オデコにキスはアリですか?
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
ソージュはソファーに座り、首元も緩めてちょっとだけ気を抜いているようだ。
エストラゴンもソファーに座ったが、体が大きいから、ギシリとソファーが悲鳴をあげていた。
——今にもソファが壊れそうだ
「お茶でも入れましょうか?」
今のところ手持ち無沙汰だ。やる事もない
「頼めるか?」
ソージュは何だか疲れてるな。
「お湯を貰ってくるか?」
そう言ってエストラゴンは立ち上がろうとした。
「お湯は大丈夫です。レヒテハントさんがお茶を沢山持たせてくれました。ソージュさんが疲れてそうなら入れて差し上げろとの事でしたよ?」
バックから、3人分のカップを出してお茶を注ぐ。
時間が止まってるからお茶は暖かいままだ。
「どうぞ」
コトリとそれぞれの前にお茶を置く。一緒に栗きんとんも1つづつ並べた
「あ、これはキントンじゃないか」
ソージュは嬉しそうに、大切そうにかじった。エストラゴンは一口で放り込んだ。
「これは、しっかり疲れが取れるな?下手な回復薬より回復するぞ?」
ソージュはすっかり回復できたみたいだ。
「薬と違って根っこから回復した感じだな、これがあれば不眠不休でも動けそうだな?」
エストラゴン、それはやめて?
「エストラゴンさん、ちゃんと眠って回復してください!」
彼は脳まで、筋肉だから仕方ないのかな?
「エストラゴン、取った部屋は一つなのか?」
ソージュは部屋を見回している。
「いや?隣に2人部屋を取ったぞ?チャコちゃんを雑魚寝させるのも可哀想かと思ってな?」
なんと優しい!待てよ……2人部屋?
「エストラゴン、それはもしかして、そうなのか?」
ソージュは期待してるが、それはないと思うよ?
「ん?そうだな?それよりそろそろ皆戻るだろう」
エストラゴンは、とても曖昧などちらとも取れる返事をした。
ソージュより自分の荷物が気になっていたらしい。
「ただ今戻りました、投げナイフは明日には出来るそうです」
タイミングよくオリガンが使いから戻ってきた。
「戻りました。チャコ、君にも認識阻害の眼鏡買って来たよ」
ペリルも、オリガンと同時に帰宅した。
「ご苦労だったな、ところで宿の部屋なんだか……」
ソージュが、部屋割りについて言いかけた時、
「チャコ!」
ペリルの後から、ひょこっとアルゼが現れた!
「アルゼ!仕事終わったの?」
まだ就業時間内じゃないのかな?
「ペリル様が口利きしてくれて、皆様が商会へ伺うまでは休暇を頂いたの!また会えて嬉しいわ」
キャッキャとはしゃぐアルゼを、ペリルが優しく微笑んで見ていた。
二人の空気感が、さっきまでとはまるで違った。
——本当に良かった
「エストラゴン、部屋取ってくれた?」
ペリルがエストラゴンに尋ねる
「お?言われた通り2人部屋と大部屋を取ったぞ。隣が2人部屋だ」
そう言う事ね?
「ペリル様が折角だからチャコとゆっくり話すと良いと言ってくださって。今日はチャコと一緒に泊まって良いよって!」
ナイスペリル!さすが気が利くイケメンだ!
「じゃあ、こっちの世界の話沢山聞いても良いの?向こうとの違いとか、めっちゃ知りたかったんだ!こちらとあちらって何かと違うでしょ?」
かなり嬉しい!今は何より助かる。
ペリル様々だわ!さすが万能大魔導師!私の中でペリルへの好感度は鰻登りよ!
「ペリルさんありがとうございます!」
とびきりの笑顔でお礼を言ったら、視界の隅でソージュが撃沈していた。
ごめん。気付いたけど今はソージュに触る勇気はないわ。そっとしておこう
ソージュからスッと目を逸らしたら、ペリルが私の目の前に来て話し始めた。
「こうやって、妹と普通に接する事が出来るようになれたのも、チャコのお陰だよ。君じゃなきゃこうはならなかった」
ペリルは、私を真摯な瞳で真っ直ぐ見つめながら、言葉を続けていく。
「僕を信じて、妹をまっすぐ見て、歪みなく繋いでくれてありがとう。君には心から感謝してるよ」
そう言うとペリルは片膝を床につき、両手で私の手を包み、私の手の甲をペリルのおでこに当てた。
——多分、こちらでの最大の感謝の表現だ。
その姿を見たら、ちょっと胸がキュッとした。
「頭を上げてください。どうしたら良いかわからなくなります!私こそ、いつもペリルさんに感謝しています。ペリルさんが私が勇者だと気付いたから、今の私があるんです!」
あの時、見過ごされていたら、どうしていたかな
「アルゼの事もペリルさんなら、必ず味方になってくれると思ってました。本当にいつも細かな事に色々気付き手を回してくれて、ありがとうございます」
ペリルの細かな気配り、本当に感謝してます。
私の言葉を聞いたペリルは、じっと私を見つめ
私の手を握ったまま立ち上がり、
手を握ったまま「ありがとう」と言って
私のおでこにちゅっとキスをした……
私の…おでこに……キスをした?!
ソージュガッカリ。
ペリル、ついにスイッチ入りました!
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