魔王、正体を打ち明ける
正体を明かす為イヴリスは村の人間達を集めた。いきなり集められた村の人達は戸惑った様子でイヴリスに聞いてきた
「どうしたんだイヴさん、突然皆を集めたりして。そろそろ夕飯の準備をしなくちゃいけないんだが」
「あぁすまない、本当に突然だがここの者達に話さなくてはならない重大な話があるんだ」
「重大な話?」
重大な話と聞いて息を呑む村人達、それを見たイヴリスは一拍置いてから明かし始めた
「実は私はイヴという名でも人間でもない。私の本当の名はイヴリス・・・魔王国にいる魔王イヴリスだったんだ」
「イヴさんが・・・魔王?どうしたんだ突然そんな事を言い出して。な、なぁアリシアさん」
「・・・・・」
イヴリスの言葉で村人達はざわつき出す。突拍子のない言葉に村長であるルイスがアリシアの方に尋ねてみるがアリシアは何も言わずにただ事の成り行きを見守っているだけだった
「本当にイヴさんは魔王なのか・・・」
「あぁ、今まで黙っていて悪かったな」
長い沈黙が続いた。つい最近まで共に過ごしていた人物が実は魔王だったなんて言われてすぐに理解しろと言われても無理な話なのは分かっていた
村を出ていくリスクも承知の上で打ち明けた正体。その長く続いた沈黙を一番最初に打ち破ったのはまだ幼いルカだった
「イヴお姉ちゃんは私達の事を助けてくれたよ!」
「ルカ・・・」
「食べ物だってイヴお姉ちゃんが来てからたくさん増えてお腹いっぱい食べられるようになったもん!イヴお姉ちゃんは悪い人じゃないよ!」
イヴリスが今まで村にもたらしてくれたものを大人達に必死に説くルカ、その言葉を聞いた他の村人達も次第にウンウンと頷き始める
「そうだ・・・・そうだな、本来ここでただ為す術なく死ぬのを待つだけだった私達にイヴさんは生きる道を与えてくれた」
「王国に見捨てられた俺達を拾ってくれたんだ。そんな人に対して少しでも不審に思ってしまった自分が恥ずかしい」
「魔王だとか魔王じゃないとかそんな事は関係ない。俺達にとってイヴさんはイヴさんだ」
村人達は皆口々にそう言い、イヴリスが魔王であったということを受け入れてくれた
もっと悪い言葉をぶつけられると思っていたイヴリスはそれに少し拍子抜けした
「イヴさん、貴女がやってきたことはちゃんと私達の心に届いていますよ」
「そうか、もっと色々言われることを覚悟していたよ」
「でもこれで色々と納得だな。イヴさんが規格外な力を持っていたのも魔王だったからなんだな。あっ、イヴリスって呼んだ方がいいのか?あと様付けとかもした方が・・・」
「今まで通りイヴで構わないしそんなに畏まる必要はない」
「それは助かるよ・・・イヴさんが魔王ということはつまりあれか?ルインちゃんや後ろにいる他の人達ももしかして・・・」
「あぁ、ルインやこっちのマリアは私と同じ魔王国の者だ。だがルインは勿論のことこのマリアもお前達に危害を加えるつもりはないから安心しろ」
マリアよりも村人と付き合いが長いルインの事はある程度知っている為そこまでの反応はなかった。だがマリアの方昨日の今日どころかついさっき出会ったばかり、警戒するのは当然のことだった
それに対してマリアは何も気にすることなく普段の姿を村の人達に披露した
「私は魔王イヴリスの側近でヴァンパイアのマリアよ。そっちでは吸血王とか言われてるらしいけど私達の国の王は一人だけだからその異名では呼ばないように」
「は、はぁ・・・・」
「一応言っておくが吾輩はこ奴らとは違うぞ、吾輩炎を司りし大精霊の一柱サラマンダーだ。今はアリシアと仮の契約をしている」
「さ、サラマンダーってあの御伽話に出てくるあのサラマンダー!?実在していたのか・・・・」
翼を大きく広げたマリアを前に村人は一瞬たじろいだが、それよりもサラの方の衝撃の方が大きかったようでマリアに対しての警戒心はそこまで大きくはならなかった
こちらにいる全員に敵意がないと分かるとルイスはイヴリスの方に向き直り今回の経緯を聞いてきた
「だがどうして今更俺達に正体を明かす気になったんだ?そのまま騙し通すことも出来ただろうに」
「あぁ、お前達にも話しておくか。実はな・・・」
イヴリスは村人達にも先程話したことを伝えることにした
遅かれ早かれいずれは知ることになる。それに隠し事をしないと決めたからには彼らにもこれから行う事を知らせる必要があるとイヴリスは考えた
「なるほど・・・知らない間にそんな事が起きていたなんて」
「まぁお前達は気にする必要はない。いつも通りの生活を送ってくれればな」
「何か力になれることは・・・いや俺達が行ったところで足手まといにしかならないか」
「その気持ちだけで十分です。あとの事はどうか私達に任せて下さい」
「なら吾輩の力を早く扱えるようになるんだな」
こうして一つの憂いは無くなった。本格的な計画に向けてイヴリス達は段取りを進めていった
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