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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
隣国へ

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33/201

勇者の力?そもそもか?

 馬に乗って走る。


 頬に当たる風が気持ちが良い。


「もうすぐ敵が現れる。準備はいいかい?」

 ベリルが、声を張り指示を出してきた


「大丈夫です。行けます」


 既に手元に短弓を持っている。矢筒の中には矢も入っている。


 矢を一本取り出し、下半身で馬上のバランスを取り、私はいつでも弓を射る事が出来るよう準備をする。


「来るぞ!」


 誰の声だったか、理解するより先に、目線の内に敵の動きを確認。


 背筋をすっと伸ばし、綺麗な姿勢で弓を構え標的を捉えた瞬間に射る。


 バシュッと風を切る音が気持ちいい。


 姿勢を崩すことなく、視界の端にとられた、次なる敵を次の矢を手にして即座に射る。


 どんどん集中力が上がっていくのがわかる。


「コトリ」と矢筒に矢が戻る音がした。


 次々と、目視すると同時に矢を放っていく。流れるように、無心に矢を放ち続ける。


「コトリ、コトリ、コトリ」


 矢がリズミカルに次々と戻ってくる。


 最終的に、遠くに大きな敵がいることを補足して、しっかりと狙いを定めて矢を放った。





「いや……マジで勇者凄いわ」

 オリガンが、次々と敵に命中する矢をみて、つぶやいているのが聞こえた。


 集中する事で、聴力もかなり上がっているようだった。


「動く敵は、結構俊敏にしたんだけどね」

 ペリルの準備した敵は、初心者用から超難易度まで動きは様々だった……


「俺達は、何を見せられてるんだ?」

 ソージュは私が止まることなく、次々と流れる様に矢が打ち出す様子を後ろから見ている。


 最後の敵に至っては、皆は敵を目視できなかったみたいだけど、千里眼のおかげで、しっかり見えた。


「勇者の力はすごいが、それ以上に、彼女の馬上での弓の扱いが、あまりにも上手いな」

 ソージュは私の弓の扱いに慣れていることに衝撃的だったようだ。


「思った通り、チャコはやはり強いではないか!」

 エストラゴンは、予測した通りだと、私が強者であることを喜んでいた。


「馬上での体の扱いが上手かったことも、今この姿を見ると納得できる。圧倒的に強いな!」

 エストラゴンは、やたらとハイテンションになっている。


「勇者の力がと言っていたが、それ以上に長年鍛錬をしてきた者の、弓の扱いだ。綺麗な姿勢で打ち出される弓に惚れ惚れするぞ!」

 ひたすらエストラゴンに褒められた。嬉しいけど、私は少し恥ずかしい。


 一度、全員で集まると、ペリルが、魔法で作った敵たちを回収してくれた。


 自分の軌道の精度を確認したら、見事弱点に全部命中していた。


 これは、さすがに勇者補正だな。


「勇者の力って凄いよね。全部真ん中……」

 実力ではできないなぁと思いながら、皆に話しかけたら


「いや、勇者の力だけではないと思う。綺麗な弓術だったぞ?」

 ソージュには、弓術をほめられ、


「馬上での姿勢の美しさは見事だったぞ。普通は保てない。長年鍛錬をしてきた結果だ!」

 エストラゴンには、鍛錬の成果だと言われ、


「俺には絶対できないなぁ」

 オリガンは……さっさと諦めている。


「最後の敵なんて、僕見えてなかったよ?索敵能力高すぎだよ」

 ぺリルには索敵能力を感心されてしまった。


 それぞれが褒めてくれるのは嬉しいけれど、本来の実力以外のことを褒められるのは、ちょっと居心地が悪い。


「実力以上のことを褒めるのはやめてください。あくまでも勇者の力です。私は実際は大した事はありませんよ」

 本来の実力は、動きがあるから、当たったとしても、印から多少ズレるのが出るはずだ。


「……そういうことにしておくな?」

「そうだな、いずれわかるであろう」

「せっかく褒められたんだから喜んでおけばいいんだよ」

「勇者の力もひっくるめて全部チャコの力なんだから褒められとけば?」


 皆がワイワイと口々に言葉をくれた。


「他の武器はどうする?」


 ぺリルが他の武器も練習させてくれるみたいだ。ありがたい


「長弓を試してみたいです。ぺリルさんはどのぐらいの距離までなら敵を作ることができますか?」


 弓の具合は見てみたい。投擲は投げるだけだから多分問題無いと思う。


「どうかなぁ。やってみるけど、遠いほうがいいの?大きさは?」


 あまり近いと練習にならないだろう。遠ければ遠いほど良いが、威力が下がりそうだからそれも、一度調べておきたい。


「魔王のサイズってどのくらいですかね?」


 山猪ぐらい大きいのだろうか?


「どうかなぁ。分からないから、さっきの最後の敵位にしておこうか?」


 最終の敵は像ぐらいの大きさだったよね?


「お願いします」


 魔王は、象くらいのサイズなのかな?


「うーん、100キロが限界かも」


 ぺリルは敵を生み出せる距離の最大は100キロだと言っている。


 さらっとありえない距離を言っているけど、この人、本当に人間なのかしら?


「わかりました。じゃあ100.80.50の3箇所お願い出来ますか?」


 100キロ先に実体作れるなら、実体を伴わない魔法はいったいどこまで届くのかしら?


「何で3箇所に?」


 距離の指定をしたら、ぺリルは不思議そうな顔をした。


「損傷の場所と威力が知りたいんです」


 流石に100キロ先の敵は、破壊出来ないだろうな……


 当てるだけなら、この力ならできそうだけど


「設置できたよ。遠くて動かせないから、問題起こる前に早目にお願い」


 さすがに実態を作った上に動かすのは、この距離じゃ無理よね……


「では、直ぐに」


 何も知らない人の前に、いきなり大きな敵が現れたらパニックになるかもしれない。


 それはいけない。


 私は、長弓に持ち替えて千里眼を発動した。


 すると、魔法で作られた敵を感知して補足。


 1番奥の敵の前には、幾つも障害物がある。


 上空から撃ち落とすことにした。


 私は、1度長弓を構え、スッと軽く足を引き、軌道を読んで、空高く矢を放った。


 2発目80キロも少し角度を変えて続けて射出した。


 3発目は更に近い。障害物が無かったので角度を減らして射出した。


「あっ!えぇ??」


 魔物の制作者のペリルが困惑しているけど、どうしたのかな?


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― 新着の感想 ―
ここから先の話が繋がらないので直していただけましたらまた読みにきます(ㆁωㆁ)
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