有能で手が早い臣下
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ガタ、ガタン!
何かが倒れる音がしたけど、私は目の前にいるペリルから目が離せない。
この人、余りにもナチュラルに、顔色ひとつ変えずにおでこにキスしたわよ?
ペリルは女性の扱いがスマートだ。今も、ギリギリ手を振り解き難い力加減で手を握っている。
嫌なら簡単に外せるが、感謝されてると思うと、振り解けない。どうしようなかぁなんて考えてたら、急にグイッと後ろに引かれた
「うゎっ!っと」
と色気のない声が出た。
ソージュは慌てた際に椅子を倒し、こちらに来たようで、今は私を後ろから抱き込んで、ペリルに対して威嚇している。
「お前、チャコに何してる」
「お礼のキスですよ。しませんか?」
ペリルは相変わらずケロっとしている。
本当に、ただの感謝の挨拶だったのだろう。
「お前のは、なんか違う」
……どう違うのかな?
「あのね、ソージュ隊長、いえ、ソージュ様、貴方はもう少し自身の御立場を考えて行動してください」
あれ?ペリルのソージュへの呼び方が違う?
「チャコが欲しいのは分かっています。ですが、今、何かして、万が一子でも宿したら、魔王討伐に差し支えます。事が終わるまで大人しくしてください!」
ペリルがものすごい勢いでソージュに詰め寄ってる
「仮に口説くのは良いです。でも、今後淫らに触るのは禁止です。惚れた女くらい、体を使わずに籠絡させてください」
体で籠絡って……そんなに簡単じゃないよね?
「仮にも貴方はナトゥーアの、美と愛の女神に愛された王子でしょうが!万年発情した国から、何の為に出て来たのですか?
僕は万年発情した主人を支えたくありませんよ。そんなにところ構わず発情したいなら、ハーレムに帰ればいい!真実の愛を見つけるのではないのですか?
貴方は、顔だけのハリボテですか?肉体使わずにやり遂げて下さい!」
はあはあ息と荒げるペリルは珍しい。彼は全力でソージュに説教した。
そっか、ペリルはソージュの家臣だったんだね。
「ペリル、ごめん。お前に怒られてなんだかスッキリしたよ。焦りの余り、どうかしていたな。
でも、チャコに触るなは約束できない。子ができる様な事は討伐するまでは絶対しない事を約束する」
うん?今までと変わらなくないか?
「ソージュ様、仰っている事が何一つ今までと変わりがないと思いますが?」
ペリルのソージュを見る目が怖い。
でも、言っている事に間違いはないわね。
「今、触らないと、もし居なくなってしまったらもう二度と触れなくなるんだ。初めて人に触れたいと思ったんだ。せめて、今だけは触れていたいんだ」
ソージュは切実に言葉をペリルにぶつけた。ペリルが悲しそうな表情で返答を考えている。
ペリルの怒り、私にも責任があるよね……
「私がちゃんと拒否しないからいけなかったですね。ペリルさんごめんなさい。ありがとうございます。
今後もやり過ぎな場合は私が止めます。手を繋いだり、今みたいなハグなら大丈夫です。
ただ、行き過ぎなければいいです。万が一勢いがついてきたら、忠告の後吹き飛ばします」
調教師みたいだね?でも、必死さが見ていて辛くなってしまったのよね
ペリルは、フッと息をつきやれやれと、頭を振り
「チャコ、甘やかさないでくださいね?この脳内ピンクのロマンス王子、チヤホヤされ過ぎて距離感が麻痺してるので、死なない程度にやって良いです」
なかなかに、パンチの効いた言葉をくれた。
脳内ピンクのロマンス王子!
ダメ!笑っちゃいけない!
そんなやり取りをしていたら、エストラゴンが声を掛けてきてくれた。
「あー何だ、皆でとりあえず飯食うか?」
エストラゴン、貴方は神ですね?
「ほら、隊長!ご飯だからチャコちゃんを離して!」
オリガンにまで……
「ソージュ、隣に座りますか?」
不憫に思ったから誘ったら、ソージュはピッタリ横に張り付いた。
ま、これで良いか
ペリルもエストラゴンもオリガンもソージュを見てやれやれって顔をしている。
ある意味平和だ。
「チャコ?なんか凄い事になってるんだね?」
あ、アルゼの存在を忘れてた!恥ずかしい!
「……後から話すわ」
あー、アルゼがニヤニヤしてるわ……
「……了解」
笑いを堪えながらぽそっと小さな声で伝えてきたわ
「ペリルさんとソージュさんは、生まれ故郷が同じなんですか?」
万年発情期って……どんな国よ?
私が質問をしたら、横にいたアルゼが、
「……チャコってやっぱり勇者だよね」
と、ため息混じりに呟いた。
「どこがよ?」
何を見てそう感じたのかしら?
「いや、何でも、いや、なんというかソージュ隊を平気で袖にしてるとか、今は侯爵位を名乗ってるけど、仮にもその人王子様だし。
5国最強で軍部の実働隊のトップの実力で、力も権力もあるんだよ?それを侍らせておきながら、無視とか勇者じゃなくても強すぎるよ」
まあ、ソージュの肩書きは凄すぎるけど……
私は懐いているソージュをチラッとみた。
「そう?かしら?」
やっぱり、そんなぬ凄いとは思えない……
「そうだよ」
2人で話していたら、横にいるソージュが私の頭にぐりぐりとさらに懐いていた。
ソージュ見せつけられた上に怒られた。
因みにペリルは慣れてるし、女性に手を出しても失敗はしません。
大魔導師だから……色々なんとかなります。
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