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脱出失敗

町からの脱出を計画し出口が見える大通りまでやって来たイヴリス。だが大通りの人の多さは想像以上で、パッと見ただけでもイヴリス達の村の人口よりも多かった

なるべく目立たぬよう端の方を歩いて慎重に出口を目指す

焦る気持ちを抑え一歩、また一歩。そうしてようやく大通りを歩き切り出口である町の門の前に到着した



「ここを抜ければ外に出られる・・・」



出口はもうすぐ目の前、だがよく見ると門の付近にはそれを阻む門番らしき存在があった

あれに見つからないように抜け出すしかない。イヴリスはできるだけ身を小さくし、暗くなっている場所を進んで門番に気づかれないよう出口を目指した

門番は仲間と思われる者と談笑していてイヴリスに気づいていない

このまま行けばバレずに抜け出せる。そう思った次の瞬間、ローブの裾を誤って踏んでしまいかなり大胆に転んでしまう

そしてその音に反応した門番がイヴリスの存在に気がついてしまった



「ん?なんだ嬢ちゃん、こんな時間に1人で出歩いてたら危ないだろ。外に出るなんて以ての外だぞ」



何を喋っているかサッパリ分からないが幸いイヴリスが魔人だということには気がついていない様子

それを見てふと思い出した。あの家にいたアリシアという女性は普通に魔人の言語を介して自分と喋っていたことを

だが今はそんな事を考えている暇はない



「裸足じゃないか。もしかして家出か?それなら保護して親御さんに伝えないと。さっ、こっちに来なさい」



男はイヴリスに手を伸ばしてくる。ここで捕まって正体がバレでもしたら一巻の終わり

一旦逃げるしかないと思い来た道を戻ろうと大通りの方に振り返る。するとあの女性がこちらに向かってきているのが見えた



「あぁよかった!見つけたよイヴリス!こんな所まで来ていたなんて。心配したじゃないか」


「なんだアリシアじゃないか、この嬢ちゃんはお前んところのだったのか。あれ?お前って子供いたっけ?」


「一時的に預かっている子よ。親に会いたくて抜け出しちゃったみたい。迷惑かけたわね」



門番の男にそう告げてアリシアはイヴリスの手を引いて自宅へと引き返していった。正体がバレなかったことに関しては安堵したが、結局振り出しに戻されてしまった

あと少しでここから抜け出すことができたのにと思いながら家に帰ってくると、アリシアがイヴリスの方に振り返る。きっと勝手に抜け出したことで何か罰を与えられるに違いない

一体どんな罰が下されるのかと怯えながら目を瞑っていると突然アリシアがイヴリスに抱きついてきた。何が起こったの一瞬理解できなかったイヴリスは硬直、その後状況を理解すると藻掻いて抜けだそうとする



「おい!くっつくな!おい聞いてるのか!」



精一杯力を込めているはずなのにビクともしない。何を言っても動かないし離す様子もない

どうすることもできずただされるがままでいると、アリシアがポツリと呟いた



「無事でよかった・・・」



その声から本気でイヴリスを心配していたように見えた。抱きついていて見えなかったが背中が少し湿っているようにも感じる



(なんなのこの人間・・・・)



その後はアリシアがイヴリスの部屋にやってきて、また抜け出さないようにと一緒に寝る羽目になってしまった

流石に同じベッドで寝ることを許しはしなかったイヴリス、なのでアリシアは毛布だけ持ってきて床で寝ていた

先程のアリシアの様子を目の当たりにしてすっかり逃げる気が起きなくなってしまった。布団の中に入っているとぬくぬくとしていて、張りつめていた緊張が解かれたからか一気に眠気が襲ってくる

寝てしまう前にとイヴリスは気になっていたことをアリシアに問いかけた



「お前、なんで魔人の言葉が喋れるんだ?」


「私貴女の村に派遣されて何度か行ったことがあるのよ。そこで少し教えてもらっていたの。気づかなかった?」


「知らない・・・」



大人同士が話しているの見ているだけだったしその時によってコロコロと人が変わっていたように見えたので覚えているわけがない

それだけ聞くとイヴリスはもう限界が来ていて眠りに入ってしまった

翌朝、イヴリスが目を覚ますと下からなにやら香ばしい匂いがただよってきた。階段を下りるとアリシアが朝食の準備をしていた



「お、おはよう。起きたわね、もうすぐ朝食が出来るから椅子に座って待ってて頂戴」



寝ぼけ眼のイヴリスは言われた通り椅子に座りながら朝日を浴びて待っていた。暫くするとアリシアが皿に料理を乗せて持ってくる



「さぁたくさん食べなさい!」


「え、なにこれ・・・」



皿に乗っていたのは恐らく目玉焼きとソーセージ、恐らくという言葉が出てきたのはどちらもギリギリ認識できるかどうかのレベルで焦げていたから

恐る恐る口に運ぶとやはり素材の味は感じられず、苦味しか感じられなかった



「苦い・・・」


「次はもっと上手く焼けるようにしておくから今日はそれで我慢して・・・」



幸いパンの方は何も調理がされていなかったので美味しく食べることができた

パンで腹を膨らませたイヴリスはアリシアと村に向かう為の準備を始めた



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は土曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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