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町からの逃走

ひとしきり泣いたイヴリスの目は真っ赤に充血、顔はぐしゃぐしゃで凄いことになっていた。隣に座っていた女性はそれを笑わずにずっと見守っていた



「どう?少しは落ち着いた?」


「・・・うるさい」



きっと自分の汚い顔を見て面白がっているに違いない。その時のイヴリスはそう思っていた

油断してみっともないところを見せてしまったがここは人間の家、どんなことがあっても心を許さないよう気を引き締めた



「まぁご飯もしっかり食べてくれたしよかったわ。あっ、そういえばまだ名前を教えてなかったわね。私の名前はアリシア、アリシア・アリアハートっていうの」


「・・・アばっか」


「覚えやすくていい名前でしょ?はい、次は貴女のお名前を教えてくださいな」


「言わない」


「え~、私の名前教えたんだから教えてよ~」



イヴリスは馴れ馴れしく擦り寄ってくる女性に対して冷たくあしらった他、睨みつけてみたり威嚇してみたりと色々してみたが全く効果がなかったので、相手にしないのが一番だと思いイヴリスは最終的に無視をすることに決めた



「おーい?聞こえてるー?」


「・・・・・」


「むぅ、じゃあ私が名前をつけてあげよう。んーそうねぇ・・・」


「やめろ!私にはお母さんとお父さんにつけてもらったイヴリスって名前があるんだ!」


「オッケーイヴリスね。よろしくイヴリス」


「あっ・・・」



ふざけた名前をつけられそうになって思わず反応してしまった。警戒していたつもりなのにまた乗せられてしまったことにむくれるイヴリス

この人間といるとどうしてもペースを持っていかれてしまう


それ以降も何か話題を振って話し続けていたと思うが、疲労もあったせいか殆ど思えていない

一通り話し終えるとアリシアは腰を上げて部屋の出口へと歩いていった



「さてと、じゃあ私はそろそろ寝るからイヴリスも今日はゆっくり休みなさい。明日は出掛けなくちゃいけないからね」


「出掛けるって・・・どこに?」


「弟君を探すんでしょ?もしかしたら何か手がかりが掴めるかもしれないし」



先程の話を聞いてアリシアは明日イヴリスがいたあの村にまた行くと告げてきた。もしかして自分が弟がいると口を滑らせたから捕らえにいくつもりなのか・・・

そう考えたイヴリスはここから村までどの位の距離があるのか分からないが、一旦ここは大人しく従うフリをすることにした



「寝る」


「あら、素直だこと。おやすみー」



布団を被り寝たフリをする。そして寝静まった頃にこの家を抜け出し、先に村に行って弟を見つけ出して一緒に逃げる



「あんな奴の言う通りになんてなってたまるか。私一人でなんとかしてやる」



数時間後、イヴリスは計画を実行した。危うく眠りかけるところだったがなんとか堪えてベッドから起き上がり、音を立てないように忍び足で廊下を進んでいった

暗い中手探りで階段を下りていき一階に到着、一階は外の明かりのお陰で少しだけ見やすくなった

外へと繋がる出口に向かっている途中、テーブルに置かれている物に目がいった



「これは・・・もしかして地図?」



人間が使う文字で書かれていたのでなんて書いてあるかまでは分からなかったが、この辺りのことが描かれているというのは理解出来た

イヴリスの村ももしかしたら描かれているかもと思い探したが、残念ながらそれらしい印は地図にはなかった。だが下の方に広大な森が描かれていた

イヴリスが住んでいた村も森の中にあったので、ここへ行けばもしかしたら辿り着くかもしれない



「ついでに何か食べられる物を持っていこう」



ここから村に一日で着くとは限らない。それに弟を見つけた時にお腹を空かせていたら食べさせてあげることができる

キッチンを漁ると果物がいくつか置かれていたのでそれを壁にかけてあった鞄に詰め、ついでに身を隠す為にローブも貰っておいた

人の物を盗ってはいけないと母親から厳しく言われてきたので多少の罪悪感はあったが、人間相手にそんな感情は不要だと自分に言い聞かせた



「よし、行こう」



頭が割れるようなあの頭痛はやってこない。今なら行けると意を決して扉を開けた

すると目の前に広がっていたのは人間が建てた建物がいっぱいの町。つい最近までの自分であれば興味津々で凄く食いついただろうが、今はあの建物の中全てに人間が住んでいると思うと怖くて震えが止まらなくなりそうだった

1人で外に出るのは凄く怖い、だが一刻も早く弟を探さなくてはという想いが勝ちイヴリスは家を出た


町の中は村とは違い迷路のようになっていてどこをどう行けば出口に向かうのかサッパリ、広い道に出れば出口が見つかるかもと思いとにかく歩き回った

すると前方からこちらに向かってくる2人の人間を確認、イヴリスは反射的にフードを深く被る



「ははっ、でさぁ・・・」



人間達は会話をしていてイヴリスには見向きをせず歩き去っていく。気づかれなかったことにホッとしたイヴリスはすぐさま移動を再開した

闇雲に歩き続けたイヴリスはやがて大通りにやってくる。そこは人間が大勢行き交っていてとても通れそうになさそうだったが、その一番奥に門のようなものを見つけた

恐らくそこが町から出る唯一の方法、ここまで来たら腹を括るしかない・・・覚悟を決めてイヴリスは大通りに出た



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれていただけたら幸いです

次回は木曜日20時に投稿予定です。よろしくお願いします!

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