ミイラ取りがミイラになる
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更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
「ソージュさん、私に何か用事があったのでは無いですか?一緒に栗を剥いていても大丈夫?」
勢いでお願いしちゃったけどよかったのかな?
「ん?ああ!そうだった」
ソージュさんは、何か忘れていたようだ。
「ソージュ、いつまで待たせるんだ。しかも何で厨房に?っとチャコちゃんじゃないか、ソージュもコッホも皆で何してるんだ?」
エストラゴンさんがコッホの手元をのぞき込む。
「栗の皮をむいているんです。沢山あるので一緒にやりますか?」
本来栗の外皮は固く鬼皮と呼ばれる。沢山剝いたら大変痛くなる。でも、転移のスキルのせいなのか?それとも、栗が変質したのかは不明だけど、剥きやすい。
スルスル剝けるから楽しい。
「俺がやったら多分潰すぞ?木っ端みじんなら得意だが」
エストラゴンの手を見る。納得だ。栗がどんぐりサイズに見える。
「やめておいてください、栗が可哀そうです」
——潰すなんて勿体ない
エストラゴンは残念そうに、手の中の栗を見ている。すると何か思い出したのか
「そうだった、ソージュ!ナッツだ!チャコちゃんナッツは、全部料理してしまったかい?取ったままのやつが欲しかったんだが」
ソージュさんがしまった!という顔をしている。
「生の栗ですか?全部茹でたけど…」
何か問題でもあったかな?
「ああ、もっと早く伝えるべきだったか!」
何?こっちの栗には毒でもあったの?
「あの…」
慌てている二人を見て、どうしたらいいか分からず、声をかけるも……
「今から探しに行くか?いや場所が分からんな。ソージュどうする?」
勝手に話が進んでいる。毒ではなさそうだけど、何か大事なことなのかな?
「明日にでもチャコを連れて行って、木の場所を教えて貰おうか?」
そんなの……分からないよ!
「ちょっと!聞いて!傷があっても良ければ、籠の中に幾つか除けたのがあるの。それでも良ければ使ってください!」
そう伝えると、二人とも慌てて籠の中を見に行った。
「「これ、貰てもいいか?」」
声をそろえるほど、そんなに生の栗が欲しいのかな?
「それはもう要らないので、少ないですがどうぞ?先程から、生の栗に何かあるんですか?」
茹でたらだめだったのかな?
「ソージュ隊長、エスさん一人だけほっとくなんてひどくないですか?」
あ、ぺリルさんだ!完全に皆忘れてるとおもうよ。
「中々戻って来ないから待ちくたびれましたよ。揃いも揃って何してるんですか。ソージュ隊長はチャコちゃん呼びに行って戻らなくて、エスさんもソージュ隊長見に行くって言ったきり戻らなくて。ここで何してるんですか?」
うわぁ……ミイラ取りがミイラになるだわ
「済まない、チャコと一緒にナッツを剥いていたら楽しくなって来て忘れてた」
なに?イケメンの言い訳が可愛いだと?
「いや、皆が真剣になってて次々に剥かれるのが見ていて気持ち良くてな、つい……」
こっちもだったのか!
「隊長、副隊長2人揃って…で?加工前のナッツは貰えましたか?」
ぺリルさんは、呆れながら二人に声をかけた。
「「貰えたぞ!」」
小さな子供のお使いじゃ無いんだから……必死になって栗を見せなくても良いのでは無いかしら?




