慣れてと言われても無理
見つけてくれてありがとうございます。
更新は不定期になります。出来る時に頑張ります
あーやっと気付いたのか。
「ソージュさん、私は確かに少し小さいけど、こう見えて21歳で成人してます。ずっと子供だと思ってましたよね?」
私が今着ている服は、作業しやすい服だと渡された、シンプルなワンピースで侍女頭の娘の、幼少期の物らしく、私を風呂で丸洗いしている間に、わざわざ借りてきたそうだ。
Vネックでフィット感があり、胸下で絞られているので胸が非常に目立つ。さほど大きくは無いが、この服は目立つ。谷間もわずかに見えるので、きっと嫌でも視界に入ったんだろう。
「ごめん。申し訳無い。10歳前後の少女だと思っていた。妹達と同じくらいだと勝手に勘違いしていました。成人女性に対する扱いでは無かった。勝手に触られたりして、嫌だったよな。本当に申し訳ない」
あらら、また凹んでしまったわ
「それは気にしていません。イケメンの頭ポンポンと、かただのご褒美ですよ?実際、子供扱いは嬉しかったし。嫌だったらとっくに言ってます」
むしろ子ども扱いでよかった。
「そう言ってくれてありがとう、でも、これからは女性として扱う様に気をつけるよ」
それは……ちょっと怖いか?
「ソージュさんには、妹さんがいるのですか?今日は会えますか?」
お子様なら、お菓子食べるかな?
「今は一緒に住んでいないんだよ。ここは俺の屋敷だから妹は実家だね」
そっか、仕事で家を出ているのだろうし、仕方がないか。
「残念、お菓子あげたかったな」
きっと美形のかわいい子なんだろうな……
「沢山出来たなら、魔法陣で送る事ができるから、送ってもいいだろうか?でも、せっかくチャコが作ってくれるなら俺が1人で食べたい」
魔法陣あるんだ?さすが異世界。しかし、後の言葉は……
「なんて言うか、ソージュさんって”イケメン天然無自覚タラシ”ですよね?良く今まで無事でしたね?勘違い者続出で殺傷事件が起こりそう」
この顔で、気を持たせる発言なんて、もはや毒だわ。
「実際に起こった…俺が悪かったのか」
あらら、やっぱりねこの人、無自覚に口説く様な言葉さらっと吐いてるのよね。計算している奴よりある意味タチが悪いわ。
「ソージュさんのその眼鏡って、かけると見え方変わるんですか?」
眼鏡につかれたのか、目元を押さえているので気になって尋ねてみたら、ほら、と眼鏡を渡されたので自分でかけてみる
「少し暗く感じますね、目が疲れたのはそのせいかもしれませんね。私の為にありがとうございました。もう、隠さなくて良いですよ。頑張って慣れます!」
眼鏡から解放されてソージュさんは、クックックって笑っている。
「本当に大丈夫か?」
目元押さえたままで、口元だけしか見えてないのにイケメンオーラが半端ない。座り方なのか、全身から気怠い色気もダダ漏れだ。
「無理だと思ってますよね?私の鍛え上げられた平常心を、舐めてもらったら困ります」
弓道で散々鍛えたんだ。いかなる時も動じないのは、私の得意とする所の筈、現に今、眼鏡外したソージュさんから色々漏れて来ているけれど平気だもん。
「そうか、なら、試して見るか?」
目元を押さえたままのソージュさんの口元が怪しくニヤリとした。
——不穏だ。
ちょっと色々かなり不安になったので、ソージュさんを置いて逃げようと、入り口に足早に向かう。
でも、そもそも足の長さが違うので、すぐに追いつかれ、なぜか壁に追い込まれ……
「とりあえず、厨房で栗!!?」
言葉は最後まで言わせてくださいよ……
確かに頑張るって言ったよ?ちょっとやそっとじゃ動じないと思ったよ。今だって頑張って平常心だよ。でもね?
——壁ドンは卑怯じゃ無いかなぁ?
——顎クイはもっとダメだと思うの!!
私の目をじっと見て、私が大丈夫そうなのを確認したら
「ふっ」
って含み笑いした後……耳元で吐息多めに
「早く慣れて」
なんて……腰抜けるわ!!
見事に耐えたよ!
足ガクガクだよ!!
目はチカチカしてるし!!!
なんかいい匂いだったし!!!!
絶対わざとだろ!!とキッと睨みつけると
「案内するよ」
ソージュさんは嬉しそうに笑いながら先に厨房へ歩きだした。
やっぱ、絶対に私の事、オモチャだと思ってますよね?
壁ドンて、電車の中でもカウントされますか?
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