バラさなくていい。
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
勘違いではあるけれど、そんな事はお構いなしに、オリガンさんは私達の元へ突進してきた。
「いつの間に、隊長はチャコちゃんと、良い関係になったんですか?昨日ですか?昨日の夜ですか?だから持ち帰ったんですか?ナッツを食べるといいながら、チャコちゃんを美味しく食べたんですか?」
物凄いテンションのオリガンさんが煩い。
無駄に声か大きいので、広場で食事をしている人々が何事かとこちらを伺っている。
「落ち着け!」
ガコンと、音が聞こえた。
エストラゴンさんが物理的に黙らせたようだ。
オリガンさんは、痛みで言葉を忘れた模様。確かに相当痛そうだ。そのまま、色々忘れてくれればいい。
「ところでソージュ隊長?いつまでチャコの事抱きしめてるの?」
呆れた様な言い方で、ペリルさんがソージュさんの事を咎めた。
——あれ?いつの間に私を呼び捨て?
「あぁ?あ!」
パッとソージュさんが離れた。急に離れたから、外の風を感じて少し寒く思えた。
「チャコはソージュ隊長に抱きしめられたのに、何とも感じないんだね?前は違ったでしょう?」
ペリルさんが尋ねてきた。確かになと感じた。
「初めは、兎に角色々パニックだったので、冷静さを無くしていただけです。冷静になれば平気でした」
あからさまに拒否とか、どうかしていたわ。
「なんて言うか、異次元な美しさだから騒いだ所で労力の無駄というか。今は「あーイケメンやっぱ凄いなー」って感じですね」
まあ、昨夜の色気が全て吹き飛ばしたんだけど
「抱きしめられた所で「流石イケメンだー」ってなるけど心は平常心保てていますよ?現実味が無いんです。いちいちドキドキしていたら身が持ちません」
私が至って平常心な様子で返すと
「でも、いきなり過ぎない?昨日の今日でしょう……見るだけなら分かるけど。抱きしめられても平気なのは……何で?何かあったの?」
ペリルさんは、気になったのか更に追求してくる。
「んー何というか、疑われていそうなので、ソージュさんの体裁を守る為にも言いますけど、何も事は起こっていませんよ?」
襲われかけましたなんて、言わなくて良い。
なのに、本人が暴走した……
「俺の理性が飛んで、彼女を押し倒したな」
この人に羞恥心は無いのでしょうか?
「何で!余計な事言うんですか?!」
バカなのかな?
「本当の事だし?」
ソージュさんはけろっとしている。男の人って、平気なのかな?
「押し倒しただけで、取り立てて卑猥な事は何もして無いじゃ無いですか!」
肩とかチュッとはしたけど……
「次はわからんじゃ無いか」
ソージュさんは爽やかに笑いながら否定するけど……
「確かに分からないけど、ん?や、次があるの?」
え?……そうなの?
「さてな?」
ソージュさんがニヤリと悪い顔で笑っている。
「……とりあえず理解出来た。あー、とにかくメシ食べようか?」
ペリルさんは、全てを理解したみたいだ。
「チャコちゃん、肉の串焼き食うか?」
エストラゴンさんは、若者のやり取りは見ない事にしているのか、全く気にせず
焼きたてでホカホカな、肉の串焼きを渡してきた。
「あ、僕はジュース買って来たよ?」
ペリルさんも私にジュースを渡してくれた。
何のジュースだろう?可愛らしいピンク色だ。
「チャコ、俺はサンドイッチ買って来たぞ?」
ソージュさんは野菜がたくさん挟まれたサンドイッチを買って来た。
「ねぇ?何で誰も2人の関係に何も言わないの?」
オリガンさん……もう、オリガンでいいや。
頭の中なら、みんな呼び捨てでいいよね?呼ぶ時には気をつけよう。
オリガンは、納得出来ずにまだ吠えている。
「え?だって見てたら分かるよね?」
ペリルが肉を齧りながら、何言ってんだコイツ?と見ている
「敢えて口にしなくても良いだろう?」
エストラゴンはこの件には関わらないつもりだ。
「あ、この串焼き美味しいですね?」
私はピリッと香辛料の効いた肉を楽しんでいる
「それとペリルが買ったジュースは良くあうぞ?」
ソージュは私の世話を焼いてくれる。
「ねぇ、チャコちゃん……どう言う事?もしかしてもう隊長といい仲なの?俺の居ない間に……もう俺の出番は無いの?」
オリガンは望みを捨てられず、私に言い縋る。それを聞いた他のメンバーが、
「無いな」
ソージュは一喝する
「無いね」
ペリルはソージュに賛同する
「どう見ても無いだろ?」
エストラゴンすら賛同した
「えーチャコちゃん!違うよね?そんなに早く籠絡されてないよね?」
必死に私に縋る様は、色男台無しだ。
「籠絡はされてないけど、オリガンさんの出番は無いですね」
ちゃんとイケメンだとは思います。
「そんな!酷い!今日会えるの楽しみにしていたのに!やる気なくなる!」
オリガンは最後に泣き落としをした。
「余計な事ばかり言うし……やる気無いなら帰るか?オリガン」
ソージュがシッシと追い払おうとする
「我々だけで充分ですし、帰って貰いましょう」
ペリルも邪魔するなら要らないと言う
「規律を乱す奴は足手纏いだな」
エストラゴンはもう考えるのは辞めている
オリガンがすがるような目を向けて来たので、
「あ、オリガンさんお疲れ様でした」
と、笑顔で挨拶をしておいた。
来たばかりなのに、散々ね?
「まだ朝!もう、誰か引き止めてよ?理解はしたし分かったよ。ちゃんとしますよ」
無駄だと分かり、仕事放棄も出来ず。オリガンは不満ではあるけど、全て受け入れたようだ。
皆の目が、イタズラに笑っていたのに、オリガンには見えていなかったようだった。




