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トングが聖剣?使わないけど〜最強女勇者はイケメン達に守られていたいんです〜  作者: 黒砂 無糖
魔王討伐

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201/201

大きな栗の木の下で

ラストです。

今までありがとうございました!

 目の前に叔父さんと亮太がいる。なんだか不思議な気分だ。


 2人が必死に帰って来いと言う。探してくれていたんだな?と嬉しく感じた。自分が思っていた程、もう恨んでないみたい。


「チャコ、帰りたい?」


 ペリルに言われ、戸惑った。目の前には私を必死に連れ戻そうとする2人がいる。


「え?ペリル?「チャコ!ダメだ!一緒にいてくれ!帰って来い!」


 私は大声に驚き亮太を見た。


 亮太は必死に浮気の言い訳をした。酒の下での間違いは、自分も身に覚えしかない。


 私はそれを聞き、既に亮太の事は許している事に気付いた。


 必死な彼が、懐かしいなと少し懐かしく涙が滲んだ。


 すると私の身体が薄く光り始めた。


 もうすぐゲートが閉じそうだ。


 私はペリルから離れ2人の側へ向かう。


 一瞬ペリルの腕の力を感じたが、すぐ自由になった。


「2人とも、心配してくれてありがとう。叔父さん、ごめんなさい。私は帰らないから、家の事をよろしくお願いします。今、異世界にいるの。嘘みたいだけど本当なの。もうすぐゲートが閉まるわ。最後に会えてよかった」


 叔父さんは顔を顰め、走って姿を消してしまった。


 怒らせちゃったわね?我儘言ってごめんなさい。


「亮太、ちゃんと甘えられなくてごめんね?あなたの事は許すわ。でも私は貴方とはもう無理。それに、今は、貴方以上に愛する人が出来たの。貴方と付き合えて良かったわ。心配してくれてありがとう」


 私はハッキリ断った。初めてかも知れない。


「なんで?誰だよそいつ、だってたった数ヶ月じゃないか!茶子の何が分かるんだよ!」


 亮太が噛みついて来たが、もうなんとも感じない。


「彼は、私の事ならなんでも分かるの。自分の事より私の幸せの事を考える人よ。自分が苦しくても私が幸せなら我慢しちゃう人。誰よりも大切にしたい人。凄いイケメンだし?」


 私はイケメンアピールもしておいた。


「くそっ……自分の間違いがまければ、一緒にいられたかな?」


 亮太がそう聞いて来たから


「さあ?彼曰く、相手がよそ見するのは、こちらの努力が足りないかららしいわよ?私も努力不足だったから、どちらにしても無理だったかもね?じゃあね?今までありがとう亮太」


 私に未練は全くないわ。叔父さん、怒らせてごめんね。


 私は一歩下がる。ゲートがだんだん閉じて行く。懐かしい我が家が見えなくなって来た時……


「茶子!!」


 叔父さんの叫び声と共に、何かが飛び込んできた。


「体に気をつけて!幸せになるんだぞ!!」


 叔父さんのその言葉を最後に、ゲートは閉じた


 私の足元には、私の愛用の弓と矢と何故か旅行鞄が、落ちていた。


「叔父さん……」


 何を入れたのかな?と鞄を拾った時


「チャーコー!!!!」


 とエストラゴンの叫び声と


「「チャコ!!!!!」」


 ソージュとオリガンも叫び


「チャコ……」


 ペリルは私にしがみついていた。ペリルは涙を流している。不安だったかな?


 後から聞いたら、ペリルの声は届かず、私は存在が消えかけ、光が強くなると、全く姿が見えなくなったみたいだ。


 ソージュ達は私達が、栗の木に飛んだのを見て、慌てて向かおうとした。


 3人は荷馬車より、身体強化魔法をかけて走った方が早いと、走ってここまできたようだ。


 栗の木が、皆の到着までゲートを保ったのだろう。


 時間も歪めたのかも知れない。ソージュ達が到着した時が、1番光っている時で、ペリルは独りで無表情だし、帰ったかと心配したようだ。


「ペリル!わしにも娘を抱っこさせろ!」


 エストラゴンが、ペリルから離そうにもペリルは離れる気がない。


「ふん!」


 エストラゴンはペリルごと私を持ち上げ抱きしめた。ちょ、勇者じゃなきゃ折れてるって


「チャコ、この先はずっと一緒だ!ペリル、気持ちは分かるがいつまでもぐずぐずするでない。ほれ、拠点の移動を早くしろ」


 エストラゴンは城に馬を置いてきたが、荷馬車は空間魔法に入れてきた様で、取り出した荷馬車に私からむしり取ったペリルを放り込んだ。


「チャコ、この荷物はなんだ?」


 ソージュが、足元に散らかった荷物を拾ってくれた。


「叔父さんが、最後に投げ入れてくれました。愛用の弓と矢です。鞄の中はまだ見ていません」


 話をしていたら


「ほら、出来たから早く中に入って!」


 ペリルが、最速で拠点を移した。


 リビングで、皆に見守られながら鞄を開けたら


 ・道着と、弓道用具一式

 ・良く道着の上から着ていた防寒用のコート

 ・小さな頃の宝物のウサギのぬいぐるみ

 ・買い置きのお菓子

 ・祖父母とお母さんの写真


 が、入っていた。


 私はお菓子が出てきた時は、なんでお菓子?と笑いながら、慌ててこれを詰めていた叔父さんを思って涙が溢れた。皆は、写真を抱きしめて泣く私を静かに見守ってくれた。


 泣きすぎて頭が痛くなってきた頃、ふと栗の木に挨拶しないと、と、思い


「……栗の木に挨拶してもいい?」


 と言うと、皆も行くとついて来た。


 皆は一歩後ろにいるのに、ペリルは私から離れず栗の木の下へ来た。


 私は、栗の木に触れながら、祖父母と母と叔父さんに、心からありがとうとこれから頑張るねと、念を込めた。


「チャコ、ありがとう」


 ペリルが、栗の木に触れながらお礼を言って来た。


「え?何?」


 と、ペリルを見たら、ペリルは私の足元に跪き、私の事を真摯な目で見つめる



「私、ペリル・アウスヴエークは、聖なる木と仲間に宣言する。たとえ世界が違っても、私はチャコを誰よりも信じ、誰よりも愛する。チャコを唯一としてその幸福を誰よりも願い、支えていき、一生涯かけて"全力"で幸せにする事をここに誓うよ」



 ペリルが、そう宣言すると、私とペリルの聖石が光り、ネックレスから外れ2つの石はひとつになり、栗の木に吸収された。その瞬間、栗の木がザワザワした後


 "パァン!"


 と弾けるような音がして、栗の木から虹色の祝福の魔法が2人に降り注いだ。驚きもあり、私とペリルは気付いたら抱き合っていた。


 ペリルの腕に抱かれながら、周りにキラキラ舞っている祝福を見る。綺麗だと思って見ていたら、ペリルと目が合った。


 どちらからでもない……


 気付いた時には、抱き合ってキスをしていた



「ペリル!人前でイチャイチャするな!」


 エストラゴンの叫びが聞こえる


「チャコ、粘着したらちぎっていいぞー」


 ソージュがからかうように笑う


「ペリル!あー羨ましい!」


 オリガンは相変わらず素直だった



 声に反応して私から顔を離したペリルが



「隊長!3日間、お休みを頂きます、一切連絡しないでください」



 と、ソージュに伝えた。



 返事も待たずに、ペリルは私にキスをしながら軽々と抱き上げ、そのまま自室に引き篭って行った。



 残された3人が皆手を合わせて見送った事を……私は知らなかった。



 そう、私は勘違いをしていたんだ。

 ペリルの"全力"も、

 栗の木の"祝福"の意味も……



 私はこの世界をまだ何も知らなかったんだ。




 トングが聖剣?使わないけど

 〜最強女勇者はイケメンたちに守れれていたいんです〜 


 完結




完結です!ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました!


「トングが聖剣?使わないけど〜女最強勇者はイケメンたちに守られていたい〜」は、栗拾いから始まったドタバタ異世界生活、そしてイケメンとの恋と、全く出てこないトングの物語でした。


勇者チャコが、ひとりの女の子として、だんだんと前に進んでいく姿を、少しでも楽しんでいただけていたら嬉しいです。


ラストではやっぱりペリルと……でしたね(笑)


※お察しの通り、あの後、3日間は本当に誰とも連絡を取りませんでした。


この物語は完結ですが、


異世界5国リンクス

〜アレクサンディー山脈の物語〜

として、他の話と世界がつながっています。


チャコ達のお話は一足早く終わりましたが

「オカン転移」では、ソージュと、瑠璃との関係も……一方その頃が、明かされていきますので、気になる方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね?


また別の物語でも、時間軸を超えてチャコたちに再会できる日が来る事でしょう。


その時はまた、お付き合いください


本当に、最後までありがとうございました!


黒砂無糖



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― 新着の感想 ―
電車で読んでたのに、ラストで泣いてしまいました(汗) 関連のお話もこれから読みます!
楽しく楽しく読ませていただきました。 先が気になって、投稿されている4作を一気読みする勢いで追いかけてしまい、「なんてもったいないことをしたのか、なぜゆっくり読まなかったのか」とちょっと反省しまして、…
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