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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
ゴルドファブレン王国

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黄色い声に御用心

 冒険者カードは問題なく認められたので、大きな石門をくぐり抜けて、荷馬車に乗ったまま冒険者ギルドへ向かう。


 ギルドには冒険者用の表玄関と、職員用の裏入り口があり、ソージュ達と裏に荷馬車を止めてギルド内へ入る。


「表から入るのかと思ってました」


 偉い人って、面から堂々と入る行くイメージだったわ。


「俺達は顔が割れすぎてるから……騒ぎになると面倒だし、俺はいつも裏から入るな」


 なるほど、有名人は大変なのね


「隊長は、確かに騒ぎになるよな?職員の女性達は隊長見たさに使い物にならなくなるし?」


 まるで、アイドルみたいね?


「その顔力、上手く使えば、簡単に国を落とせますよね?笑顔ひとつで勝手に暴動が起きそう」


 3人がぎょっとして振り返った。


「……」

 ソージュは無言だ。


「恐ろしい事言うなよ……」

 オリガンは怯えている。案外怖がりよね?


「チャコ、それ、洒落になってないからね?実際、出来るだろうからその考えはマズイ」


 あら?ダメだった?ペリルに怒られちゃった。


 裏口から入ると直ぐの部屋が、監視、相談役の部屋だ。中には誰もいないのか、ソージュは鍵を開けて中に入った。


 オリガンが棚から書類を取り出して記入している。記入が終わると、ソージュに確認してもらってこちらに来た。


「チャコちゃん、さっきの冒険者カード貸してくれないか?」

 登録だろうか?カバンからカードを出してオリガンに渡す。


「ちょっと行って来ます」

 オリガンが部屋から出ていった。


「登録ですか?」

 ソージュとエストラゴンは、卓上の資料を見ていたが、私の話に顔をあげた。


「本登録は、この部屋では出来ないからな。オリガンは登録者の権限があるから行って貰ったんだ」

 オリガンも偉い人なんだ?


「彼も……逸材なんですね?」


 ただの雑用ではなかったのね……


「そうだな、若いうちから力はあったな」


 人は見かけによらないわね?


「ソージュ隊長への忠誠心が奴は高いから重宝してるぞ?」


 エストラゴンの言葉で、便利な存在その2と認識しました。


 ガチャっと言う音と共にオリガンが戻って来た。


「ソージュ隊長、今直ぐに此処を出たほうが良いです」


 オリガンの言葉を聞いて、皆んなは急いで書類を戻し、慌てて外に出た。


 裏口の扉がしまった後


「あーん、ソージュ様に会えなかったわ!」

「もっと早く情報がくれば会えたのに!」

「もしかしたら、まだその辺りに居るかもしれないわ!」

「行きましょう」


 女性達のキャーキャーする声が聞こえて来た。


 エストラゴンは早急に馬車を発進させ、ソージュさんが、私を抱えあげ、動いている荷馬車に飛び乗った。


 私とソージュは、表から姿が見えないように荷馬車に寝そべって、やり過ごした。


 黄色い声が遠くになったから、起きあがろうとしたけど、ソージュは離してくれない。


「ソージュさん、もう大丈夫みたいですよ?」


 目の前にソージュさんの喉仏がある。


 ——近すぎる。


 この流れはまた、発情期発動かと警戒していたが、様子が違う。


「どうかしましたか?」


 顔を見ようと頑張って首を上に向けようとしたら、頭をギュッと押さえつけられ、私はソージュさんの首元に収まるしかなかった。


「俺は、国を落とす気もなければ、暴動を誘発したくもない。ましてやあの様に騒ぎ立てる奴らに、好き勝手に言われたくない。関わりたくも見たくもない。寧ろあの様な連中には嫌悪感しかない」


 不機嫌を抑え込んだ声で、ソージュは愚痴を溢していた。


「何があって、そこまで嫌悪して居るのかわかりませんが、好かれているのは良い事じゃないのですか?」


 五月蝿いのは分かる気がしたけど


「やる事なす事、陰から全て監視されて、ある事ない事勝手に言われて、自宅に毎日書籍数冊分の大量の手紙が届いて、目が合っただけで噂が立ち、行き過ぎた妄想で現実と区別がつかなくなり、会った事もないのに子が出来た責任取れと言われるがそれを受け入れろと?」


 わぁ、思った以上に大変そうだった。


「なんか、ごめんなさい。軽率でした」


 さすがに、それなら嫌にもなるわね……


「俺だって男だから、女に触れたいし抱きたい。だけど、軽はずみにそんな事したらそれこそ大変な事になる。仮に好きな女が出来たとして、それがバレたら最後、相手の女の命は無いだろう」


 命は……ん?この状態は不味いのでは?


「今この抱きしめられている状況それを言われたら、お前は死ぬと言われているのと同義では?」


 いや、勇者でも女の嫉妬は怖いぞ?


 ソージュはフッと笑って


「そうだな。特別な存在は必ず狙われるだろうな。だからずっと女を避けて来た。実際は惹かれた事などなかったし、必要とも感じなかった。でも、チャコは違うんだ。勇者だと知る前から、気になっていた。

 俺、麦わら帽子でだっさい格好のお前に惹かれたんだ。まあ、とりあえず子供じゃなくて良かったよ」


 あれ?もしかして貶されてないかな?


「なんだろう?褒めて無いですよね。物凄く告白めいた事言ってるけど、同時に脅しと蔑みが、一緒に来たので反応に困ります」


 いや、これが告白とか無いわな


「何か、おかしかったか?」


 おかしい。全てがおかしいよ?


「私に伝わったのは、女抱きたいけど、触るだけで頭おかしい外野の女がうるさいし、惚れ女は殺されちゃうけど、お前は勇者だし、抱いてバレても簡単には殺されないから大丈夫だよな?ロリコンでもなかったから安心だね!服ダサいけど!ですね」


 大変なのはわかりますが……


「……何でそうなった?」


 ソージュさんはうーんと悩んでいたが、馬車が止まったのでこの話は有耶無耶になった。





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