成長を経て
ゴルドに新たな剣を作ってもらったアリシアの特訓は本格的になっていった
一月近く行われ続けてきた鍛錬によってアリシアはかなりサラの力を扱えるようになった
「ざっと一時間といったところか。炎を纏うのにも大分慣れてきたようだな」
「まだ余裕はあります。もう一度お願いします」
「では次はその剣を使ってみるか。剣に炎を纏わせてみろ、今までの応用編のようなものだからすぐ出来るはずだ」
「分かりました」
今まで体に纏わせていた炎を今度は剣にも纏わせていく
「いいか、剣を自分の体の一部だと思うんだ。体に炎を纏わせることができたのだからこれ位はすぐできるはずだ」
「剣を体の一部だと思って・・・・」
サラの言われた通りに剣に意識を集中させ、自分の一部と念じながら試していく
すると剣に炎を宿らせることに成功した。普通の剣では耐えられないようなサラマンダーの炎の熱もゴルドが打ってくれたこの剣であれば全く問題ない
「基本はそんなものだ、それをいかに応用できるかはお前次第だ。そしてひたすら反復練習と実戦だ」
「ありがとうございます。サラのお陰で最初の頃より大分強くなれた気がします」
「まだまだ吾輩の力を完全に使いこなせているとは言えんがな。それでも並大抵の人間が相手なら早々負ける事はないだろう」
元々人族の中でも上位の実力を持っていたアリシア、そこに大精霊の力が加わったとなれば右に出る者はいなくなる
だが相手が人族でなかった場合となると話は変わってくる。それはイヴリスと戦ったことがあるアリシア本人が実感している
「これでもまだイヴリスの様な強さには届いていないんですよね。あれだけの強さを得るにはどうすればいいんでしょうか」
「あれの強さを目標にするのは止めておけ。魔王の強さは種族によるものでもあるからな」
「そういえばイヴリスの種族ってまだ聞いた事がないです。他の種族と違って見た目は普通の人間と遜色ないのでマリアの様なタイプの種族だと思うんですが」
イヴリスの種族は人族の間では謎のままとされていた。種族が明らかになれば弱点も見つかるのではと昔の文献を漁った者もいたが、どれだけ探してもイヴリスの種族についての説明はなく未知の存在として扱われきた
しかしアリシアの言葉を聞いていたサラはイヴリスの正体を知っているようだった
「なんだ、あいつはまだ話していなかったのか」
「イヴリスの種族を知ってるんですか?」
「吾輩は悠久の時を生きる大精霊だからな。魔王の種族はだな・・・いや、やめておこう。明かしていないということは自分の口以外からは明かされたくないかもしれないからな。アレに絡まれるのは面倒だ」
「そこまで言われたら気になっちゃうじゃないですか・・・」
「そんなもの本人に聞けばいいだろう・・・まぁ敢えて言うならば魔王の種族は今現在魔王以外もう存在していないということだな。そんな事よりも今は特訓だ。今ので5分は休憩したからさっさと再開するぞ」
サラとの鍛錬の最中もアリシアはイヴリスの事を考えていた
そのせいで途中油断をしてサラに一度殺されかけたが、どう考えてもよそ見をしていた自分が悪かったので気持ちを一度整えてから鍛錬を再開させた
そうして今回の鍛錬も一区切りのとこまでどうにか乗り切ることができた
「ふむ、鍛錬を続けてきた成果もあって貴様の器は最初の頃に比べて大分大きくなってきたようだ。これならアレを教えてもいいかもしれないな」
「アレ?アレとはなんですか?」
「詳しい説明はまた次回にするが、これは吾輩と貴様の意思が完全にシンクロした時に発動することができる強力な技だ。この技であればあのイヴリスにもダメージを与えることができるぞ」
「イヴリスにも・・・それ程強力ということは習得するのはかなりむずかしそうですね」
「まぁ当然リスクもあるがな。だが今更そんな事気にしないだろ?」
「はい、少しでも強くなれるのなら構いません」
次への段階について語りつつ村へと戻る2人。村に到着するとそこにはイヴリスが帰りを待っていた
イヴリスの横にはルイン、そしてマリアも一緒にいる。3人共何故か土塗れになっていた
「どうしたんですかそんな土塗れになって」
「いやぁ村の人間達と野菜の収穫をしようとしていたら珍しくマリアが手伝うって言ってきてな。それで手伝わせてみたら凄い勢いで抜くもんだから土が飛び散って大変だったんだよ」
「おイモ掘り楽しかったねー!」
「し、仕方ないでしょ。土を弄るなんてしたことがなかったんだから」
「まぁそれがきっかけで村の人間とも少し距離は縮まったんだけどな」
楽しげに話すイヴリス達を見てアリシアは微笑ましく思う。アリシアにはこの3人と同じ位仲の良い友人の様な存在がいないのでこういう気兼ねなく接している様子を見ていると時分にもこういう相手がいればと少し羨ましくなる
「そんな格好で家に戻られても困りますしお風呂に入りませんか?私も帰ってきたばかりなので入りたいですし」
「そうだな、また皆で行くとするか」
自然な形でお風呂に誘うアリシア、そこでサラと話していた事の詳細をイヴリスから聞こうと試みることにした
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