量でに考えて頂けると良いかと、後、屋台などで利用する大型もございますがサイズが20杯50杯100杯になります」


 いや、給食かな?


 食材の下拵えだけでどんだけかかるのよ!要らんわ!


「流石に屋台サイズは要らない!」

  

 ひたすら芋を剥くとか、無限玉ねぎなんて嫌だ。


「ん?要らないのか?」


 私は職人じゃない!


「屋台サイズはちょっと作りたいの量じゃないです!」


 断固拒否だ。私にはせいぜい10人前が限度じゃないだろうか?

 

「そうか」

 流石に納得してくれた様だ。一安心


「このポットと、魔導温熱シリーズの10杯サイズの全種類を全部くれ」

 ソージュは、当たり前のようにひと揃え買う気だ。


「ソージュ?!全部?!え?」

 なんなのこの人?え、食いしん坊?


「チャコ、ソージュ隊長はいい所を見せたいだけだから、遠慮なく買って貰って。お礼には、何か料理を作れば十分だよ。勿論僕も頂くけど」


 ぺリルが、ソージュのフォローをしながらも、ちゃっかり料理は食べる宣言をしていた。


 「……わかりました。ありがとうございます」


 ソージュはそもそもの思考回路が、凡人とは違うのかもしれない。


 誰だっていい所見せたい気持ちはあるけど、なんて言うか、王族だからなのか規模がとち狂ってる。


 全てにおいて、加減を知らないのではないかと思う。スイッチが入ると人間関係の距離感だけでなく、何かと力の入れ方が


 ——かなりおかしいと思う


 幼少期に家を出て、何があったかは詳しく知らないけど、人嫌いになって、エスドラゴンに鍛えられて最強にはなったけど、心が子供のままなのかもしれない。


 それなら極端な行動も理解できるか……


 私が父の存在を知らないのと同じく、ない物は分からない。


 人が居たとしても、ハーレムの王族じゃソージュの求める愛の参考になる存在は、身近な所にはいなかっただろう。


 物を買い与えるにしろ、愛情を表現するにしろ、今までの経験のせいなのだろう。


 ——明らかにやりすぎていると思う。


 ソージュはバカでは無いから、多分教えたら素直に身につく筈だ。今まで、ろくな人が寄ってこなかったんだろうな。


 レヒテハントさんやエストラゴンは多分、ソージュの心に受けた傷を知っているから、彼の心を守りたくて少し過保護になってるんだろうな。


 ペリルは根っこでは主人として見ているから、要望を聞いてしまうのだろう。


 オリガンはそもそも力を尊敬してるから、それ以外は関係ないのだろう。


 ソージュに、普通を求めるのは違うと思う。でも、彼の言う真実の愛って……


 ——もっと、平凡な物じゃないのかな?


 でも、ソージュはハーレムと王子とのダブルコンボだ。


 きっと……当たり前の平凡が、特別に見えてるんだろうな。 


 鬼神とか、王子とかの特別な肩書や、彼の人並外れた美貌に狂うことなく、普通の兵士のお兄さんとして接した私だけが、


 ——彼が求める平凡な幸せを感じさせる唯一の人だったんだ


 私に対する執着はそのせいだと思う。


 ただ、少し可哀想にも感じる。今のままでは彼がいくら望んでも、その関係を自分でぶち壊すだろう。


 出来ないなら、知らないなら、教えてあげればいい。


 彼は、道場の子供達と一緒の子供だ。


「ちょっと、子育てでもしてみようかな?」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ